OKStars インタビュー

Vol.215 映画監督

ロバート・ロレンツ

OKStars Vol.215には名優クリント・イーストウッド4年ぶりのスクリーン復帰作『人生の特等席』で初メガホンをとったロバート・ロレンツ監督へのインタビューをお送りします!

『人生の特等席』は幅広い年齢層に受け入れられる作品と感じましたが、監督はご自分では撮っている時から意識していましたか?

仰るとおりです。幅広い世代にアピールするだろうというのが、最初にこの企画にピンときた理由です。キャストにとっても演じ甲斐があるキャラクターだろうと思いました。そして普遍的なメッセージを持っているところに惹かれて、取り組みたいと思いました。人は人生の中で時には立ち止まって一番大切なものが何なのか考える瞬間がある。そのことを描きました。そういった意味でもたくさんの人にアピールできるんじゃないでしょうか。

初監督ということですが、最初の映画として本作を選んだ経緯は?

実は初監督作品として幾つかの企画をあたためていましたが、ある日突然この映画の企画が舞い込んできたんです。とても素晴らしい企画だし、何と言ってもクリントにピッタリの役があるので、キャストにとっても魅力に感じてもらえる企画で、多くの人に響くと思いましたし、初監督作品としてやってみたいとも思いました。

クリント・イーストウッドさんは最近は監督に専念されていたり、その前もご自分の監督作への出演という形でした。今回、純粋に主演作ということで、ロレンツ監督からは俳優クリント・イーストウッドについてどう感じたのかお聞かせください。

実は彼のことを演出したいとずっと思っていました。ですがやはり彼が思うように自由に演じてもらったので、むしろ邪魔しないようにと心がけていました(笑)。その分、彼の演技のパフォーマンスを編集することが楽しみでした。なぜなら、クリントは謙虚なので、自分の演技を立たせたり輝かせるような演出をわざわざ選んだりしないので、今回は彼の輝いている部分を引き出したいと思っていました。今回はクリントの最高の演技が際立っていると思います。父と娘の関係が逆転し、娘が父の面倒を見なければと思うようになる、その関係性が大事でしたので、クリント自身は82歳なのに驚くくらいに健康体ですが、演じたガスの老齢からくる衰えを演じてもらったことで、リアルなものができたと思います。

人生において壁にぶつかった時にどうするか、ということも映画のテーマとして上げられるかと思いますが、監督自身は撮影や製作を通じて何か壁にぶつかるようなことはありましたか。

長い間、監督したいと思っていて、ようやく到来したチャンスだったので、むしろ準備万端で臨みました。ですので撮影の時には幸いにも難しい局面を迎えること無く作ることができました。キャスティングなどの製作の部分では、クリントと意見が異なることもありました。そんな時は自分のやりたいことや作風というものを頭に置きながら、そこにプラスしてクリントのアドバイスも取り入れたりしました。

クリント・イーストウッドとのやりとりで印象的なことはありますか?

先ほど少しお話したキャスティングの話ですね。クリントの監督作品でも同じようなケースがあると、プロデューサーらと話し合いをした後、最終的には監督の判断を尊重する形になります。なので、今回は私の判断をクリントも尊重してくれました。
それと編集ですね。クリントの作品はどちらかと言うとペースがゆっくり目の伝統的なスタイルの作風です。私の場合はもう少し質感のようなものを意識して、シーンとシーンの間に詳細な映像を挟んだりしました。そうすることでシーンの文脈がより分かりやすくなると考えましたが、クリントがそれを見て「これは外していいんじゃないか?」と言うこともあって(笑)、最終的には良いバランスで編集できました。

そのキャスティングについてはいかがだったでしょうか?

クリントがよく言う言葉でもありますが、キャスティングがその映画を良くも悪くもすると思います。クリントが主演してくれたことで、初監督作品にこんなに素晴らしいキャストが集まって嬉しかったです。キャストが現場に来る初日は本当のことかと頬をつねる気分でしたが、実際、殆ど演出がいらないくらい素晴らしかったです。ですので、私はどちらかというと、野球選手役のような経験の少ない若手の俳優の演出に気を使いました。
クリントはもちろん、エイミー・アダムスやジャスティン・ティンバーレイクらはどのシーンも活き活きと生命を吹きこんでくれるので、すべてのシーンが印象深いです。そのエイミー・アダムス演じるミッキーとジャスティン・ティンバーレイク演じるジョニーがバーで野球のクイズを出し合って、後でダンスをするシーンがありますが、脚本を読んだ時はセンチメンタルすぎると思って編集の時にはカットするかもしれないと思っていました。二人の本格的な共演シーンの一番初めでしたが、撮ってみるとチャーミングで二人の魅力が出ていて、もちろんそのシーンは残すことにしました。

監督が一番大切にしたところは?

