OKStars インタビュー

Vol.142 鼓童

今海一樹/吉井盛悟

OKStars Vol.142には2011年結成30周年を迎えた鼓童から、今海一樹さん、吉井盛悟さんが登場!和太鼓の魅力、鼓童の現在と今後についてお伺いしました。

現在公演中の「鼓童ワン・アース・ツアー2011」、その見どころについてお聞かせください。

今海 : 今年が鼓童結成30周年で、結成当時からのメンバーも最近入ったメンバーも、今の鼓童が総力を上げて作っている舞台です。太鼓の世界では鼓童のようにプロでやっているグループはまだまだ少なくて、鼓童も30年とはいえまだまだ歴史は浅いですから、太鼓はこれからのジャンルだと思います。そういう意味でも、鼓童自身、来年以降に向けて31年目の一歩を踏み出す意味でも大事なプログラムを1年かけてやっています。岡本太郎さんに鼓童の題字を書いていただいたような“血が騒ぐ”面白い舞台をやっています。

吉井 : 今までの鼓童とこれからの鼓童の両方が共存している舞台だと思います。鼓童で30年太鼓を叩いてきた藤本吉利や、来年から代表になる見留知弘が太鼓を叩いたり、僕自身は自分で曲を作って今回の舞台に上げさせていただいていますけど、今まで鼓童が何をやってきたかということと、僕ら若い世代がどんなことを鼓童の舞台でお伝えしていけるかを形にしている舞台です。

では、和太鼓の魅力について教えてください。

今海 : 僕自身は小さい頃に和太鼓を知って、見ていてワクワクするし実際に叩いても単純に楽しかったので、それで鼓童に入って続けているので、そういう変わらない部分と、逆に太鼓の難しい答えの無いところが魅力です。やっているとあっと思う瞬間があって、頭の中が真っ白な状態で自然と体が動いていて、それを評価していただいたりするんですが、そこが掴めたり掴めなかったりするのが魅力ですね。言葉ではなく太鼓を叩くことで何らかのメッセージになるので、やる方も聴く方もそこに可能性があるし面白いですね。

吉井 : 血が騒ぐところはありますね。ある意味原始的で、原始的なのに現代に通じるところもあります。普通に生活していると原始につながるところってありませんよね。そういう本能的なところに触れてくるというか、「何この気持ち?」ってなれる(笑)。老若男女問わず、国境も超えていろんな国の人とそれを共有できるすごさが太鼓の魅力だと思います。

拠点である鼓童村・佐渡について教えてください。

今海 : 鼓童村というコミュニティがあって、そこで稽古をしています。独身寮もありますけど、全員そこに住んでいるわけではありませんが、佐渡自体が島ですからね。大きな音を出しても大丈夫ですし、いろんな意味でいい環境です。それと佐渡はやはりいろんな意味で日本の縮図と言われていますけど、僕も10数年住んで面白いなと思います。

吉井 : 佐渡の魅力のひとつは自然ですね。秋には稲刈りが終わったら山は紅葉で、海は波が変わって、ということが目に見えて分かります。そんな中で音作りができるのが良いと思います。 それと佐渡は郷土芸能、民俗芸能といわれるものがほぼ全種類あります。そういうところも日本の縮図と呼ばれているところですね。能、狂言、歌舞伎などの地域芸能が凝縮していますので学びがいがあるし、アカデミックに調べようとしたらディープなところまでいける、そういう奥行きの深さもありますね。

これまででとくに印象深かった公演は?

吉井 : 東日本大震災があった時に僕らはカナダにいて、公演前にカナダのお客さんが黙祷をしてくれたり、主催者さんが日本に向けて募金を募ってくれたのが印象的でした。遠く離れたところでも日本のことを思ってすぐに反応してくれて、「大変だね」って言ってくれる仲間が世界中にいるんだって実感できたので、その時の公演は印象に残っています。

今海 : 2011年の春は東北を廻ることも多くて、被災された方が観に来てくださることも多かったです。僕たちの気持ちもいつも以上だったし、カーテンコールの時に客席から「ありがとう!」って声をかけてもらえたりしたので、僕らの太鼓を通じたメッセージも客席も熱いものがあったと思います。会場自体は、壁がひび割れているところもあって公演自体が難しそうな状況もありましたけど、実現できて良かったと思います。

海外公演も多数されていますが、海外での和太鼓、反応はいかがでしょうか。

吉井 : 国によって全然違いますね。お国柄が出るのが面白いです。それは日本国内でもそうですね。東京でやるのと京都でやるのは反応が違ったり、東北と九州で好みが違ったりそういうのが面白いです。海外だと僕はブラジルとかが好きですね。それこそサンバの国なので打楽器のノリの気持ちのつながっている感とか、演奏後のウワーッと盛り上がるところとか、印象的でした。

