OKStars インタビュー

Vol.234 製作発表記者会見

舞台『教授』

OKStars Vol.234は、五木寛之さんのエッセイを下敷きに、主演・椎名桔平さん×演出・鈴木勝秀さんの3年ぶりのタッグで初のオリジナル作品に挑む『教授』製作発表記者会見の模様をお送りします。

内容と演出意図についてお聞かせください。

鈴木勝秀(構成・演出) : 今回の作品は、プロデューサーの池田道彦さんから五木寛之さんのエッセイ『わが人生の歌がたり』を元に芝居を作れないかというお話をいただきました。その当時、僕は椎名桔平さんと別の芝居を作ろうと話し合っていたのですが、そちらの当たりどころが見つかっていなくて、この話を伺った時に、これをうまく混ぜたら、うまくいくのではないかと思いました。プロットを書き始めて、最終的には五木寛之さんのエッセイとは全く別個の内容になりましたが、面白そうだからやろうと言っていただけてスタートしました。
内容は1960年の安保闘争から始まって大阪万博を過ぎた頃までの、日本が高度成長を遂げた時代を3つの時期に区切って描いています。ですが、そんな高度成長時代の日本の浮かれた状況とは全く関係なく、寄生虫学をずっと研究していた教授に焦点を当てて、社会と関係なく生きている男が鏡となって、その時代を映せばいいと考えました。結果的に、現在の日本の社会が抱えている問題点が浮き彫りになるような作りにしたいと思いました。経済の閉塞という現代において、経済が人間活動の中心ではないところに生きている人物が現在に反射するようにしました。
椎名さんにはその寄生虫学をずっと研究している男を演じてもらいますが、彼は社会との接点として流行歌が好き、という人物にしました。今と違って当時は、国民誰もが同じ歌を歌えたような時代なので、流行歌を通じて社会とつながっているようにしました。彼の背景には謎めいたところがあって、そこは見ていただいてのお楽しみにしていただければと思います。
そして、田中麗奈さん演じる女性は、最初は学生運動に参加していて、教授と出会う。そしてなぜかはわからないけれども教授に惹かれていってしまう。教授に惹かれたまま、助手となって14年間教授に仕えていきますが、僕はそこにはプラトニック・ラブを全うしたふたり、ということをこの芝居の大きなテーマにしたいと考えています。プラトニックな恋愛感情を持ち続けて、最後に至るまでそれを貫くという話です。
高橋一生くんが演じる男は、やはり最初は学生運動に関わりますが、すぐに転向して厚生省の役人になります。体制側に移って自分が何をできるんだろうとずっと悩む、ある意味、臆病者を描いていますが、そのような青年を演じます。時代とともに、日本という国が成長していくのに合わせて成長していった青年、という立場になります。
この3人が主軸となっていきます。その他のみなさんも、教授の研究室に集まってきて、日本の経済を傍から眺めて好き勝手に言っている人たちです。佐々木喜英くんが演じる“若い男”と発表している人物は、謎を解く鍵となる人物です。そして、この芝居は、中村中さんにナマの歌を歌っていただきますが、昭和の歌謡曲の名曲を幾つかピックアップしました。ピアノの弾き語りで歌っていただきますが、当時の再現ではなく、ジャジーになっていたり、ブルース風だったり、ロックだったり、そのようにふたりで話し合って作っているところです。それに加えて、五木寛之さんに1曲書いていただきたいなと思っていたら、あっという間に9曲も(笑)書いていただきました。涙をのんで1曲に絞らせていただいて、そのとても素晴らしい歌詞に、中村中さんがメロディをつけて、懐かしい感じの、良い感じの流行歌風、という曲になりました。芝居の中でも使う予定で、出演者の誰かが歌うのも良いのかなと考えています。

では出演者のみなさんからご挨拶をいただきます。



椎名桔平 : 教授役の椎名桔平です。3年くらいずっと鈴木さんとやりたい舞台の話を重ねてきました。実現しないのかなと半分諦めかけていた時に、五木先生の世界と自分たちのやりたいことを融合させて舞台ができる、ということになって嬉しく思っています。僕の役はある映画に触発されて鈴木さんと話していた人物ですが、職業などは変わっています。60年代ということで戦争の名残もあったりする中で、なぜ寄生虫学だったのかとか、しかも、この教授は自分の体の中に寄生虫を入れているんです。寿命を少しずつ寄生虫に分け与えながら人生を生きていくことを選んだ教授の生き様を表現していきたいと思います。iPS細胞の山中伸弥教授に負けない教授像を作っていきたいと思います。

