OKStars インタビュー

Vol.128 映画監督

ミカエル・ハフストローム

ジョン・キューザック、コン・リー、チョウ・ユンファ、菊地凛子、渡辺謙ら世界を代表する名優たちによる、1941年の上海を舞台にした豪華競演作『シャンハイ』が公開中です。
OKStars Vol.128は『シャンハイ』ミカエル・ハフストローム監督が登場!監督の描く視点についておうかがいしました。

『シャンハイ』は、史実を下敷きにスリリングなサスペンスドラマが展開されますが、歴史的背景をどのように描こうと考えましたか。

時代考証をなるべく正確にしようとはもちろん考えたけれども、それ以上にこの1941年の上海の街というものを再現することを考えました。とくに当時のムードや色彩、リズムといったことを再現することが大切だと思いました。当時の上海はとてもエキサイティングな都市で、アジア、欧米、スカンジナビアからも人が集まってくるような、カサブランカのような街だったので、それを再現するために数多くのドキュメンタリーを参考にしました。そして、各キャラクターの行動の背景には政治的な状況も内包されているので、その部分もなるべく正確に描こうと思いました。

実際には上海では撮影されなかったそうですね。

元々は上海で撮影すべく準備していたので、中国で撮影できないことが分かった時にはどうしようかという苦労もありました。ただ、上海は1941年と今日ではずいぶんと変わってしまって当時のまま残っているところは少ないので、上海で撮影できていたとしても、かなりの部分はセットとして作り直さないといけなかったと思います。

では、ロンドンとバンコクで行われた撮影はどんな様子でしたか。

ロンドンでは屋内のシーンを撮影しました。当時の上海の建築は英国の影響を受けていたので同じような建築様式を持った建物をロンドンで見付けるのは難しいことではなかったです。
同じように、バンコクでは屋外の風景を再現しました。バンコクでロケをしたことで、むしろ当初の計画よりもいろいろなことができたので、映像的には良かったのかもしれませんね。

国際色豊かなキャスティングとなりましたが、渡辺謙さん、菊地凛子さんの印象はいかがだったでしょうか。

グッド・インプレッションでした(笑)。
この二人が演じてくれた役は特に重要でした。菊地凛子さんが演じたスミコは全てのキャラクターをつなぐ鍵のような存在で、ハリウッド映画でいう“マクガフィン”的な役回り。みんなが彼女を探していて、男性陣はみんな彼女に恋をしているようでしたね(笑)。
一方、日本軍のタナカ大佐という複雑な役は、渡辺謙さんのような大きな存在感が必要だったので、最初に彼にオファーして出演してもらえてラッキーでした。彼の出演作は見ていたので、彼しかいないと思っていました。

主演のジョン・キューザックさんは、監督の『1408号室』でも主演されていますが、今回の彼との仕事はいかがでしたか?

『シャンハイ』の脚本は『1408号室』の編集作業中にできあがってきて、脚本を読んだジョンから電話がきて、彼の方から「この役をやりたい」って言ってきてくれました。前作でも楽しく仕事ができたので、今回も楽しくできましたよ。

ジョン・キューザックさんが手を挙げたのはどんな理由だったのでしょう。

世界中からいろいろな俳優が集まって壮大なテーマで描かれるこの『シャンハイ』という作品の世界に惹かれたんだと思います。

演出面で意識したところは?

キャラクターの人数が多くて、しかも重要な役ばかりなので、それぞれに十分なスペースを与えて、ドラマの中で存在感を持ってもらわなければなりませんでした。そのため、キャラクター作りについては各キャストとディスカッションを重ねました。また、映像のスタイルという意味では撮影のブノワ・ドゥロームさんとフィルム・ノワールを研究して決めていき、プロダクションデザインのジム・クレイさんとは上海の街の再現について話し合い、あらゆる要素があって完成しました。

人間ドラマとアクションがいいバランスで配置されたスリリングなストーリー展開ですがそのあたりについては?

