OKStars インタビュー

Vol.238 映画監督

沖田修一

OKStars Vol.238は、映画『横道世之介』の沖田修一監督へのインタビューをお送りします!

沖田監督は原作の「横道世之介」をどう感じましたか。

映画化したいとお話があって初めて手にとったのですが、時代背景は1987年であっても自分の大学生活を思い出しながら読めたので、どの年代の人が読んでもあまり変わらない青春ストーリーであるところがいいなと思いました。

では、映画化にあたって大事にしたところは?

世之介ですね。原作を読んだ時に、世之介や祥子を実際に演じるとどうなるのかが見たいと思いましたので。ですので、ちゃんと世之介がいる感じを大事にしていけたらと思いました。それと、誰にでもあるような上京物語を描こうとしました。友だちができたり、疎遠になったり、一人暮らしをしてバイトをしたり、そういうのが面白いと思いました。

共同脚本の前田司郎さんは中学・高校の同級生とのことですが、取り組みはいかがでしたか。

第3稿目くらいまでは、こちらの要望も入れてはもらいましたが、基本的には前田君に任せて好きに書いてもらいました。その後は、「後はよろしく」というような感じで託されたので、映画にする際の手直しを僕の方でしたくらいです。ふたりで考えて作る、というようなことではなかったですね。作業としてはやりやすかったです。

>前田司郎さんにはどんな要望を伝えたのでしょう。

世之介を大事にしよう、ということです。前田くんは、小説の中にあるセリフを使わないで、ある程度話し言葉の、セリフもすごく多い台本を書いてきました。それを元に、世之介はこういうことは言わない、こう言いそう、という原作の良い部分や構成を大事にしながら、自分たちの世之介像というものをどれだけ面白がってやれるか考えました。これは祥子も同様ですね。

キャスティングはいかがだったでしょうか。

高良健吾さんとは4回目ですね。『キツツキと雨』ではそんなに長くできなかったのと、今まで主演では出てもらってなかったので、今回いいタイミングだと思いました。それに長崎から上京してきた世之介であれば、熊本出身の高良さんは方言も話せるので、今までの僕と高良さんの関係性の中で主役をやってもらったどうだろう、と楽しみにしてました。実際、ガッツリとできたので良かったです。吉高由里子さんは原作を読んだ時の祥子のイメージで、演じたら面白くなりそうな感じがありました。

1987年という時代設定については演出上いかがだったでしょう。

時代感については面白がってやってました。僕自身小学5年生だったので、時代考証そのものは周りのスタッフさんと資料を見て話し合いながらやりました。言葉遣い一つとってみても、語尾が下がったり上がったりという部分が大変でした。池松壮亮君の演じる倉持が最初に世之介に話しかける「タルくない?」というセリフも語尾が今と違うので一々検証しながらでしたね。それと、エキストラの方がたくさん必要だったのですが、1987年当時の髪型の特徴が今とは違うので、エキストラの方に、もみあげを切っていいかをまず聞きました(笑)。もみあげの短い人ほど画面の良いところに出られるよと(笑)。もみあげの短い集団が入ってきた時は面白かったですね(笑)。

>とくにこだわったところはありますか?

冒頭のシーンですが、CGを使って新宿駅を再現することは決まっていましたが、それだけだとつまらないので、新宿駅前に3人組アイドルを出すことにしました。歌も踊りも80年代風のものを一から作っていったのが楽しかったですね。

>祥子が初登場する下北沢駅前のシーンの再現も面白いですね。

若者が集いそうなところに運転手付きのセンチュリーで来るということが大事だったのですが、そういう街中を作り上げたのは大事でした。

撮影はどんな風に進めましたか。印象的な出来事、いままでの作品との相違点などお聞かせください。

撮影以前に大変だったのがロケハンですね。シーン数が多い上に、それを1987年という前提で探すというのが大変でした。1ヶ月くらいかかっています。東京を離れないと無いという結論に達しましたので、例えば病院のシーンは諏訪湖の方までロケに行ったくらいです。でも、始まってしまえば撮影の苦労はありませんでしたね。ただ、長崎ロケは絶対にやりたかったので、長崎でしか撮れない絵などをひねり出すのには苦労しました。

>クリスマスのシーンは映像的にも素晴らしいですね。

世之介と祥子が雪を見た印象を残したままいきたかったので、撮影の近藤さんと話していたら、とてつもなく大きなクレーンが出てきて、印象的なカメラワークになりました。しかも測ったかのようにこのシーンがクランクアップだったんです。この素敵なシーンを撮ってクランクアップということで印象深いです。

>1987年と16年後の世界が前触れ無くパッと切り替わるのも印象的ですね。映画は2時間40分ありますけど、私は観ていても長さを全然感じなかったんです。連続性がそういう思考を排除していた気がします。

パッと切り替わるのは狙ってました。フェイドアウトやテロップを出すようなことは一切しないようにと。ここは原作もそういう作りになっていますので、映画の方でもやりたいと思ってやったところです。それと、編集の佐藤さんが全部カットでつなぎたいと話していたので、唐突に時代が飛ぶ、という構成になりました。

沖田監督は『横道世之介』の登場人物の中では誰かに感情移入しますか?

