OKStars インタビュー

Vol.224 プロデューサー

柴田宏明

OKStars Vol.224は、『ONE PIECE』映画11作目となる『ONE PIECE FILM Z(ワンピース フィルムゼット)』のプロデューサー、柴田宏明さんのインタビューをお送りします!

まず『ONE PIECE FILM Z』(以後、『FILM Z』)に関わることになった経緯を教えてください。

僕は映画『ONE PIECE THE MOVIE エピソードオブチョッパー+冬に咲く、奇跡の桜』(今作から二作品前。以後『エピソードオブチョッパー+』)からプロデューサーとして関わっています。2007年の春くらいにTVアニメ版『ONE PIECE』の初代プロデューサーである清水慎治プロデューサーから突然「来年は柴田くんやって」と言われたのが始まりでした。『ONE PIECE』の映画も初めは清水プロデューサーがやっていて、2代目が僕の大先輩である梅澤淳稔プロデューサーが担当していました。そのあといきなり僕に声がかかったのでびっくりしましたね。当時の『ONE PIECE』は原作10周年で、新刊が出れば270から280万部くらい売れるビッグタイトル。重責を感じながら『エピソードオブチョッパー+』をやり、その流れで前作の『ONE PIECE FILM STRONG WORLD』(以後、『STRONG WORLD』)も担当させていただき、今作まで続いているといった感じです。

今回の映画のメインスタッフはどのように決めていったのでしょうか?

これまで『ONE PIECE』のアニメに関わってない人をあえて抜擢して掛け合わせてみようと思いました。そうすることで今までにない新しいパワーが生みだせるのではないかという話を集英社さんや、フジテレビさんとしているなかで、長峯達也監督や、鈴木おさむさんの名前が挙がってきました。鈴木さんについては、アニメの脚本の経験もおありでしたし、数々の番組でヒットを飛ばしておられ、ファンが見たいものを的確に突くアイディアを出していただけるのではないかと。結果、見事に期待に応えていただきました。長峯監督と鈴木さんに関しては、お二人とも原作のファンであるというところも信頼したポイントです。やはり『ONE PIECE』への愛が豊富にある男気溢れた方と一緒に、しんどい思いをしながら最高の作品を作り上げていきたいので。鈴木さんからしてみたら、僕らがあまりにも自分らの思いの丈を語りまくるので、最初はびっくりされたのではないかと思います(笑)。

原作者・尾田栄一郎先生の印象を教えてください。

尾田先生とお会いしたのは『エピソードオブチョッパー+』のときにごあいさつに行ったのが最初です。それから映画のキャラクターデザインやシナリオの確認のためにお会いするようになり、打ち合わせのあとに焼肉をご馳走していただいたり(笑)。尾田先生は、“ファンに楽しんでもらう”という明確な意図があれば、フランキーやロビンと言ったドラム島に出ていないキャラクターを映画に登場させるといった改変にも理解を示してくださる方なんです。原作者でありつつ、プロデューサー的な大きな目線を持っている方なんだなという印象を、『エピソードオブチョッパー+』のときに受けました。『STRONG WORLD』では、映画の設定から関わり、そこで尾田先生の作品に対するこだわりの強さや執念のようなものを目の当たりにしました。クリエイター・尾田栄一郎とがっつり対峙したのはこのときが初めてで、圧倒されましたね。

今回、尾田先生はどのように作品に関わられているのでしょうか?

『STRONG WORLD』で思いのほか映画制作に関わりすぎてしまったという反省があったようで、本業の漫画に集中するために、『FILM Z』ではプロデューサーという立ち位置で関わりたいとの希望がありました。とはいっても、新世界編に突入してから初めての映画ですし、2年間修行して強くなったルフィたちをお客さんに見せたい。『ONE PIECE』の壮大なストーリーとバトルを楽しんでもらうには、やはり尾田先生の力が不可欠でした。そこで長峯監督や鈴木さんたちと一緒に尾田先生の仕事場へ行き、何度もミーティングを重ねました。その中で尾田先生から、僕らの度肝を抜くようなアイディアが出てきて、毎回濃い内容の話し合いができたと思います。結果的にはミーティングや連絡の回数は『STRONG WORLD』よりも多くなってしまい、尾田先生からは冗談半分、本気半分で、「どれだけ描かせるんだコノヤロー!」ってメールをいただいたこともあります(笑)。

前回から今作の公開までに3年かかったのはなぜですか?

