OKStars インタビュー

Vol.257 脚本家

櫻井武晴

OKStars Vol.257は「相棒」シリーズをはじめミステリや捜査物の脚本を手がける櫻井武晴さんが登場!初めてのアニメ脚本となった『名探偵コナン 絶海の探偵』についてお聞きしました!

「名探偵コナン」という作品についてはどんな印象をお持ちでしたか?

私は長く続いているシリーズ物をいくつか書いているので、それ以上に長く続いている作品を見ると、その理由をいつも考えます。「名探偵コナン」の場合、「キャラクター」と「事件」の二つの要素がたとえ一つでも成立するくらい、しっかりしていると見ていました。

劇場版の脚本ということでオファーを受けた時はどのように感じましたか。

アニメーションは初めてだったので、引き受けることに「大きな不安」がありました。
しかし、これまで様々な捜査物を書いてきて、実写では実現困難なネタが頭に溜まっていたので、「これはチャンスだ」という思いが勝り、引き受けました。

イージス艦を舞台にした国家レベルの危機をテーマにしましたが、この「イージス艦が舞台」というのは櫻井さんから出てきたものでしょうか。それともそのような設定のもので、ということだったでしょうか。

イージス艦を舞台にしたこのストーリーは私が提案したものですが、テーマは「国家レベルの危機」ではなく、「不安から逃げない心」です。しかし、完成した映画を観た時、イージス艦が国防に与える影響や、コナンの「このままじゃ日本が危ない」(※予告編にもあります)など、私は書かなかった解釈や台詞が加えられており、なるほど「国家レベルの危機」が強調された映画になっていると思いました。

今回の「絶海の探偵」脚本執筆の上で、一番大切にしたことは何でしょうか。

絶対に子供向けにしない。そして「大人も子供も楽しめるシーン」「大人が楽しめるシーン」「子供が楽しめるシーン」「大人が子供に話してあげられるシーン」「子供が大人と話したくなるシーン」を意識して書くということでした。

同じく、一番難しかった、苦心したところは何でしょうか。

それが……あまりに楽しい仕事だったので、今となっては苦心したところが思い出せません。

櫻井さんご自身は、「名探偵コナン」の登場人物では誰が好きですか?

劇場版とテレビを一作ずつ書いただけなので、どの登場人物も好きですとしかまだ言えません。
しかし、執筆にあたって私を一番助けてくれた登場人物は「円谷光彦」でした。
イージス艦のような題材を扱う場合、大事な「伏線」も、解決の「糸口」も「大人の世界」の情報になります。もちろん、その手の「伏線」や「糸口」は必要ですが、「名探偵コナン」は「子供の世界」も垣間見えなければいけません。しかし、コナンや灰原にその手の「伏線」をふると、「大人の世界」が匂います。歩美や元太にふると、「子供の世界」が強くなり、「伏線」が成立しにくい題材です。
そんな中、光彦君だけが「大人の世界」と「子供の世界」を両立させてくれました。

映画をご覧になってのご感想は?

実はこれが完成映画を見た後の初めてのインタビューです。
ストーリーについては、映画を観ながら「少し難しかったかな」「お客さんはついてきてくれるかな」などの不安でずっとハラハラしていました。
一方、登場人物のキャラクターについては、映画を見ている間中、驚きの連続でした。
各キャラクターが表現されているエピソードを大量に見て勉強したつもりでした。脚本の打合せで原作者やスタッフに指摘されて学習したつもりでした。しかしまだ甘かったと痛感しました。 例えば、映画では脚本よりもラブストーリーが少し強調されていましたが、コナン(新一)と蘭の関係は相思相愛でありつつ、お互いにまだ素直になれない恥じらいや遠慮がある段階だと思っていました。平次と和葉の関係は和葉の方が熱量は高く、にもかかわらず平次はやや鈍感であると思っていました。しかしこの二組の関係が映画では……(劇場でご確認ください!)。
また、今作ではこの四(五)人のうち何人かが泣きます(うち一人は予告編でも確認できるかも?)。それを見てかなり驚きました。そういうキャラだと思っていなかったからです。
なるほど、原作者やコナンを何作も手がけたスタッフの間ではこういう解釈になっているのかと、とても勉強になりました。もし、また「名探偵コナン」を執筆するようなことがあったら、ちゃんと踏襲したいな……。

櫻井武晴さんが脚本を執筆する際の“モットー”をお聞かせください。

先ず、核(テーマ)を決めるということです。
その核に向かってキャラクターが動くように描くと、途中でストーリーを見失うことがありません。

『名探偵コナン 絶海の探偵』の見どころをお聞かせください。

今作のテーマを特に二人に込めました。一人は「勇気」という名の少年。子供が抱えるにはあまりに大きな不安と戦おうと彼が決意した瞬間に、事件は解決に向かうように書きました。
もう一人、「名探偵コナン」では珍しいタイプの犯人が登場します。その人は自らの弱い心からほんの少し目を逸らしただけで、簡単に犯罪者になってしまいました。
そんな両極端の二人を感じてもらえれば、なんて思っています。

櫻井武晴さんが気になっていることを1問「質問」をお願いします。OKWaveユーザーが「回答」します。

「名探偵コナン」はコナンが活躍する物語ですが、
もう一人活躍させるとしたら、どのキャラクターが活躍する物語が見たいですか?

Information

『名探偵コナン・絶海の探偵(プライベート・アイ)』

2013年4月20日(土)全国東宝系ロードショー
朝焼けの海に浮かぶ、爆弾を積んだ謎の不審船、その船が、すべての始まりだった…。
京都・舞鶴港沖。海上自衛隊によって、貴重なイージス艦の体験航海が開催されていた。電子武装されたハイテク艦で繰り広げられる大迫力のクルーズを楽しむ、コナンや蘭、小五郎、そして少年探偵団たち。しかし突如、轟音が響き、艦内に不穏な空気が流れる。やがて間もなく、左腕のない遺体が発見される!しかも、なんと自衛隊員の遺体だというのだ!そこには、いくつかの不審な点が残されていた…。捜査に乗り出したコナンは、艦内に某国のスパイ“X”が乗り込んでいることを知る。
果たして、Xとは何者なのか?不審船との関係は?
やがてコナンたちにも忍びよるスパイの影!この航海には、想像をはるかに超えた、日本全土を揺るがす巨大な陰謀が隠されていた…。

原作:青山剛昌(小学館・少年サンデー連載中/読売テレビ・日本テレビ系放送中)
監督:静野孔文/脚本:櫻井武晴/音楽:大野克夫
声優:高山みなみ(江戸川コナン)、山崎和佳奈(毛利 蘭)、小山力也(毛利小五郎)

公式サイト

(C)2013 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

Profile

櫻井武晴

捜査物やミステリを中心に、TVドラマや映画の脚本家として活躍中。代表作には「相棒」シリーズ(ANB)、「科捜研の女」シリーズ(ANB)、全話の脚本を務めた「ATARU」(TBS)など。アニメ作品の脚本は『名探偵コナン 絶海の探偵』が初となる。

『名探偵コナン・絶海の探偵(プライベート・アイ)』映画公開記念OKWave特別企画
OK LABEL

回答投稿にあたっての注意とお願い

OKStarsからの質問は、OKWave事務局(ID:10q-OK)が質問投稿とベストアンサー選定を代行しています。
当企画は、OKWaveの他のカテゴリーと異なる主旨での運営となっています。原則的に回答への個別のお礼はつきません。あらかじめご了承ください。
ご回答の際には利用規約禁止事項ガイドラインに沿った投稿をお願いいたします。