OKStars インタビュー

Vol.133 俳優

浅野和之/古河耕史

井上ひさしの戯曲のみを専門に上演するこまつ座の舞台『キネマの天地』・栗山民也演出のもと、日本演劇界の一線で活躍するスターを集め、こまつ座初上演!
OKStars Vol.133は、同舞台出演の浅野和之さんと古河耕史さんが登場。『キネマの天地』の見どころや演劇について語っていただきました。

『キネマの天地』台本を読まれて感じたことは?

浅野 : 井上さんの作品は、割と社会性に富んだものが多いという印象が有るんですけど、 これはそういう意味ではいわゆる娯楽、エンタテインメント作品だなと感じました。

古河 : 僕は展開が早いなって感じました。やるの大変だろうなって(笑)

台本を読むと演じている絵は思い浮かぶものですか?

浅野 : みんなそれぞれ違うだろうけどイメージは持ちますね。小説を読むように、こういう風になるかなって。

古河 : そうですね。でも、僕はだいたい間違っていますけど。

浅野 : 僕も自分なりに読んじゃうから、正解があるわけじゃないね。

役作りはどのようにしていくのですか?

浅野 : 僕の場合は関係性やその人物がしゃべっている言葉から拾って行きます。この言葉をしゃべるのはどういう意味かって。この人間に対してこの言葉を発するのは相手の事をどう思っているのかという関係性ですね。そこを手掛かりにして探って行きます。他には人物の職業とか年齢とかもです。

古河 : 役作りってあまりピンと来ていなくて、自分が何でできているかということが分かっていないのと同じことなので、作るという発想ではないですね。いろんな人にそう呼ばれたり、扱われたりとか、その立場でその場にいられるかどうかということを考えています。

浅野 : 彼の演じる島田健二郎なら、東京帝大卒であるとか、映画監督を目指しているとか、そういうところからですね、役を拾っていくというのは。僕だったら、小倉虎吉郎という映画監督だけど、どういう映画を撮ってきたかが台詞の中に書かれているので、そういうのを材料にして少しずつ積み上げていくということですね。

男性陣の役どころは?

浅野 : 僕が映画監督で、古河君が助監督。もう一人、木場勝己さんが演じる売れない役者の尾上竹之助がいます。僕と彼が仕組んで、自分の奥さんが舞台の稽古中に死んだ死因に引っかかる所があって、4人の女優たちの誰かが自分の奥さんを殺したんじゃないか、というところから、尾上竹之助を刑事に仕立てて犯人探しをしていくというところですね。

共演の女優の方々(麻実れい、三田和代、秋山菜津子、大和田美帆)についてはいかがでしょう?

古河 : 最初は萎縮しないように、すごい人たちだと思わないようにしていたんです。そうすると、すごく垣根なく接していただけるんですけど、段々と本当にすごいということが、近づけば近づくほど分かってきて、最初の入り方がまずかったかなぁって(笑)。

浅野 : 別に変じゃなかったよ。

古河 : 本当に素敵だなぁって思うんですよ。何をやっていても全部素敵になれる。でも次の瞬間には可笑しくもなれるというのは、本当に芸達者だってびっくりしてます。

浅野 : お芝居をされて来たシーンが4人とも違っていて、それぞれの方の持ち味というか特色があって、面白い、良いキャスティングだなって思っていますね。ただ僕らも含め7人の中で新劇出身の方が少ないのは珍しいんですけどね。

稽古の様子はいかがだったでしょう?

古河 : 今回の舞台稽古は通しが多いですね。

浅野 : そうですね、幾つかのブロックを作って、そのブロックを返しながら演じるやり方ですね。ダメ出しは細かいんですけど、進め方はそうでもなくブロックごとに積み上げていく感じですね。演出家もいろんな方がいるので、頭から全部通すって人もいれば、本当に細かく、進めながら細かく返して返してって人もいます。今回の栗山民生さんのやり方は栗山さんのやり方では主流のものですね。

「OKWave」には演劇カテゴリも新設されて注目が高まっているのですが、演劇をこれから観る方への、演劇の楽しみ方のアドバイスをお願いします。

浅野 : 映画と舞台は全然違いますけど、舞台は生で目の前で演じている雰囲気が観る側も演じる側も醍醐味でしょうね。

古河 : そうですね。

浅野 : 舞台で流れている時間は違いますけど、お客さんと役者が同じ時間を共有しているのが醍醐味でしょうね。それと演劇はもうひとつ腰を上げないと観に来れないというか、映画は日に3、4回上映しますけど、舞台は1日1回か2回しかないし、毎回同じ事をやっているけど同じじゃない。だからお客さんによっては初日を観て千秋楽を観るという楽しみ方をする人もいます。芝居はずいぶん変わりますからね。いい意味でこなれて芝居に厚みが増すというか安定してきますので。

古河 : お客さんもしっかり反応したり、舞台もその反応で、「お、ここでノッてきてるな」とかそういうことでちょっと変わったりしますね。

>そういう反応を見ながら積み重ねていくんですね。

浅野 : コメディなんかは特にそうですね。シリアスなドラマはちょっと違いますけど、コメディは反応がはっきりしている「笑い」が肝になってきますからね。コメディで誰も笑わなかったらこれほどつらいものはないです(笑)。

『キネマの天地』の見どころをお願いいたします。

古河 : 女優さんたちの「本当にそんな事言っちゃうんだ」とか「そういうの本当なんだ」っていう暴露的なことを生で感じてほしいなって思いますね。

浅野 : 俳優たちの虚と実の、実の世界がさらけ出されて来る面白さ。それと、裁判劇調な犯人を見つけ出していくミステリータッチのいろんな要素を含んでいて、楽しめるお芝居だと思いますね。

役者として大切にしていることは?

