OKStars インタビュー

Vol.164 映画監督

三木孝浩

OKStars Vol.164は2部作連続ロードショー『僕等がいた』の三木孝浩監督が登場!『僕等がいた』の見どころ等をお聞きしました。

『僕等がいた』を2部作で描くいきさつなどお聞かせください。

この『僕等がいた』は、当初3部作にしようかという話もあったくらいの大作でしたし、恋愛の機微を丁寧に描いているので、ダイジェストにはしたくない原作だと思いました。読み込んでいくと大きく第8巻までの高校生篇と、第9巻以降の大学生・社会人篇の大きく2部構成として描かれているので、それに則って映画化するのがいいんじゃないかと判断しました。

>連続公開ということについてはいかがでしょうか。

連続公開にメリットがあると思ったのが、前篇をお客さんに観てもらって、その記憶がまだ温かい内に後篇を観ていただけることです。この物語そのものにもつながる「あの頃の思い出」をいま生きる上でどう整理していくかというテーマにもつながっていますので、後篇を観ていただく時に、前篇の回想シーンが出てきたりすると、観客の皆さんにとってもそのシーンが思い出になってキャラクターとシンクロするようにもなっているので、今回の前後篇連続公開の最大のメリットだと思います。

『僕等がいた』映画化で一番大事にしたところは?

原作を読ませていただいた時に、それまでそんなに少女マンガを読んだことはなかったんですけど、改めて少女マンガ独特の世界観や様式美があるなと思いました。例えば七美の心がときめいた瞬間の些細な感情の変化がものすごく丁寧に描かれていて、それこそ決めカットの表情もそうですし、背景もディティールではなくて感情をグラフィック化して表現しているようなところも、少女マンガ独特の面白さだと思います。なので、僕も原作と同じように、ディティールにこだわるのではなくて、感情をどう映像化するかにこだわろうと思いました。マンガで見せられなくて映像で見せられるところといえば動きの部分なので、たとえば主人公たちの心の揺れを逆光の揺れ方とか、風で髪がふっと揺れたりとか、カメラがじんわりと近づいていくとか、そういう動きで原作のディティールを描きたいと思いました。

恋愛ということについてはどう描こうと思いましたか?

前後篇ともふたりの恋愛を描いていますけど、前篇は高校生特有の自分の思いを相手に押し付け過ぎるゆえのすれ違いをテーマにしました。逆に後篇は相手を気遣い過ぎるがゆえにすれ違っていく感じ…同じ恋愛でも世代によって有り様が違うということを前後篇でコントラストを付けました。恋愛ってうまくいかないことの方が多いので、そのうまくいかないところを前後篇でもカラーを変えようと思いました。

前後篇を生田斗真さん、吉高由里子さん通して起用したねらいは?

高校生篇を同年代のキャストで描く考えもありましたけど、あるカップルの長い過程を描く上でキャストを分けるわけにはいかないなと思っていましたし、当然軸にするのは大人篇だと思っていました。タイトルも『僕等がいた』という過去形で回想録ですので、実際に20歳を超えた生田さん、吉高さんがあの頃を思い返すように演じることで伝わるんじゃないかなと考えました。

では生田斗真さん、吉高由里子さんに演じる上で求めたことはいかがだったでしょう?

生田さん、吉高さんには10代の頃の気持ちを掘り起こしてもらえば演じられると思いましたので、そこを照れずにまっすぐ演じることが前篇のテーマでした。

>高校生の頃ってこういう感じだったなぁ、と思い返しました。

20歳を超えた人が自分の10代の頃の恋愛感情を思い返すと、だいたい照れくさいじゃないですか。恥ずかしかったり、辛い思い出だったり、失敗も多かっただろうし。でも、そういうこともあって、角が取れていい思い出だと感じるものですよね。そのままの記憶ではなく角が取れていい思い出になっていくと思いましたので、リアルタイムの人が演じるよりも20歳を過ぎた人が演じる方が思い出の丸みを表現できるんじゃないかなと考えました。

釧路と東京が舞台ということですが、撮影中のエピソード等お聞かせください。

ロケハンをしていて、釧路が原作の舞台として意味があるなと感じたのは、北海道の中でも霧が多い地域で、晴れていても1枚フィルターが掛かったような、少し白いようなファンタジックな土地柄で、そこにうっすらと湿っぽさと陰があるんです。それが『僕等がいた』のキラキラしているけど裏に1枚陰を潜めている感覚にピッタリ合っていると思いました。でも、その霧が毎日すごくて、天候の変化に左右されましたので撮影には苦労しました。撮影していた5月頃の釧路はもともと気温10度もないような寒さなんですけど、霧が出てくると体感温度がさらに3、4度下がるので、霧と寒さとの戦いでした。その分、透明感のある良い映像が撮れたんですけどね(笑)。

監督からの前後篇それぞれの見どころ、観るポイントをどうぞ。

前篇は観ている人の“あの頃の記憶”を呼び戻すスイッチになればいいなと思って作ったので、みんなの記憶の中にあるような風景を散りばめました。学園祭やお祭り、花火とか、通学風景の感じもそんなに世代間を意識せずにどの世代にも引っかかるように作ったので、そういう要素から、観ている人それぞれの10代の頃を思い出して欲しいですね。後篇はその思い出が今の自分にとってどう作用しているかが観ている人にとってもシンクロするところなので、そこを観て欲しいです。

三木監督が今回の撮影を通じて、新しく取り組んだことや得たこと、気づいたことは?

