Vol.115 映像監督・脚本家

常盤司郎

OKStars Vol.115には、映像監督・脚本家の常盤司郎さんが登場!「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2011」に出展する特別製作作品のことやショートフィルムの魅力をお聞きしました。

2010年のShort Shorts Film Festival & AsiaのミュージックShortクリエイティブ部門にて、「クレイフィッシュ」で優秀賞と観客賞をダブル受賞されていますが、今回の特別作品の製作に抜擢された感想と、前回の受賞に関しての感想をお聞かせください。

ショートショート フィルムフェスティバル & アジアの存在自体は知っていましたが、前回初めて作品を出展しようと思ったんです。それで、商業的なものではないので、どっぷりとした作品にしようと。なので、前回受賞した「クレイフィッシュ」はプライベートなテーマで、僕と癌を患っていた父との関係を描いたものになりました。「クレイフィッシュ」の制作中には不思議なことがたくさん起きたんです。なかでも一泊二日で実家に帰ったシーンを撮影したちょうどその日に十数年ぶりの大雪が降って、その雪の映像が素晴らしくて、そういう不思議な体験もあって映画が成立したところもあります。それって“映画の神様が”みたいな話なんですが、それに近いところが多々あったんです。受賞についてもそういうところがあって、これは暗い話ではあるんですけど、受賞した10日後に父が亡くなったので、これは撮るべくして撮った、撮らなければいけない映画だったんだなと。それに加えてダブル受賞は映画祭開催以来初だったということもあり、特別な映画になりました。
今回は、特別製作作品のお話をいただいた時に、前回とは真逆のことをしようと考えました。前回がどっぷりプライベートで、スチールカメラで写真を切り取るような映像だったので、今回は反対のベクトルの、エンターテイメントな方向に舵を切ろうと思いました。

今回製作された「皆既日食の午後に」は、大人気のSuperflyの楽曲「Ah」にインスパイアされて製作されたとのことですが、「Ah」に関しての感想や思い入れなどをお聞かせください。

「Ah」を最初に聴いた時に思ったのは、いろんな人が癒される顔だったんです。それって映画で言うと群像劇なのかなと。でも10分そこらで群像劇というのはハードル高くないか?とは思ったんです。いろんな人に群像劇という企画を出してみると、みんな面白いけど無理だろうっていう反応で。でも「Ah」という曲自体がこのAhって声だけの構成の“挑戦している作品”なので、僕も挑戦してみようと。
「皆既日食の午後に」というタイトルですが、曲を聴いた時に癒される顔とともに思い浮かんだのが、教会で歌われる賛美歌だったんです。でも日本で教会だと僕の感覚だと絵にならないというか嘘くさくなる感じがして、じゃあ日本的な教会ってなんだろうなって考えたんです。そこから発想したのが皆既日食で、街が暮れていく光景が神秘的という意味で一致していると思ったので皆既日食の映画を作ろうと考えました。
その後になって「Ah」のPV観たら実際に教会で歌っているんですよね。だから自分は何も間違ってなかったな、と(笑)。

今回の製作での気をつけた点、こだわった点などお聞かせください。

ショートフィルムということでいろんな制限がありましたが、中でも皆既日食という微妙なテーマを扱っているので、一番こだわったのは「天気」ですね。まぁ正直これは祈るしかなかったんですけど(笑)。でも、「クレイフィッシュ」の雪の話もそうですけど、僕は映画を撮る時は毎回天気に恵まれるんですよ。今回も撮影期間に台風の予報があったんですけど、心配ないと思っていたら、その通り無事にあたることなく撮影できました。

ずばり今回の特別製作作品の見どころを教えてください。

ショートフィルムにしては贅沢すぎるキャストやスタッフです。みんなが一丸になって作った贅沢な自主映画になりました。

>撮影は何日くらいで行ったんですか?

