OKStars インタビュー

Vol.163 映画監督

フィリダ・ロイド

OKStars Vol.163は特別篇!『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』主演のメリル・ストリープさんとフィリダ・ロイド監督の来日記者会見の模様と、フィリダ・ロイド監督への単独インタビューをお送りします!

役作りで苦労したことは?

メリル・ストリープ : 私はアメリカ人ですから、今回の舞台が英国ということですでにアウトサイダーなんです。サッチャーさんは、愛され、憎まれた女性。私はお歳を召されてからの彼女の日常を知らないので、この2つを融合するのが難しかったわ。

マーガレット・サッチャーの魅力をどんなところに感じますか?

メリル・ストリープ : たとえ首相になっても女らしさを失わなかったところ。政治家であり男社会で生きる中、女らしさを捨てた方が楽だと思ったはずなんです。けれども、ハンドバックやヒラヒラしたブラウスを着て女らしさを保っていました。一方で、涙や笑いなど女の弱々しいところは表に出さなかった。だからこそ「鉄の女」と呼ばれたのでしょうね。

フィリダ・ロイド監督 : 決して自分の出身を忘れなかったところです。位の違う人も気にしていたし、普通の人間の気持ちが分かる人だと思います。

メリルさん、サッチャーを演じることでやりにくくはなかったですか??

メリル・ストリープ : サッチャーさんを演じることには責任感があります。実在の人物を演じるため、正確で真実に近い役作りをしていきました。観た人が彼女の人生に自分を重ね合わせられるように演じたかった。自分自身の親の世代のことを学ぶ素晴らしい機会を持つこともできました。

フィリダ・ロイド監督、難しかったと思うシーンは?

フィリダ・ロイド監督 : 撮影の最初の3日間とメリルは言うんじゃないかしら。その時はサッチャーが党内で信頼を失っていくという一番難しいシーンを撮ったんです。メリルは素晴らしい想像力があってやることの加減を分かっていたからこそできたと思います。

メリル・ストリープ : サッチャーさんの記憶や物事が交互に入り組む構成で、まだ撮影が始まってなかったためどうなるのか理解し切れてなかったんです。サッチャーさんの信頼する方々とのシーンでしたが、私にとっては共演する俳優さんとも初めてで、想像しながらやっていったので、さじ加減が難しかったです。

「鉄の女」を演じたことから、野田首相に対してのアドバイスは?

メリル・ストリープ : 演技に関するアドバイスが必要でしたら私に言ってください(笑)。

フィリダ・ロイド監督 : 首相は震災後の非常に大きな仕事をしていると思います。日本に来ると謙虚な気持ちになります。

メイクアップの方は30年ほどの付き合いとアカデミー賞で仰っていましたが、絆やエピソードを教えてください。

メリル・ストリープ : メイクアップのロイ・ヘランドとは私が女優になって以来37年の付き合いになります。彼と英国出身のマーク・クーリアと2人で担当してもらいました。今回のメイクは縫い目がないぐらいぴったり合っているんです。キャラクターをつくるというユニークなメイクのやり方をしました。初めてサッチャーさんになった自分の顔を鏡で見た時は、知った人がいる!と思ったわ(笑)。父とサッチャーさんを足したような顔でした(笑)。

では最後にメッセージをお願いします。

メリル・ストリープ : 日本に来られて嬉しいです。何度も訪れたい国です。たくさんの人がこの作品を楽しんでもらえることを望んでいます。

フィリダ・ロイド監督 : 英国人だけでなく世界中の人に届く普遍性のある作品を作りたいと思いました。また、老齢についての映画でもあるんです。ぜひ観ていただいて、何かを感じとっていただければと思います。

■フィリダ・ロイド監督 単独インタビュー

サッチャー元首相の夫デニスの描かれ方が興味深かったです。幻として現れること自体がとても悲しいことなのに、ユーモラスな人物として描かれていて、その落差が却って考えさせられるところでした。デニスという人物をどう描こうとしましたか。

フィリダ・ロイド監督 : デニスは存命中、マーガレット・サッチャーにとって非常にポジティブでウィットに富んだユーモラスな人物でした。亡くなった後も彼女はそういう人が必要だと感じているし、彼女が政治家であった頃に、深刻な時には彼がジン・トニックを持って冗談を言って笑わせて、地に足をつけさせる、そんな存在だったので、できるだけ永くデニスにいて欲しいと思う気持ちはあると思います。この映画は喪失というものが大きなテーマのひとつで、それに対してどう対処していくかということが描かれていますが、メリル・ストリープも「自分が年老いた時にどうなるのかを考えつつ演じていた」と話していました。

メリル・ストリープさんとは『マンマ・ミーア!』に続いてタッグを組まれましたが、今回も彼女を起用した理由は?