今海 : 僕はアイルランドとか面白い反応だと思いました。同じ島国だし、音楽のジャンルは違いますけど空気感とか日本や佐渡に似ている感じがして。反応は日本とは違いましたけど、僕はケルトミュージックもいいなと思っているので何か合うところがありますね。僕らがやっている“ワン・アース”は、普遍的な、民族を超えたところに訴えかけるものとしてやっているので、それが伝わっている手応えと、表面的な反応の違いもどちらも面白く感じています。正直、反応の違いが不安な時もありますけど、やはり面白いと思います。

>ちなみにこれまで何ヶ国で公演されているのでしょう?

吉井 : 46ヶ国になりますね。

今海 : ほとんどが欧米なので、アフリカとか南米とか、東南アジアとかもなかなか公演できていないのでもっといろいろ行きたいですね。

ご自身が太鼓をはじめ、そして鼓童に加わるきっかけは何だったのでしょうか?

今海 : 小さい頃からお祭りの太鼓をやっていて、中学生の時に自分の地元に来た鼓童を観たのが大きかったです。自分がやっている太鼓とは違ったし、太鼓で2時間も公演できるのもすごいし、単純にそれを観て入りたいなと思いました。それといろんな所にツアーをする、旅をするというのが、僕の中では大きくて、太鼓で世界を廻れるということも魅力的でした。それで、どうなるか分からないけどやってみようと決めました。

吉井 : 僕が太鼓をはじめたのは学校の文化祭の時で、取り組んでいくうちに、不登校とか荒れていたクラス全体がいい雰囲気になっていったので太鼓の不思議な魅力みたいなものに興味が出てきました。それから高校、大学と太鼓を続けていましたが、大学の勉強がつまらなく感じて、大学を辞めて1年間各地の祭を見て廻って芸能が持っているコミュニティみたいなものの力を研究したくなりました。一方で、就職を考えないといけない時期だったのですが9.11のテロが起きたのがその頃です。鼓童のことはそれ以前から知っていたのですが、鼓童がその当時出していた『MOND HEAD』というアルバムがいろんな国の民族音楽と日本の太鼓を合わせた作品で、当時の世界の動揺の中で何かを提案しているように見えて、太鼓の魅力や力というものに可能性を感じて、鼓童に入りました。

>はじめは研修所に入るんですよね?

今海 : そうです。佐渡の研修所に入って、今は2年間ですけどいろんなことを勉強してそこを出たら一緒に活動することになります。

>研修は厳しいんですか?

吉井 : 僕の時は朝4時50分に起きて10キロ走って、という感じでしたね…吹雪の中とかを。廃校の校舎とかで練習するので、窓の隙間とかから冷たい風が入ってきて超寒かったです(笑)。他にも農作業や田植えをやったりとか、佐渡の地域に伝わる芸能の勉強をさせてもらったりしました。

演奏活動などに際して、大切にしていることは何でしょうか?

今海 : ただ叩くだけでは自分の心も動かないし、何かの気持ちがあって、それが太鼓を通じて伝わると思っています。それがない時には先輩にも良くないって言われますし、そういうものは伝わるものです。鼓童は太鼓や歌、踊りとかいろんな要素があって一つの舞台になるので、しっかりとした意志を持たないと、ただ流れで演奏するということになってしまいがちです。意思を持ってやらないと、何でやっているんだろう?って悩んじゃうこともありますので。

吉井 : 僕はライブ感みたいなものを大切にしています。公演数も多いので、毎回同じ事をやっちゃいがちになるんですけど、その日のお客さんとか、天候ひとつで楽器の音も変わりますので、今日のベストをどう出せるかというのを大事にしています。もうひとつ、僕らはツアーのたびに佐渡から出てくるので、日本の郷土感とか懐かしさみたいなものをふと気付かせられたらなと考えています。何か日本の風が吹いている、舞台上なんだけど山の風なのか海の風なのか風土感みたいなものを感じられる舞台にしたいなと思っています。

今後目指していくところについて教えてください。

今海 : 2012年から坂東玉三郎さんに芸術監督として関わっていただきます。これから50年、100年と鼓童が歴史を創っていくためにも、今までを大事にしながら新しいものを作るためにも玉三郎さんから教えていただくことで、太鼓の新しい可能性をもっと広げたいし、そのことを楽しみにもしています。