アクションでありながら骨子はラブストーリーであることです。『シャンハイ』に惹かれたのは、ラブストーリーが皆を繋いでいた、というところでしたので、演出する上でもラブストーリーであることを強く意識しました。

監督の作品は『シャンハイ』での愛情や友情に突き動かされる人間模様以外にも、『1408号室』『ザ・ライト ―エクソシストの真実―』でも心理描写に特徴的ですが、心理描写を映画で描く上でどのようなことを大事にされていますか。

まずキャラクターに興味を持てるかどうかというところが出発点になります。キャラクターをキャストと一緒にディスカッションしながら作り上げていけるかどうかが大事です。それと同時に、意外なものに自分がエキサイトすることもあって、それも大事にしています。『ザ・ライト ―エクソシストの真実―』では主要キャラクターの若者と人生経験豊かなもうひとりの人物との関係の力学に惹かれました。『シャンハイ』はラブストーリーであるけれど、観ていただくと実は“孤独”ということも重要な要素になっていることに気付くと思います。キャラクターみんな、結婚していてもしていなくても孤独さを抱えていますよね。ジョンが演じたポールもまるで過去がないような描かれ方で、そういう寂しさも大事にしました。
ただ、ジャンル的にはサスペンス的な要素のものを作ってきましたが、全然違うジャンルのものもやってみたいとは思っていますよ。

特にこだわったところと見どころは?

今回の撮影はエキストラがたくさんいるような大掛かりなシーンから、すごく親密なシーンまで、毎日のチャレンジが常に変わっていく現場でした。大掛かりなアクションも楽しかったけれども、やはり心に残る瞬間というのは、キャラクターが感じられる瞬間だと思います。自分のお気に入りのシーンはタナカ大佐とスミコのシーン。すごく美しくて強いシーンなので特にここが見どころだと思います。ぜひ観てください。

ミカエル・ハフストローム監督がいま気になっていることを「質問」してください。OKWaveユーザーが「回答」します。

僕はスウェーデンの出身だけど、
日本の皆さんはスウェーデンという国名を聞くと何をイメージしますか?

Information

シャンハイ
丸の内ピカデリー他 全国公開中!!

Story
1941年、上海。はじまりは米国諜報員の殺人事件。殺されたコナーの同僚で親友のポール(ジョン・キューザック)は事件の真相を突きとめるため上海に降り立つ。捜査線上に浮かび上がったのは、いずれも謎に包まれた者たちばかり。
執拗にポールをつけ狙う日本軍の大佐タナカ(渡辺謙)、忽然と姿を消したコナーの恋人スミコ(菊地凛子)、中国裏社会のドン・アンソニー(チョウ・ユンファ)と、彼の美しき妻アンナ(コン・リー)。
やがてポールは革命家というアンナの裏の顔を知り、理想に生きる彼女に強く惹かれ始める。
そして、ついには事件の真相は明らかとなるが、そこに暴き出されたのは全世界を揺るがす恐るべき真実だった。
太平洋戦争開戦前夜。列強国の野望が入り乱れる上海を舞台に、国家間の巨大な陰謀に巻き込まれていく男女の愛を描く、サスペンス超大作が誕生した。

監督: ミカエル・ハフストローム(『1408号室』『ザ・ライト ―エクソシストの真実―』)
出演: ジョン・キューザック、コン・リー、チョウ・ユンファ、菊地凛子、渡辺謙
配給: ギャガ Powered by ヒューマックスシネマ
公式サイト: http://shanghai.gaga.ne.jp/
(C)2009 TWC Asian Film Fund, LLC. All rights reserved.

Profile

ミカエル・ハフストローム

1960年、スウェーデン、ルンド生まれ。
ストックホルム大学で映画を学んだ後、ニューヨークのスクール・オブ・ビジュアル・アーツに入学する。卒業後は、フリーの映画評論家としてキャリアをスタートさせるが、次第にスウェーデンのテレビで助監督や脚本家の仕事をするようになり、やがてテレビドラマの監督を手がける。95年『Vendetta』で映画監督デビューを果たす。その後、『Leva livet』(01)、アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた『Ondskan』(03)、『ポゼッション』(04)等を監督。05年のジェニファー・アニストン、クライヴ・オーウェン共演のサスペンス『すべてはその朝始まった』で注目される。07年には、スティーヴン・キングの同名小説を基にした、ジョン・キューザック、サミュエル・L・ジャクソン共演のサスペンス・ホラー『1408号室』で高い評価を得る。オスカー俳優のアンソニー・ホプキンスを主演に起用した『ザ・ライト-エクソシストの真実-』(11)は、今なおバチカンには悪魔祓いの育成所があり、日常的に儀式が行われているという事実をエンタテインメントに昇華した衝撃作で、サスペンス映画の新しい可能性を示した。

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