フィリダ・ロイド監督 : 49歳から85歳までの年齢を演じられる女優って誰だろうと考えたら、すごいスーパースターが必要だと思いました。サッチャーを演じられる女性というのは、知性や感情の幅が広くないとできませんので、その点でもメリルが一番だと思いました。それと同時に、どんな作品でももう1回メリル・ストリープと仕事がしたいと思っていたので、いい口実を探していて(笑)、彼女もこの役には興味を持つだろうなと思いました。

政治を描いた映画ではありませんが、一方で議会のシーンをはじめ、政治に携わる場面がたくさん出てきます。「政治家サッチャー」をどのように描こうと思いましたか。

フィリダ・ロイド監督 : 政治家としてのサッチャーを完全に見せているわけではないし、記憶に残るシーンも描いていますが、極めて抽象的に描きました。ある意味、シェークスピア的な作りになっています。マーガレット・サッチャーの視点から描かれているので、史実とは異なっていたり、歪められている部分もあるかもしれません。いま生きている老齢の彼女が何かのきっかけに過去のことを思い出す、その回想シーンという作りになっていますので、フォークランド紛争の回想についても、息子が家に帰れないという電話があるところから、戦場に行って帰れなかった兵士たちのことを思い出し、そこから彼女の記憶を紐解いていくので、あまり細かい描写はしていないんです。彼女は強い信念と自分に対する自信があったので、道徳観からは正しいか正しくないかを考えていましたけど、自分の信念を信じすぎて人の言うことに耳を傾けなかったことが彼女の欠点にもなったわけで、ある意味ギリシア悲劇的な結末になったと思います。

フィリダ・ロイド監督からOKWaveユーザーに質問!

日本では、マーガレット・サッチャーの首相時代よりも、
今の時代の方が女性にとって仕事と家庭を両立させるのが良くなっているのか、
それとも変わらないのか、どうでしょうか?どう感じますか?

Information

『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』
2012年3月16日(金)TOHOシネマズ日劇ほか全国ロードショー!!

夫は他界、子供たちは独立し、ひとり静かに晩年を送るマーガレット・サッチャー。夫の遺品を整理する決心がつかないマーガレットは、8年目にして、ついにある決意をした。だが、夫デニスは、今もまだマーガレットの幻想の中に存在する。時には朝食の食卓に現れたり、子供たちの昔のビデオを一緒に見たり、彼はいつだってそばにいるのだ。自叙伝に旧姓でサインをしてしまったマーガレットは、ふと過去を振り返る。夫と出会う前、夫との出会い、結婚生活、そして、“鉄の女”の名で知られた政治家としての人生を。

メリル・ストリープ
ジム・ブロードベント、

監督:フィリダ・ロイド
脚本:アビ・モーガン

(C)Pathé Productions Limited , Channel Four Television Corporation and The British Film Institute.

公式サイト:http://ironlady.gaga.ne.jp/

配給:ギャガ

Profile

フィリダ・ロイド

1957年、英ブリストル生まれ。
映画監督デビューは、メリル・ストリープ主演の『マンマ・ミーア!』(08)。同作品は全世界で6億ドルの大ヒットとなり、英国アカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞にノミネートされた。この映画のDVDはイギリスで史上最高の売り上げ記録を誇っている。
バーミンガム大学を卒業後、BBCでテレビドラマの製作にたずさわり、以後、舞台演出家として活躍。ロイドが演出した舞台ミュージカル「マンマ・ミーア!」は、ロンドンのウエストエンドでデビュー、ブロードウェイに移って、現在もロングラン上演されている。09年には「メアリー・スチュワート」を演出、トニー賞にノミネートされた。オペラ作品も手がけており、06年にはロイヤル・フィルハーモニック協会賞を受賞。また、10年には、大英帝国勲章第三位の称号をエリザベス2世より与えられた。

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