映画はどの面も大切ですが、今回はとくに野球ですね。野球はアメリカ人にとってとても大切なものなので、ちょっとでも嘘っぽいと冷めてしまいます。ですので野球のシーンは実際の野球コーチに役者への指導をしていただいて、演じてもらっています。また、野球の経験者の役者も起用しています。この野球の試合のシーンのリアルさにはこだわりました。

野球を映画の題材にした場合の、野球の魅力については?

アメリカでは人生の一部のようなものだと思います。子どもの頃に父親や兄弟でキャッチボールをしたり、何らかの形で野球に触れる機会がとても多いと思います。ですので歳を重ねてから野球の映画を観たとしても、そんな子どもの頃の記憶が呼び覚まされるので、アメリカでは野球という題材が描きやすいのかもしれません。これがブラジルならサッカーでしょうし、ニュージーランドならラグビーかもしれませんね。子ども時代のちょっとセンチメンタルな素敵な思い出が喚起されるのが大きなポイントではないかと思います。

イーストウッド演じるガスが葉巻を吸うシーンがたびたび出てきますが、この小道具については予定されていたものでしょうか?

元々の脚本にも葉巻を吸うということは書かれていたとは思います。キャラクター作りで差別化をしたいという思いもあり、ファンの方々が期待する俳優クリント・イーストウッド像に応えたいという気持ちもあったので、例えば、気難しいんだけどチャーミングであるところとか(笑)、そんな要素を加えてガスのキャラクターが決まりました。

監督にとっての“人生の特等席”は?

『人生の特等席』という意味は、自分にとって特別なことをする、ということ。私は映画が好きだし、映画を通していろんな人に会って、いまエキサイティングな人生を送っています。自分の好きなことをすることだと思います。

父と娘の関係の変化が描かれるとともに、ロレンツ監督とイーストウッドの関係の変化も描かれているように感じました。

よく聞かれる質問です(笑)。私は意識はしていなかったけれども、皆さん、そのように捉えるようですね。唯一言えることは、クリントは経験からくる壮健さをスクリーンで見せています。ガスは球団からそろそろ引退してもらって新しいやり方にしようという立場ですが、彼もまた自分のやり方を貫いていて価値ある人物であることもまた確かです。古いやり方と新しいやり方のバランスをどうとっていくかという物語でもあるので、そういった意味では私のやり方とクリントの昔ながらのやり方とのバランスを取らなければならないところだったので、そこは近いかもしれませんね。

OKWaveユーザーに質問!

『人生の特等席』は、クリント・イーストウッド演じる父と
エイミー・アダムスが演じる娘の、2人の関係性の変化が見どころの1つです。
そこで皆さんの、親子の関係で何かが変わったような、
きっかけやエピソード等をお聞かせください!
親の立場、子の立場、どちらも大歓迎です!

回答者10名様に『人生の特等席』オリジナルキャップをプレゼントします!

『人生の特等席』公開記念OKWave特別企画
クリント・イーストウッド×ロバート・ロレンツ 師弟映画特集

Information

『人生の特等席』
2012年11月23日全国ロードショー

ガス・ロベル(クリント・イーストウッド)は、メジャーリーグのスカウトマン。今の時代に、コンピュータも使わなければ、メールもしない、昔ながらのスタイルを貫く男だ。素直に感情を表現することが苦手で、話し方はぶっきらぼう、いつも気難しげな表情を浮かべている。そんな、時代に取り残されたような男を球団はお払い箱にしようとしていた。視力が衰え、目がかすみ始めたとはいえ、まだまだスカウトマンとしての自信と誇りは失っていない。ガスは、キャリア最後のスカウトの旅に出る。手を貸したのは、父との間にわだかまりを感じ続けてきた一人娘のミッキー(エイミー・アダムス)。妻を早くに亡くし、男手ひとつで育てようとして、育てられなかった娘と、思いがけず旅をすることになった不器用な父。初めて向かい合った父娘が、旅の終わりに見つけたものとは?

クリント・イーストウッド、エイミー・アダムス、ジャスティン・ティンバーレイク、
ジョン・グッドマン、ロバート・パトリック、マシュー・リラード
監督: ロバート・ロレンツ
配給: ワーナー・ブラザース映画
公式サイト: http://www.jinsei-tokutouseki.jp

(c)2012 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

Profile

ロバート・ロレンツ

フィルムメーカーとして長年活躍し、満を持して本作で長編監督デビュー。クリント・イーストウッドの製作会社マルパソ・プロダクションですでに数多くの作品を手がけており、イーストウッド作品のプロデューサーとして米アカデミー賞(R)に2度ノミネートされた。
助監督を務めた『マディソン郡の橋』(95)で初めてイーストウッドと組み、その後も助監督、製作総指揮等務めた。

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