OKStars インタビュー

Vol.147 女優

神野三鈴

OKStars Vol.147には女優の神野三鈴さんが登場!出演する舞台『欲望という名の電車』の話を中心としたインタビューをお送りします!

名作『欲望という名の電車』への出演ということで、作品に対して思うところなどお聞かせください。

テネシー・ウィリアムズの世界が大好きなんです。『欲望という名の電車』は、台本を読んだ時に、自分が生まれ育った時代とは違うのに懐かしいような、惹かれてしまうような何かがあって、いつか演じてみたいと思っていた特別な作品です。

>『欲望という名の電車』出演が決まってから、作品の舞台であるニューオリンズに実際に行かれたそうですね。

ニューオリンズは…食べ物が美味しかったです(笑)。作品の中の世界観を感じながら現地に行ったので、実際のニューオリンズは「ここがそうだったんだな」という感慨の方が強かったです。ニューオリンズ生まれのブランフォード・マルサリスという世界的なサックス・プレイヤーがちょうど里帰りをしていて、主人の小曽根真を待ちうけていて(笑)、毎晩彼がライブハウスを連れ回してくれました。そのおかげで黒人ミュージシャンの生活を垣間見ることができて、本当に黒人ジャズの人たちにとって特別な場所なんだなって感じました。街自体はアメリカの中でも見捨てられがちなところなのか、2005年のカトリーナで壊された残骸みたいなものがいまだに残っていたりとか、日本ではありえないような状況もあって、今ここにいる意味であるとか、主人とブランフォードの二人のミュージシャンがライブハウスで演奏している姿を見て、ニューオリンズのために何かできないかなと考えることもありました。『欲望という名の電車』の話に戻ると、ブランフォードが連れていってくれたレストランの名前が、高級フレンチの「ステラ」と、ハンバーガーショップの「スタンレー」でした。その「スタンレー」が毎年主催している、男の方なら誰でも参加できる「ステラ!」って叫ぶ声の大きさを競うコンテストがあって、本当に愛されているんだなあって思いました。しかもブランチではなくて、ニューオリンズに生きたスタンレーがみんなに愛されているんだなと、すごく思いました。

そのステラ役ということですが、どのように演じられるのでしょうか。

ステラは、与えられた価値観よりも自分の価値観や本能、気持ちに正直に生きていく、生命力や愛情に溢れている女性にしたいんですけど、それが作品の中ではブランチとスタンレーの間で引き裂かれてしまうので、その裂かれてしまうステラの幹の部分をできるだけ太くしたいです。どれだけその幹を太くできるかでブランチやスタンレーの悲しみや欲望が映ればいいなと思っています。

ブランチ役の高畑淳子さん、スタンレー役の宅間孝行さんについてはいかがでしょう。

宅間孝行さんは東京セレソンデラックスでご自身が作家も演出もされているので、演出的な目で全体を見ていらっしゃるところがあってとても頭のよい方と感じています。役者としては初めて黒人の役をされていて、二人の中ではどういうセッションが生まれるということをいつも楽しみに演じています。高畑淳子さんは私にとって本当にお姉ちゃんみたいな方。演劇少女が本当にピュアな気持ちで初めて演劇の扉をたたいた時の心を持ったまま、百戦錬磨の技と精神力を持っていらっしゃいます。TVやバラエティもやりながら、一番奥の部分には演劇に対する真摯な思いや純粋さを持っていて、私もすごく影響を受けてると思います。私がデビューした頃に「淳子みたいな子が出てきたよ」って言われていたそうで、井上ひさしさんの遺作『組曲虐殺』で初めて共演させていただいた時に「あ、私の妹がここにいる。ステラがここにいる」って言っていただいて今回のステラ役のお話をいただきました。すごく嬉しくて、このご縁は絶対に何かあるんだろうなって思いました。高畑さんは本当にお姉ちゃんのような存在なので、芝居の時には何の遠慮もなくぶつけられるし、お互いに目指しているのはどれだけ生の芝居ができるかなので、自分を見せたり用意した芝居をしたら失礼なので、その場で出てきたものに純粋に反応する、ということが千秋楽まで続くんだろうなって、宝物のような時間を過ごしたいと思います。

そういう意味では稽古はどんな様子でしょうか。

今も幸せな現場ですね。そういうすごい女優さんと一緒にできるのは本当に限られていますので。稽古自体は本読みの時間が割と長かったです。古い本なのでテキレジしたり、時間も長い作品でブランチが出ずっぱりなので流れをつかむために「無理だろ」って時期に突然通し稽古が始まったり(笑)。演出の鵜山仁さんは割りと自由にさせてくれる人なので、私は今のところ自由にやっています、その間に外堀は埋まっていく感じです。他の戯曲と比べて、ブランチのところが多いので、始まってしまうとジェットコースターみたいですね。