好きなのは池松くんが演じた倉持ですね。どこにでもいそうで、自分の人生がどんどん決まっていってしまうような人物ですけど。よく駅前の飲み屋さんの前で「これから二次会に行く人ー!」ってやっているような、ザ・大学生の集団のイメージですね(笑)。それが愛らしいなと思います。

>16年後の描き方も面白いですね。

原作通りではあるんですが、そのシーンへの入り方としては「あれ?」っと思わせるような作りにしました。老けメイクをどこまでやるかという点で特殊メイクも大変でしたね。僕自身の今の年齢が大学1年生の16年後なので、自分の19歳の写真と見比べて皮膚感の変化とかをチェックしてみました。それを踏まえて、それぞれのキャラクターに即した16年後の姿は作っていきました。

>祥子の変化も面白いですね。

吉高さんが考えた演技ですけど、バッグの置き方とか小さな変化が役者さんの中にもイメージがあったと思いますね。

エンディングテーマはASIAN KUNG-FU GENERATIONの新曲ですね。

80年代に活躍したアーティストや当時の曲という考え方もありますけど、今活動しているアーティストの新曲の方が良いと思ってお願いしました。

沖田監督の“モットー”をお聞かせください。

やっていて楽しいこと、自分で面白がれるものを、と考えています。

>ちなみに、映画を志したのはいつ頃でしょうか?

中学生くらいの時はビデオカメラで遊んでいて、高校生くらいから映画を観るのも楽しくなって、監督に限らず映画の仕事ができたらいいなとは思っていました。それで当時から脚本を書いたりはしていました。学生服を来てシナリオが学べる学校に見学に行ったら「野島伸司のファン?」と聞かれた時代でした(笑)。

最後にOKWaveユーザーにメッセージをお願いします

この『横道世之介』は80年代の設定ですけど、どの人が観ても楽しめる普遍的な青春映画だと思います。どの人物もイキイキとしている映り方をしているのでそれを見てもらえるだけでもいいと思います。

沖田監督からOKWaveユーザーに質問!

最近、家の近所のコンビニエンスストアでは雑誌を紐で綴じるようになってしまったんですよ。

>都心の混雑しているお店は最近はどこもそうですね。

でも、綴じない方が売上は高いと思うんです。僕は雑誌が見られないコンビニには行く気がしないんですけど、実際のところはどうなんでしょうか?(笑)

Information

『横道世之介』
2013年2月23日(土)新宿ピカデリーほか全国ロードショー

長崎県の港町で生まれた横道世之介(よこみちよのすけ)は、大学進学のために上京したばかりの18歳。嫌味のない図々しさ、頼み事を断れない人の良さ、底が浅いのか深いのか測りかねる言動が人を惹きつける。
本作で描かれるのは、お嬢様育ちのガールフレンド・与謝野祥子をはじめ、世之介と彼に関わる人たちの青春時代とその後の人生。
原作は、「パレード」や「悪人」など、著作が次々と映画化されている吉田修一の「横道世之介」。 『南極料理人』、『キツツキと雨』の沖田修一監督が、不器用ながらも真っ直ぐに生きる世之介と周りの人たちを、優しさとユーモアに富んだ演出で包み込む。

出演: 高良健吾、吉高由里子、池松壮亮、伊藤 歩、綾野 剛
原作: 吉田修一
監督・脚本: 沖田修一
脚本: 前田司郎
配給: ショウゲート

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(C) 2013『横道世之介』製作委員会

Profile

沖田修一

1977年生まれ。埼玉県出身。日本大学芸術学部映画学科卒業。
短編『鍋と友達』(02)が第7回水戸短編映画祭でグランプリを受賞。初の長編監督は『このすばらしきせかい』(06)。TVドラマの脚本・演出を経て、監督・脚本を手がけた『南極料理人』(09)で商業映画デビュー。同作は第29回藤本賞新人賞、新藤兼人賞金賞、日本シアタースタッフ映画祭監督賞を受賞するなど監督としても高い評価を得た。『キツツキと雨』(12)では、東京国際映画祭で審査員特別賞、ドバイ国際映画祭で最優秀男優賞(役所広司さん)、最優秀脚本賞、最優秀編集賞を受賞。第4回TAMA映画賞で最優秀新進監督賞を受賞している。

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