4日くらいです。ショートフィルムにしては贅沢だと思いますけど、皆既日食っていうテーマ上、夕暮れから夜に差し掛かるいわゆるマジックタイムのねらいは必要なので、1シチュエーション1役者につき1日、という感じでカメラを廻していたんです。

>キャストについてはいかがだったんでしょうか。

濱田龍臣さん、新井浩文さん、南沢奈央さん、田口トモロヲさんという贅沢な4名の主要キャストの方々に出ていただいているんですけど、キャストのみなさんとのやり取りは本当に楽しかったですね。新井さんのシーンは、それぞれ別の場所で撮影してて、しかもずっとひとりきりの撮影。新井さんも一人芝居は初めての経験だったそうで、誰とも絡まないで演じるのは新鮮だったと言ってました。なのでお互いに面白い体験が出来たのかもしれないですね。

ミュージックShortのコンセプトとして“音楽とのショートフィルムの融合”という点がありますが、音楽界との関わりも深い監督の考える映像と音楽の関係についてお聞かせください。

音楽と映像って刺激しあえる要素を含んでいて、とくに対等な関係で作るとすごくマッチングのいいものだと思います。アーティストとお互いに刺激しあっていい化学反応が起こるものが音楽と映像の関わり合いの強いものかなと。
ミュージックShortはアーティストの手紙への返信みたいなところがあるので、Superflyさんには「Ah」という素晴しい手紙を書いて頂いたので、僕もそれに対して、読んでよかったなと思われる返信になっていればいいですね。

「ショートフィルム」の魅力は何だと思いますか?

密度の高いものがぎゅっと濃縮されているのが魅力なんじゃないかなって思います。「皆既日食の午後に」で言うと、短い時間の中の豪華なキャストだったり、スタッフワークもそうだし、脚本も濃縮して2時間のものを15分にしているようなものなので、2時間のテンポにはない起承転結であるとか、そういったことがショートフィルムの魅力だと思います。

>ちなみに常盤監督の場合は、どういう風に構想を固めていくんですか?

漠然としているアイディアを書き留めていきます。今回で言うと、日本で教会的なものって何だろうってお題を自分に出して、寺とかあれこれ書いていって、その中に皆既日食というのが出てきました。お題に答えていく中でカチッとはまるような、すごく明快になってくる瞬間があるんですよね。それがアイディアが進んでいく過程だと思います。

今後取り組みたいことなどお聞かせください。

ここ数年はショートフィルムに取り組んできているので、そろそろ長編にも挑戦したいというのはありますね。ショートフィルムの魅力は濃縮されているところと言いましたが、ショートフィルムでは描きたくても描けない長編ならではの「間」であるとか、そういう長編作品の時間の使い方に挑戦してみたいと思います。

OKWaveには映画や映像の世界を目指す方がたくさん質問しています。ぜひ、常盤監督からアドバイスやメッセージをお願いいたします。

カメラマンを目指すなら撮影部、監督なら演出部にいけばいいと思いますが、僕はそういうところには行かずに全部自分でやってきたので、一概にどこで学べばいいということだけではないです。ただ、プロフェッショナルな人とそうでないかの違いは、作品に対しての向き合い方にあると思います。たとえば僕の場合にはそれこそ夢に出てくるくらいなので。だから変な夢いっぱい見てます(笑)。でもそれはプロじゃなくてもできることですよね。プロになってお金が稼げるようになるのには時間がかかるかもしれませんけど、プロ意識を持つことは学生の頃からでもやれることじゃないかなと思います。ただ一方でプロ意識は持とうとして持てるものでもない気もしていて、それが備わっている人もいるのかなとも思います。

常盤監督の“モットー”をお聞かせください。

「楽しく、しつこく」です。まずは楽しくないとしんどいだけで長続きもしないと思います。今でも僕は楽しいと思ってますし、映画作りにマニュアルみたいなのはあってはいけないというか、誰も作ったことのないようなものを作りたいと思っているので、そこが楽しいところですね。ただ、楽しさだけでやっていても映画は完成しないと思っていて、そこにしつこさ、というか粘り強さというか、そういう気持ちがないと映画は完成しないと思っています。