『STRONG WORLD』が終わったあと、今までのようなスパンで『ONE PIECE』の映画を作るのはもう無理だろうという話になりました。『ONE PIECE』の原作の世界観は広がっていますし、キャラクターも掘り下げられている。求められる内容が高いので、一流のスタッフをそろえて万全の体制で作らないと作品に傷をつけかねない。『FILM Z』は『STRONG WORLD』よりも時間をかけましたが、その分内容が濃くなったので余裕はなかったですね。シナリオだけでも1年弱かかりました。鈴木さんがシナリオを書き始めたとき、原作はまだ新世界編が始まった直後だったので、毎週ジャンプを買ってきては「あー!! ココこうなってたのか!!!」と新設定や新ネタの登場にハラハラしながら進めていました(笑)。そんな中、現場スタッフが獅子奮迅の大活躍で作り上げていってくれたのはとても頼もしかったです。特に作画監督の佐藤雅将さんの仕事ぶりは感動的でした。制作が始まるとプロデューサーは応援しかできないので、大変なことをやらせてしまった……と、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。それでも最終的には、尾田先生というルフィのような船長がいてくれたおかげで、作品が次の目的にたどり着くことができました。

今回の映画作りの上でのキモとなった部分を教えてください。

今作は新世界編での最初の映画ですので、ルフィ自身をしっかり描こうと思いました。『ONE PIECE』はルフィの生き方を描いているドラマですから、ルフィがすべてと言っても過言じゃない。ルフィってある意味単純なキャラクターですけど、それゆえこちらが思ったとおりに動いてくれないんです。あの単純さを貫き通して表現するって並大抵のことじゃできない。尾田先生も「ルフィはやっかいです」とおっしゃっているくらいで(笑)。ルフィは自分が大切だと思うものに対して、「命はいらねえ」くらいな気持ちで戦いますよね。リスクなんか全然考えず、しかも勝つつもりで(笑)。じゃあ、ルフィが大切にしてるものって何だろうと改めて考えてみたら、「シャンクスからもらった帽子」、「仲間」、「海賊王になるという夢」、そして「冒険」の4つだと思うので、そこをしっかり描きました。ルフィを中心にした話を描いていったら、今度は仲間たちがルフィをどう思っているのかが自然と浮かび上がってきて、結果的に話に奥行きが出たかなと思います。この映画を作っていて、そこがすごく面白いなと思いました。

「ゼット」という敵キャラが生まれた経緯を教えてください。

やはりルフィの生き方を描くためには、それに対してカウンターを当ててくるような強いポリシーを持った敵が必要なんです。そのような敵が出てきたら、はたしてルフィはどう動くのか……。その衝突がカッコイイみたいな部分を描きたかった。さらに今のルフィたち“麦わらの一味”は、2年間の修業を経て再結集しているので、9人が全力を出して立ち向かうべき敵というのはどんな敵なのかとスタッフとかなり議論を重ねました。最終的にゼット(ゼファー先生)というキャラクターが浮かび上がってきたのですが、ゼットやネオ海軍具体的な設定は、鈴木さんから出てきたアイデアです。

『FILM Z』の中でお気に入りのキャラクターは誰ですか?

今回映画に登場するキャラクターは全員カッコイイです。青雉とか、ますますカッコイイなって思いましたね。それとやっぱりゼットがすごい。大塚芳忠さんの演技とあいまって、ただ暴虐なのではなく知性や品をあわせ持つ、こちらの想像を超えた名キャラクターになりました。現実と理想の狭間でもがきながら生きている男・ゼットの姿に思わずグッとくる方は少なくないと思いますよ。こうありたいと思う男のロマンを体現したキャラクターだと思います。

柴田プロデューサーが食べてみたい「悪魔の実」があったら教えてください。

「マネマネの実」が食べてみたいです。いろんな人になってみるのって面白そうじゃないですか。特に女の子になってみたいですね。これもある意味、男のロマンです(笑)。

最後にファンに向けてひとことお願いします。

まだ原作に登場していない尾田先生公式の設定がバンバン出てくるので、そこを楽しんでもらえればと。また、新世界編で、ルフィたちが120%の本気を出したのは、個人的には原作よりも映画のほうが先だろうと思っているので、ルフィたちの成長の部分を存分に味わってください!!

柴田プロデューサーからみんなへの質問

あなたが考えるあったらいいなと思う「悪魔の実」を教えてください。

Information

『ONE PIECE FILM Z(ワンピース フィルム ゼット)』 大ヒット公開中

“新世界”を快調に突き進むルフィたち“麦わらの一味”。そこへ突如として現れたのは、傷だらけで海に漂っていた元海軍大将で“NEO海軍”船長・ゼットであった。右腕の大型武器を警戒しつつもルフィたちはサニー号でゼットを介抱するが、目覚めた彼が麦わらの一味を海賊だと認識したとたん状況は一変。ゼットは否応無しに一味に襲いかかり…。 古代兵器に匹敵すると伝わるエネルギーを含む鉱石・ダイナ岩。その鉱石を盗み出し、“全海賊抹殺”という壮大な計画を企むNEO海軍と、ルフィたちは全力衝突。そこに参入する海軍本部、さらに海軍を離れ一味の動向を追う青キジ。今、“新世界”の運命を賭けた史上かつてない死闘が繰り広げられる。

配給:東映
公式サイト:http://www.onepiece-film.com/

(c)尾田栄一郎 / 2012「ワンピース」製作委員会

Profile

柴田宏明

1997年東映アニメーションに入社。数々のアニメーションの企画・制作に携わり、2008年公開の『ONE PIECE THE MOVIE エピソードオブチョッパー+冬に咲く、奇跡の桜』から2012年公開の『ONE PIECE FILM Z』まで3作品の『ONE PIECE』映画のプロデューサーを務める。2009年公開の『ONE PIECE FILM STRONG WORLD』では数々の歴代最高記録を打ち立てた。

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