田中麗奈 : 私の役はとことんプラトニックに教授を愛する役です。学生運動の最中に教授に出会ってしまって、魅了されてしまい、そこから始まっていきます。教授の体の中に寄生虫がいて、生命というものが短くなっていくのを知りながら、それを受け止めて教授そのものすべてを愛し抜くという女性です。女性的で温かくて優しいところもあると思いますが、どの男性にも負けないくらいの心の強さもある、エネルギーのある女性なので、私も体に馴染ませて舞台の上で開放して表現していきたいと思います。舞台の経験は3度目で、久しぶりなので、緊張もありますが、固くなりすぎず、まずは鈴木さんと椎名さんについていこうと思います。

高橋一生 : 青年役を演じます。最初に台本をいただいて鈴木さんとお話した時に、台本を読んで感じた若者像をそのままやってほしいと言われました。時代背景は3部構成の中で流れていきますが、普遍的な若者、青年というものを演じていけたらと考えております。

岡田浩暉 : 助教授を演じます。教授の下で寄生虫学の助教授をやっていますが、高度成長期の平均的な男性、という立ち位置だと思っています。僕も昭和の生まれですが、当時の父と母の背中を思い出しつつ、演じたいと思います。

佐々木喜英 : 今回、若い男を演じます。先ほど鈴木さんが仰っていましたが、最後の最後に出てきて大暴れする役です。ちょっとでも話してしまうとネタバレになってしまうのですが、椎名さんの教授役と関わり深い役として、お芝居の要のシーンに出てきますので、プレッシャーも感じています。他の皆さんのお芝居も身近に感じて、僕自身成長していきたいなと思います。

中村中 : シンガーの役で参加しています。このお芝居は流行歌が大好きな教授の話です。歌はみなさんにとってどんな時に聴きたいものでしょうか。私はまさにこのシンガーの役と同じように、みんなを見守り、健やかな時も病める時もいつでもそばに居て、必要な人に力を貸してくれるものだと思っています。私の役はそんなみんなのことを見守る役だと思います。舞台の後には毎回アフターライブ「昭和歌謡クロニクル」もあります。ゲストの方をお迎えしますので、こちらも見どころだと思います。それと、何より、原作の五木寛之さんとの書き下ろし曲「グッバイ・Love Song」を作らせていただきました。いま、音楽を作るというとデータのやり取りや、メールで済ませてしまって相手の顔が見えなかったり、温度も感じられないような時もあるのですが、五木さんとは、何度もお顔を合わせて、会えない時は手紙のやり取りもして、心を込めて作りました。この曲にも注目して欲しいです。

劇中では流行歌は何曲出てくるでしょうか。出演者のみなさんには、流行歌の思い出をお聞かせください。



鈴木勝秀 : 使用するのは8曲か9曲です。

椎名桔平 : 昭和歌謡を最初に口ずさんだのはいしだあゆみさんの「ブルー・ライト・ヨコハマ」ですかね。母が大好きで当時よく口ずさんでましたので、僕も歌詞の意味もあまり考えずに口ずさんでました。

田中麗奈 : 私は中島みゆきさんの「時代」がすごく好きです。大変なことがあっても時間は流れていてきっと過去になるから、というような歌に励まされます。

高橋一生 : 僕はTHE KING TONESの「グッドナイトベイビー」です。祖母がよく口ずさんでいて、僕も歌っていました。

岡田浩暉 : 僕は山口百恵さんの「ひと夏の経験」です。小学校1年生くらいで歌詞の意味はわからないけどすごい曲だなと思って聴いていました。

佐々木喜英 : 僕は昭和生まれですけど、昭和の時代を1年ちょっとしか見ていないので…。父が山口百恵さんの大ファンでした。「赤いスイートピー」とかも父が聴いていました。

中村中 : 私も昭和生まれですけど3年ほどしか経験していません。私が初めて買ったCDが研ナオコさんの「泣かせて」でした。研ナオコさんが歌うと、本当にモテなさそうな、本当に悲しい歌で、歌い手と歌がマッチした時に名曲になるんだと知った初めての曲でした。

1960年代にはどんなイメージを持っていますか?