浅野 : うーん、何も大事にしてないけど…

古河 : そうなんですか!?いろんなことを大事になさってきたからこれはもう大丈夫だってことですね。無心に近い。

浅野 : そんなことはないって。

古河 : 僕は知らないものに出会うことを大事にしようと思っています。僕の性格とか育ってきた世代的なものもありますけど、一人で考えたり調べたりして片付いてしまうことも多いので、人とものを作るときには知らない、ということを大事にしたいですね。

浅野 : 言葉にしたことがないからありきたりになってしまうけど、一本一本を大事にするという事ですかね。何かを演じる事が自分の仕事にとっての全てになるので、一本一本を大事にしたいという思いですね。芝居に関しては創る時間もかかるし、まだ57歳だけど、それでもこの先何本出演出来るのか、ということもあります。古河君はまだまだこの先、何本でもやってやろう!って気持ちで突っ走って行かないといけないんだけど、だんだん年を取ってくるといろんな意味で一本一本が大事になってきますね。

ではこのインタビューを読んでいるOKWaveユーザーにメッセージをお願いいたします。

古河 : この『キネマの天地』の舞台では「実は」「本当は」、ていう話が暴露されるので、その場で「えーっ」とか「ウソーっ」て思い切り声を出してほしいなと思います。

浅野 : 隠されたどんでん返しがあるので、お客さんが「え、そうだったの!?」て思わせたら、この芝居は僕たちの勝ちなんだけど、「エェー」ってならないように(笑)、楽しめるお芝居をやりますので、ぜひ観にいらしてください。

OKWaveユーザーに質問をお願いします!

井上ひさしさんの作品には戯曲や小説など多数ありますが、
皆さんが特に好きな作品は何ですか?

Information

こまつ座 第95回公演・紀伊國屋書店提携『キネマの天地』
井上ひさし・作
栗山民也・演出

1935(昭和10)年、日本映画全盛期なりし頃。
築地東京劇場の裸舞台に、ベテランの大幹部から新進気鋭の4人のスター女優(立花かず子、徳川駒子、滝沢菊江、田中小春)が集められた。4人は小倉監督の新作超特作映画『諏訪峠』の出演依頼と思っていたのだが、そこで始まったのは舞台『豚草物語』の再演話で、その場で稽古までやろうという始末。これには監督の思惑があった…。
実は1年前、小倉監督の妻であり女優の松井チエ子が、この『豚草物語』舞台稽古中に頓死したのである。死後見つかった彼女の日記には「私はK.T.に殺される」と記されていた。殺人?犯人はこの4人の中にいる?
万年下積みの老俳優を刑事役に仕立てて、松井チエ子殺し真犯人追求劇『豚草物語』の幕が開く。

2011年9月5日(月)~10月1日(土) 昼の部:13:30、夜の部:18:30
新宿南口・紀伊國屋サザンシアター

入場料:7,350円、学生割引:5,250円(いずれも全席指定、税込)

出演:
立花かず子: 麻実れい
徳川駒子: 三田和代
滝沢菊江: 秋山菜津子
田中小春: 大和田美帆
尾上竹之助: 木場勝己
島田健二郎: 古河耕史
小倉虎吉郎: 浅野和之

お問合わせ:こまつ座 TEL 03-3862-5941
http://www.komatsuza.co.jp/

Profile

浅野和之
1954年2月2日生まれ、東京都出身。
安部公房スタジオを経て、87年劇団夢の遊眠社へ入団。劇団解散後の現在も舞台を軸にしながら数多くの作品に出演。また舞台にとどまらず、TV、映画、CMなど幅広く活動中。舞台上では圧倒的な信頼感で、演劇界の世界にはなくてはならない存在。05年に紀伊國屋演劇賞個人賞を、06年と11年の二度に渡り読売演劇大賞最優秀男優賞を受賞。今回が井上作品に初参加。

古河耕史
1981年9月20日生まれ、福岡県出身。
新国立劇場演劇研修所を第一期生として卒業し、古典から小劇場、そしてエンタテインメントへの振れ幅を自由に行き来する表現力は、今後の未来を予感させる。新国立劇場『オットーと呼ばれる日本人』『ヘンリー六世・三部作』などに出演。10年には『監視カメラが忘れたアリア』(鴻上尚史作・演出)で初主演を果たした。井上作品には初参加。

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