では最後にこのインタビューを読んでいるOKWaveユーザーにメッセージをお願いいたします。

今回の「皆既日食の午後に」は「伝わる」というのがテーマなのかなと思っています。このインタビューのように話すことも伝える行為ですけど、意識せずに伝える行為もあって、愛情などは特に意識せずに伝える行為かもしれないですが、そういう情報ではない「伝わる」というテーマを、皆さんに少しでも感じ取って頂けると嬉しいです。

常盤監督が気になっていることを「質問」をお願いいたします。OKWaveユーザーが「回答」します。

自分の作品は、「記憶」が物語の根幹になっていることが多くて、
僕も「クレイフィッシュ」の時に自問自答しましたが、
皆さんの生まれて初めての記憶って何ですか?

Information

ミュージックShort部門特別製作作品「皆既日食の午後に」上映スケジュール

【表参道ヒルズ スペース オー】JMSプログラム:6月19日(日)18:00~
場所:東京都渋谷区神宮前4-12-10表参道ヒルズ本館地下3F

【ラフォーレミュージアム原宿】JMSプログラム:6月22日(水)19:50~
場所:東京都渋谷区神宮前1-11-6ラフォーレ原宿6F

【ブリリア ショートショート シアター(横浜開催)】JMSプログラム:6月25日(土)10:45~
場所:横浜市西区みなとみらい5-3-1フィルミー2F

※ジャパンミュージックShort(JMS)プログラム内での上映となります。

映画「皆既日食の午後に」特設サイト:http://www.shortshorts.org/2011/ja/eclipses-shadow/

ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2011
米国アカデミー賞公認、日本発・アジア最大級の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア(略称:SSFF & ASIA)」(代表:別所哲也)は、世界104ヶ国から選りすぐられた約100作品を一挙上映!オフィシャルコンペティションは、インターナショナル部門、アジアインターナショナル部門、ジャパン部門の3部門。各部門優秀賞の中から選出されるグランプリ作品は、次年度の米国アカデミー賞短編部門の選考対象となります。

会場:表参道ヒルズスペースオー(東京都渋谷区神宮前4-12-10表参道ヒルズ本館地下3F)
日程:2011年6月16日(木)~19日(日)

会場:ラフォーレミュージアム原宿(東京都渋谷区神宮前1-11-6ラフォーレ原宿6F)
日程:2011年6月22日(水)~26日(日)

会場:TOHOシネマズ六本木ヒルズ(オールナイト上映)(東京都港区六本木6-10-2けやき坂コンプレックス)
日程:2011年6月17日(金)・18日(土)

会場:シネマート新宿(3D部門上映)(東京都新宿区新宿3-13-3新宿文化ビル6・7F)
日程:2011年6月17日(金)~24日(金)

会場:ブリリアショートショートシアター(横浜開催)(横浜市西区みなとみらい5-3-1フィルミー2F)
日程:2011年6月18日(土)~26日(日)

オフィシャルHP:http://www.shortshorts.org/2011/
Twitter:http://twitter.com/#!/s_s_f_f

Profile

常盤司郎
福岡県出身。1999年よりフリーの映像監督として活動。
映画、広告、アニメーションの監督・脚本をはじめ、井上陽水のCDなどジャケットやキャラクターのデザインと様々な分野で表現活動を続ける。
2010年の短編「クレイフィッシュ」ではShort Shorts Film festival & Asia 2010のミュージックShortクリエイティブ部門にて開催初となる優秀賞と観客賞をダブル受賞。
主な監督作として、板尾創路主演「99%の自殺」、サザンオールスターズ初のドキュメンタリームービー「FILM KILLERSTREET~Director’s Cut~」他多数。
また、XBOXゲーム「GEARS of WAR」バイラルプロモーションや日産自動車「N-Link あっ安部礼司」、サッポロビール「ネクターサワー」など広告分野での仕事など幅広く活動している。

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