OKStars インタビュー

Vol.235
『クラウド アトラス』来日記者会見

ウォシャウスキー姉弟監督
トム・ティクヴァ監督

OKStars Vol.235は2013年3月15日公開の大作『クラウド アトラス』のウォシャウスキー姉弟監督(ラナ・ウォシャウスキー、アンディ・ウォシャウスキー)、トム・ティクヴァ監督の来日記者会見の模様をお送りします!

ではまずはご挨拶をお願いします。

トム・ティクヴァ : 前回の来日が本当に楽しかったので、また東京に戻って来られて嬉しく思います。

アンディ・ウォシャウスキー : コンニチハ、日本の兄弟の皆さん!日本に戻ってこられて嬉しいです。

ラナ・ウォシャウスキー : コンニチハ!私の心はいつも東京とともにあります。大好きな町です。戻って来られたことがとても嬉しいです。私にとっての精神的な故郷だと思っています。

映像は不可能と言われた原作を映画化しようとした理由と、その不可能を超えるビジョンが見えたのだとしたら、それが何だったのかを教えてください。

アンディ・ウォシャウスキー : この質問はよく聞かれるんです。でも僕たちは映画化が不可能なものは無い、と答えるようにしています。

トム・ティクヴァ : 映像化不可能というのは構造が複雑か、今回のように6つもの時代設定が異なる物語が行ったり来たりするからです。1時間半くらいで全く違う章が始まるから、絶対不可能だと思いがちですし、確かに難しいとは思います。ですが、そこに挑戦しました。

ラナ・ウォシャウスキー : できないと言われていたことへのチャレンジが私たちを惹きつけ、撮りたいと思いました。

1つの魂の進化を描くために1人の役者に複数の役を演じさせたとのことですが、その経緯などをお聞かせください。

トム・ティクヴァ : トム・ハンクスはすごく喜んで、興奮していました。僕たちが見たことがないような役への挑戦だったので、本人はとても楽しんで演じていたように見えます。彼にはまずオファーが来ないような役なので、だからこそ興奮していたのかもしれません。

ラナ・ウォシャウスキー : 他の俳優もすべてこのアイディアに楽しんで挑戦していました。それぞれの魂がいろんな顔を持っています。私たち人間は人生の中でいろんな顔を持っていますので、各キャラクターのアイデンティティを探求する機会となりました。俳優たちは主役を演じたり脇役を演じたり、画面の前面に出ていたり、背景に埋もれていたり、それがまた彼らにとっては魅力的だったかと思います。とくにヒュー・グラントはどの映画も主演でほぼ前面に出ているので、今回は背景に溶け込んでいたり、完全に脇役であったり、そんなことは普段はまずないので、非常に楽しんで演じていましたね。

アンディ・ウォシャウスキー : すべての俳優にとって、1本の映画でこのような責任を負うというのは非常にワクワクする経験だったと思います。しかもこの6人の役がどれも興味深い役であること。同時に、このオファーを受けるには勇気もいることだったと思います。1つの役だけではなく次の役までをも演じなければならないので。ですが、1つの役の経験が次の役に内面でつながっていることをきちんと表現している瞬間がたくさんありました。とくにトム・ハンクスの顔の表現を見ていると、過去の自分の人生とその複雑な性格が、次の人生の中に全て表れていたので、作る側も見ていて素晴らしいと思いました。

今回の『クラウド アトラス』の脚本化、映像化の過程でインスパイアされた他の作品はありましたか?

トム・ティクヴァ : 撮影が始まるずっと前に、トム・ハンクスに会うために自宅に向かっているちょうどその時、予算が少し足りないという話が出ました。トムにもそのことを伝えて、それでも出演してもらえないかと話したら、彼はこの作品に非常に興味を持っていて、そんなことはいいと勇気づけてくれました。僕たちの気持ちを奮い起こしてくれた彼の部屋に飾ってあったのが『2001年宇宙の旅』のポスターでした。ですので、こういう映画を作りたいという思いに駆られました。その時に話し合って、僕たちは興味を持ったり、分かち合えるものがどれだけあるかというところに強い絆を感じました。

アンディ・ウォシャウスキー : この原作小説はストーリーテリングをテーマとしています。いろんなジャンルの物語が含まれていて、僕が今までに観てきたいろんな映画や美術、芸術の要素が含まれています。その集大成なので、“全て”と言いたいですね。

ラナ・ウォシャウスキー : 今の答えが良かったのでそれ以上追加することはないです(笑)。

この『クラウド アトラス』のテーマについてお考えを聞かせてください。

ラナ・ウォシャウスキー : 原作は広大なキャンバスにデイヴィッド・ミッチェルが哲学的にも美的にも素晴らしい作品を描きました。私たちは好きな映画や物語を入れ込もう考えました。デイヴィッド・ミッチェル自身がいろんなジャンルのストーリーを入れ込んだ上に、彼の信念もたくさん詰まっています。東洋、西洋を問わずいろんな哲学が交差するような、混ぜあわさったような哲学が描かています。私たちが惹かれたのは、そこに自分たちの信念や重要な想いを入れられると思ったからです。人間の進化を止めてしまう障壁や、差別や別れ、人間を支配しようとしたり破壊しようというメカニズム、そういう壁を超える方法や愛が未来の扉を開いてくれる力があるということを描きました。ですので、私たちもデイヴィッド・ミッチェルの世界の扉を開くことができました。

アンディ・ウォシャウスキー : この映画を撮り終えた後に僕たちが意図しない成果をもたらしました。僕たちの人生そのものが反射している鏡のようなものだと気づいたからです。トム・ハンクスとミーティングをしていた時に、彼のテーブルの上に白鯨の本がありました。その白鯨は原作にも含まれているんです。そのような不思議なつながりがあちこちにありました。原作に対する読者のリアクションも両極端に分かれています。劇中、クローン少女ソンミ451が自分の頭に釘を打ち付けられてもメッセージを出さなければならないと思ったのと同様に、私たちもいろんな批判にさらされてでもこの作品を世に出したいと改めて思いました。最終的には私たちにとって特別な作品が出来上がったんだという思いです。

今回、ペ・ドゥナやジョウ・ シュンといったアジアの女優を起用していましたが、今後起用したい女優などは?