夫である小曽根真さんのピアノについては?共演ということでいかがでしょうか。

彼の場合、ジャズなので即興が多くて、ぎりぎりのところで降りてくる自分の音楽をその瞬間に音にするので、よっぽど自分の感性を信じてないとできないと思うんです。今回も7割くらいは即興演奏なんですけど、ちょっとでも疑ってしまったら弾けなくなってしまうので、自分に聞こえてくるものを信じる力がないとできないですよね。それと自由さと。相手の音を聞くこととかは、ジャズも役者と同じで会話なので似ているところもありますね。でも聞こえてきたものを音にするにはテクニックも必要で、そういうところも役者と近いものがあると思います。夫も役者だったら細かいところが気になってしまいますが、大事な部分だけ似ていて表現の仕方だけが違うので風通しもよく刺激し合えるかなと思っています。ただ、問題はふたりとも現地に行って何かをする仕事なので日常がツアーなんです。彼も3ヶ月ツアーに出たとすると行く前と後では違う顔をして帰ってきますし。日常生活の何もない積み重ねが大事だから、それを意識して大事にしようと思うまではお互いに大変でした。何より、彼は今では丸くなった方ですが、それこそスタンレーみたいな性格だったんです(笑)。

『欲望という名の電車』見どころをお願いします。

昔の名作とかそういうことではなく、いま目の前で起きている「生」の人間のドラマや音楽を感じていただきたいと思います。すべての登場人物が、いま生きている私たちと同じように希望も絶望も諦めも持っている中で、それを色濃く生きている証のようにもがいています。なので、逆に長く生きていくために何が欲しいのか分からなくなっていることが多い今「あなたの欲望は何?」ということを突きつけたいと思います。欲望を持つこと自体は決して悪いことではないし、でもそれで人とぶつかるタフさ、そういうものを観ていただけたらと思います。

2011年を振り返ると?

2010年は大切な人を見送ることが多くて、そういうことが続くとどう残りの人生を生きていくんだろうって思うことが多かったんです。でも今年は新しい出会いがいっぱいあって、生きてさえいれば新しい扉があるんだなって教えてもらえた年です。一方で東日本大震災があったので、自分たちの周りだけではなく地球規模で、みんな運命共同体として何かを考えなきゃならないんじゃないかって思うようになりました。震災後には海外の友人たちにも助けてもらってチャリティCD『LIVE & LET LIVE - LOVE FOR JAPAN』を作ったりもしましたけど、ニューオリンズでハリケーン・カトリーナがあった、チリやニュージーランドで地震があった時に、今までは頭では分かっていたけど、震災を経験して、みんなが実際に想像力を使って自分たちの問題として感じたり考えるようになったと思いますし、私も具体的にいろんなことを始めた1年でした。

2012年に向けて期待していることは?

自分だけのことではなくて、人の笑顔、とくに子供たちの笑顔がいっぱい見られるといいな。それと、環境問題とかでも国任せではなくて、自分たちで確認しながら、もっとタフになって行動を起こしていきたいなと思います。

神野三鈴さんの“モットー”をお聞かせください。

「日常生活」です。全てが日常からしか生まれないので、何でもない日々の営みみたいなものを大切に愛おしんでいきたいです。舞台初日だ、千秋楽だ、打ち上げだ(笑)って、女優ってハレが多いので、日常を大事にしていきたいです。

では最後にOKWaveユーザーにメッセージをお願いします。

まず、高畑淳子が女優生命かけています(笑)。そして、青年座も劇団生命かけてます(爆笑)。なので追加公演ができるくらい観に来てください。それはともかく、高畑お姉ちゃんが女優生命かけている姿を見て欲しいし、妹も頑張りますし、小曽根もすごいやる気です。とにかく人間の“生”を観に来てください。

神野三鈴さんからOKWaveユーザーに質問!

『欲望という名の電車』の台本を読んだ時に、
自分がこの時代にいたんじゃないかって思うくらいの懐かしさやデジャヴを感じたんですが、
本や芝居、映画、絵画などの作品や1シーンとかで
みなさんが感じたことのある懐かしさや既視感がありましたら教えてください。

Information

青年座交流プロジェクト『欲望という名の電車』

ミシシッピー川下流の町ニューオリンズ。貧しいが活気にあふれた魅力のある街。「欲望」という名の電車に乗り、「墓場」という電車に乗りかえ、「極楽」駅に降り立ったブランチ・デュボア。ベルリーブ(麗しの夢)と呼ばれる大農園を持つデュボア家に生まれ育ったブランチだが、今や持てるものは全て失い、妹ステラ・コワルスキのアパートに身を寄せることになった。ニューオリンズの申し子のような粗野で奔放なステラの夫スタンレーの生活は、華麗な過去の夢を追い、自らを装うブランチのそれとはあまりにもかけ離れていた。狭いアパートで日ごとに深まる亀裂。そこから逃れようと、スタンレーのポーカー仲間ミッチに最後の望みを託すブランチだが……。

2011年12月15日(木)~25日(日)東京・世田谷パブリックシアター
料金:S席6,500円、A席5,000円

作:テネシー・ウィリアムズ
訳:鳴海四郎、演出:鵜山仁、音楽・演奏:小曽根真
出演:高畑淳子/神野三鈴/宅間孝行/小林正寛 ほか

お問合わせ:青年座 03-5478-8571(平日11:00~18:00)

Profile

神野三鈴

1966年2月25日生まれ神奈川県出身、A型。
舞台やTVドラマに多数出演。近年の出演作は「トップガールズ」(2011)。2012年1月放送予定、日中韓3ヶ国世界初の共同制作WOWWOW連続ドラマ「Strangers 6」に出演。

神野三鈴オフィシャルサイト

<写真撮影>坂本正郁

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