吉井 : 音楽面では、単に産業としての音楽になっていきたくないというのはすごくあって、産業音楽としてではなく自分たちが何を訴えたいのかに重きを置いて演奏活動を行いたいなと思います。日本のいろんな世代の人たちに、古き良き日本とこれからの日本の感性の橋渡しというか、次の世代が一歩踏み出せるような提案ができたらなと思います。

今海一樹さん、吉井盛悟さんの“モットー”をお願いします。

今海 : 「エネルギーを出す」ということですね。鼓童の公演は毎日が祭という、普段とは違うものをいろんな所に届けていますし、鼓童としても普段は佐渡の空気を感じていて、それを公演で出すというものなので、太鼓を通してエネルギーを出していきたいなと思っています。

吉井 : 僕は「最善を尽くせ」ということですね。研修所の入口に書いてある文字が「最善を尽くせ」なんですけど、研修生の頃からみんなそれを見て、日々どんなことができるのか考えていました。今もその時々で何がベストなのか考えて行動したいので「最善を尽くせ」です。

では最後に、当インタビューを読んでいるOKWaveユーザーにメッセージをお願いします。

今海 : 太鼓というものはぜひ生で聴いてもらいたいですね。CDなども出していますけど、やっぱり一番はライブで見ていただいて、空気感とか振動とかそこでしか味わえないものを感じていただければと思います。本当は外で叩いて伝えるのが一番だと思いますが、劇場等で行なっている公演を観ていただいて、それから佐渡にもぜひ来てもらいたいです。太鼓だけではなく歌や踊りなどいろんな要素で舞台を作っていますので、ぜひ生で音を感じてください。

吉井 : 公演中の「鼓童ワン・アース・ツアー2011」観に来ていただきたいですし、鼓童を通じてその奥にある何かを感じて欲しいですね。

今海一樹さん、吉井盛悟さんがいま気になっていることを「質問」してください。OKWaveユーザーが「回答」します。

今海:僕はありがたいことに鼓童で好きな太鼓を叩いていて、
頭の中が真っ白になるくらい解放される瞬間もあります。
みなさんがそういう風に何かをやっていて解放される瞬間ってどんな時でしょう?

吉井:僕らは民俗音楽を舞台に上げて公演していますけど、
日本の音楽に何を期待していますか?
日本の音楽がこれからどんな風に発展したらいいなと思いますか?

Information

鼓童ワン・アース・ツアー2011 ~結成30周年スペシャル~

生命の輝きを呼び起こす『原始のエネルギー』をたずさえ、今を生きるすべての人々と熱い共感を分かち合う旅へ。日本全国ツアーもいよいよクライマックス、この感動をお見逃しなく。

東京公演 青山劇場
2011年12月8日(木)~12月18日(日)

料金:6,500円(全席指定、税込)※未就学児の入場不可
お問合わせ:鼓童 0259-86-3630

Profile

鼓童
太鼓を中心とした伝統的な音楽芸能に無限の可能性を見出し、現代に再創造を試みる集団。ひたすらに肉体を躍動させ、叩き、踊り、奏でる舞台は、日本のみならず世界の芸術・音楽表現に強い影響を与える。1年の1/3を海外、1/3を国内、1/3を佐渡で過ごし、多様な文化や生き方が響き合う「ワン・アース(ひとつの地球)」をテーマに、これまでに訪れた国は46ヶ国にのぼる。

http://www.kodo.or.jp/

今海一樹(鼓童13期メンバー)
1975年8月28日生まれ。京都府船井郡和知町(現・京丹波町)出身。
藤本吉利と郷里を同じくし、同じ太鼓のリズムを聞いて育つ。1994年研修所入所、1996年よりメンバーとして舞台に参加。太鼓、鳴り物、踊りなど幅広く担当。
打ってよし、踊ってよし、喋ってよしのマルチプレイヤー。海外アーティストとの共演の時には、真っ先に相手の懐に飛び込むムードメーカーで「鼓童切り込み隊長」、「鼓童親善大使」の異名を持つ。気配り気遣いの人情家。

吉井盛悟(鼓童22期メンバー)
1981年8月12日生まれ。神奈川県横浜市出身。
学生時代は日本の祭りを巡り放浪しつつ地域社会と芸能の関わりを研究、また太鼓を用いて地域活動、青少年育成のための活動を行う。2003年研修所入所、2007年よりメンバー。舞台では太鼓、篠笛、胡弓などを担当。
2010年は、10ヶ国60回に及ぶコンテンポラリーダンサー/振付家のシディ・ラルビ・シェルカウイの作品「Babel バベル」に出演。11月には音楽監督として日本のフラメンコ舞踊団「ARTE Y SOLERA」とのコラボレーションの舞台「道成寺」の音楽を作曲・出演した。

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