色の調整の仕方など、日本映画ではあまりやらないようなやり方をしました。あの頃を思い出すとちょっと美化していたりするようなイメージを色合いでも出したいなと思って、少し光を滲ませたり、撮影している時にはそういうフィルターをかけたり、色の調整をする時もコントラストを浅くして、ふわっとした映像にしたいなと考えてやりました。気づいたことで言えば、恋愛の理不尽さとか、周りからこうした方がいいのにって言われても恋愛って結局当事者の思いこそが全てというか、好きになるのに理由がないんだなってことが『僕等がいた』全篇をつらぬいているので、やはり恋愛って当人同士なんだなと感じました。

三木孝浩監督の“モットー”をお聞かせください。

楽しむことですね。現場でも関わる仕事全体を通して思うことですけど、作り手が楽しんでいないと伝わらないと思いますし、個人的にもピリピリした現場は好きではないので(笑)、もちろん真剣に取り組みますが、みんなが楽しめる現場が良い現場だと思うので、そういう場になるように僕自身楽しんで取り組むようにしていますね。

では最後にこのインタビューを読んでいるOKWaveユーザーにメッセージをお願いします。

『僕等がいた』は久々の直球のラブストーリーで、前後篇を通じてしっかり描いている恋愛大河作品になっています。震災から1年経ちましたが、まだまだ日本が元気になっていない中で、何が日本を元気にするだろうと考えると、女の子がいっぱい恋愛しているのが元気のある社会なんじゃないかなと思います。とくに今は恋愛に対して諦めていたり距離を置いている人も多いと思いますが、恋愛をすると傷ついたり大変な思いをしたりもしますが、絶対それは人を成長させてくれる、糧になるものなので、この映画を観て人を好きになったり恋愛するのっていいなって思ってもらえたら、より社会に元気を取り戻す機会にもなるんじゃないかなと考えています。恋愛真っ盛りの10代の方はもちろん、ちょっと恋愛から遠ざかっている上の世代の方にもぜひ観てほしいです。

三木監督からOKWaveユーザーに質問!

みなさんが映画化して欲しい小説やマンガなどの作品はありますか?
次の映画の参考にします(笑)。

Information

『僕等がいた』<前篇>公開中!、4月21日<後篇>
2部作連続ロードショー

北海道・釧路。クラスメイトの結婚式で故郷に帰った高橋七美は、廃校となる母校の 屋上にひとり立っていた。目を閉じるとあの頃のまぶしい記憶が浮かびあがる。
7年前。高校2年生になった七美はクラスの人気者の矢野元晴とこの屋上で出会った。 矢野に徐々に惹かれていく七美。しかし矢野は年上の元恋人・山本奈々との死別という過去を引きずっていた。一途な想いを貫く七美に対し、矢野は少しずつだが心を開いていった。2人のサポート役に徹していた矢野の親友・竹内匡史の七美への募る想い、 亡くなった奈々の妹・山本有里と矢野との間の秘密。それでも、互いに想いをぶつけ合い、傷つけあいながら、2人はついに共に未来を歩んでいくことを誓いあう。しかし幸せの日々もつかの間、両親の離婚で矢野は東京へ転校することになり、更なる試練が襲いかかるのだった…。

出演:生田斗真、吉高由里子
高岡蒼佑、本仮屋ユイカ、小松彩夏、柄本佑/比嘉愛未/須藤理彩、麻生祐未
監督:三木孝浩
原作:小畑友紀(小学館「月刊ベツコミ」連載)
配給:東宝/アスミック・エース

公式サイト:http://bokura-movie.com/

© 2012「僕等がいた」製作委員会  © 2002小畑友紀/小学館

Profile

三木孝浩

1974年、徳島県生まれ。
これまでにいきものがかり、FUNKY MONKEY BABYS、YUI、ORANGE RANGE、木村カエラ等、多数のミュージックビデオや、ショートフィルム、CMなどを手掛ける。MTV VIDEO MUSIC AWARDS JAPAN 2005 最優秀ビデオ賞や、カンヌ国際広告祭2009メディア部門金賞などを受賞。2010年、『ソラニン』で長編監督デビューを飾る。

三木孝浩のプロフィール
http://www.takahiromiki.com/
http://www.stardust-directors.jp/

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