アンディ・ウォシャウスキー : いまはキャスティング中ではっきりは決められないけれども、日本映画は大好きですし、日本のフィルムマーケットも大好きです。

ラナ・ウォシャウスキー : みんなを喜ばせたいですね。

日本の文化で影響を受けたことや気になっているクリエイターはいますか。

ラナ・ウォシャウスキー : 村上春樹さんの作品は大好きで全て読んでいます。

アンディ・ウォシャウスキー : 日本映画が大好きでよく観ますが、三船敏郎さんの映画で、彼が冒頭に鼻をほじっているところから始まるのが斬新で、そんな映画は他では観たことがありません。

トム・ティクヴァ : 誰か1人に絞って名前を出すのは難しいくらい、僕は日本の文化が大好きです。ただ好きなだけではなく、日本の映画を通して映画を学ばせていただいたからです。黒澤明氏、小津安二郎氏、溝口健二氏、皆、僕は若い頃に影響を受けました。ドイツの映画からよりも日本の伝統的な映画から影響を受けていると言えるくらいです。もし1人の名前に絞ってしまうと、他の方のことを忘れてしまわないかと気が咎めます。

『クラウド アトラス』の楽しみ方をお聞かせください。短くても結構です(笑)

アンディ・ウォシャウスキー : まとめるのは苦手だよ(笑)。どんな芸術作品でも先入観を持って入っていくのは良くないので、白紙状態で観ていただくのが一番良いと思います。

ラナ・ウォシャウスキー : 私が答えようと思った答えを取られてしまったので、別の答えを付け加えます。私たちはみんな、慣れ親しんだ慣例のようなものを持っていると思います。ストーリーテリングとはこうあるものだという慣例もあると思いますが、私たちはそういうものが嫌いです。新しい映画の見せ方、ストーリーの語り方を常に心がけています。『クラウド アトラス』ではストーリーの構成やナレーション、画面の奥での役者の演技など、様々なところでアグレッシブなチャレンジをしました。それが慣れ親しんだものと違うからと言って拒否反応を示さずに観てもらいたいと思います。この映画はエモーショナルでスリルや刺激、知的さもあります。あまり伝統や慣例にはとらわれないでいただきたいと思います。

トム・ティクヴァ : 私は人生の一部が映画であり、私の人生そのもののお祝いごとであると考えています。それと同時に、映画は人間が置かれている状況を調べていくものだとも思います。デイヴィッド・ミッチェルが原作小説を書いてから、私たちが映画を作るまでの間にもつながりがあると思います。また、1人の人間が作品を作り上げたのではなく、多くの人がいて、このような1つの映画になったのだと思います。元来、映画は多くのスタッフの手によるものですが、とくにこの『クラウド アトラス』はその上をいくものだと思います。皆さんにとっては親しみのあるような映画だと思います。家のテレビではなく、ダウンロードして観るのではなく、ぜひ劇場に足を運んで、この経験を劇場の他の人と共有していただき、つながりを感じていただきたいと思います。同じ場所に集う人と同じ経験を分かちあうことで、人と人のつながりを感じていただけると思います。オーケストラを聴きに行ったと思ってください。トム・ハンクスら俳優らがそのオーケストラの一員のようにアンサンブルを織りなすのです。映画を見終えて、その後に残る様々なことがこの映画からの贈り物だと思います。

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Information

『クラウド アトラス』
2013年3月15日(金)新宿ピカデリー、丸の内ピカデリーほか全国ロードショー

舞台は、19世紀から24世紀。過去・現在・未来にまたがる500年の間の6つのエピソードが、アトランダムに行き来するように見えて、実は完璧に計算された順序で描かれていく。波乱に満ちた航海物語、幻の名曲の誕生秘話、原子力発電所の陰謀、人殺しの人気作家、伝説となるクローン少女の革命家、そして崩壊後の地球の戦い。そこに生きる人々は、姿が変わっても引かれ合い、何度も何度も出会っては別れ、争いと過ちを繰り返す。親子、夫婦、兄弟、恋人、友人、あるいは敵同士となっても、いつかはその愛を成就するために。 同じ魂を持つ複数の人物を演じ分けるという、俳優の真の実力が試される大胆かつ画期的な挑戦を受けたのは、名優トム・ハンクス、ハル・ベリー、スーザン・サランドン、ジム・ブロードベントら、アカデミー賞受賞の演技派スターたち。さらにヒュー・グラント、ヒューゴ・ウィービング、韓国が誇る若手女優ペ・ドゥナなど、国際色豊かな豪華キャストが心と力を合わせ、壮大な叙事詩を紡ぎ出した。

監督:ラナ・ウォシャウスキー、トム・ティクヴァ、アンディ・ウォシャウスキー
出演:トム・ハンクス、ハル・ベリー、ジム・ブロードベント、ヒューゴ・ウィーヴィング、ジム・スタージェス、ペ・ドゥナ、ベン・ウィショー、ジェームズ・ダーシー、ジョウ・シュン、キース・デヴィッド、スーザン・サランドン、ヒュー・グラント

配給:ワーナー・ブラザース映画

http://www.cloudatlas-movie.jp

(C)2012 Warner Bros. Entertainment. All rights reserved.

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