鈴木勝秀 : 僕は1959年の12月生まれなので、60年代は子供の頃でした。横浜出身ですけど、今と違って家の近所には森も田んぼもあって、田舎育ちという印象です。

椎名桔平 : 僕は1964年生まれで東京オリンピックの年ですね。大人になってから、生まれた年には新幹線が開通したり、代々木の体育館や駒沢オリンピック公園とか、いろんなところに自分と同い年のものがあって、そういうもので自分の生まれた時代を振り返ったりします。

田中麗奈 : 私は1980年生まれなので60年代は体験していませんが、女性が元気になっていった時代というイメージです。カラーの洋服を着たり、おしゃれをしたり、仕事ができるようなったり、男性に付いていくというよりも、自分らしさというものが出てきた時代なのかもと想像しています。今回の私の役にはそういうところはありませんが、心根の強さは出せていけたらと思います。

高橋一生 : 僕も1980年生まれなので、60年代を肌で感じることはなかったのですが、社会がいろんなものを柔軟に吸収していった時代なのかなと思っています。

岡田浩暉 : 僕は1965年生まれですが、両親が繊維の自営業をやっていて、その頃はニットがすごく流行って、両親が寝ずに働いていたような印象があります。それと親が車を買って周りに得意になっていたのを覚えています。

佐々木喜英 : 僕は1987年生まれなので60年代は想像の世界ですが、今は携帯電話が普及して相手の顔を見ないでもやり取りができる時代ですけど、昔は多分電話をするにも10円玉を集めて電話したり、直接会って話したり、人情が色濃く残っていた時代なんだろうなと思います。

中村中 : 私は1985年生まれなので、写真や歴史の教科書で知る程度ですが、好きな人に会う時もそれこそ全身でぶつかっていったのかなと思います。このお芝居の台本を読んでいても思うことなので、今よりも人のこころが熱いのかなと思います。

先ほど、きっかけになった映画があると仰っていましたがそのタイトルは?

椎名桔平 : 『リービング・ラスベガス』(95)というニコラス・ケイジがアカデミー賞を獲った作品です。

中村さんは劇中でどんな歌を歌うのでしょうか。

中村中 : 7曲ほどでしょうか。曲名は知りたいですか?

鈴木勝秀 : 「アカシアの雨が止む時」とだけは言っておきましょう。これはテーマに絡む曲ですので。

>西田佐知子さんのですよね。ファンだったので嬉しいです。

中村中 : これからは中村もよろしくお願いします(笑)。

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Information

アトリエ・ダンカン プロデュース『教授』
~流行歌の時代を、独自の価値観で生きた歌好きの免疫学教授、
そして、観念的な恋愛に己を捧げた助手~

『ベント』『レインマン』『異人たちとの夏』で抜群のコンビネーションを発揮してきた椎名桔平と演出の鈴木勝秀が3年ぶりとなる強力タッグを組み、五木寛之のエッセイ『わが人生の歌がたり』を原案とした初のオリジナル作品に挑戦。
本作品は、昭和60年代の“流行歌の時代”を、独自の価値観で生きた歌好きの免疫学教授の生涯と、偶然助手を務めることとなった女性の生涯を描いた物語です。
教授の相手役には、近年、積極的な舞台作品への挑戦が続く田中麗奈や高橋一生らを迎え、硬質ながらも切なく愛おしい劇世界が生み出されます。劇中には、昭和歌謡が所々にちりばめられ、劇場が昭和へとタイムスリップ。また、この舞台のために、五木寛之が作詞を、中村 中が作曲を手掛けたイメージソングも披露されます。そして、公演終了後には、アフタートークならぬ、アフターライブを毎回開催します。昭和歌謡の名曲を取り上げ、日替わりで登場する超豪華なゲストとナビゲーターの中村 中が、曲にまつわるエピソードを紹介し歌を披露します。

日程:2013年2月7日(木)~2月24日(日)
会場:Bunkamuraシアターコクーン
Based on:五木寛之(『わが人生の歌がたり』角川書店刊より)
構成・演出:鈴木勝秀
出演:椎名桔平 田中麗奈 高橋一生 岡田浩暉 坂田聡 伊達暁 佐々木喜英 上条恒彦 中村 中 他

料金:S席8,500円、A席7,000円、コクーンシート5,000円(全席指定、税込)

http://www.duncan.co.jp/web/stage/professor/

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