OKStars インタビュー

Vol.276 「攻殻機動隊ARISE」

総監督/キャラクターデザイン・
黄瀬和哉、
シリーズ構成/脚本・冲方丁

OKStars Vol.276は世界中が待望の攻殻機動隊新シリーズ「攻殻機動隊ARISE」の黄瀬和哉総監督とシリーズ構成/脚本の冲方丁さんへのインタビューをお送りします!

『border:1 Ghost Pain』がいよいよ公開ですが、あらためてこの「攻殻機動隊ARISE」シリーズに携わることになったご感想等をお聞かせください。

黄瀬 : 始まったな、というのと、まだこれから大変だなという気持ちですね。最初に話を聞いた時はどうしてやろうか、という気持ちしかなかったですね(笑)。

冲方丁 : 大変な分、大変勉強になってますね。作品の情報量が普通の作品とは桁違いなので、武者修行だと思ってやっています(笑)。

『border:1 Ghost Pain』について、一番気をつけたところは何でしょうか。

黄瀬 : 一番こうであってほしいと思ったのは、どれから観てもどの話も観れる感じであってほしいというところですね。最初から観ても途中から観ても入れる感じがあればいいなと。各話は1本1本で終わるけれど、前後観たくなるのがいいなと思いました。そして、その話は冲方さんにお任せしてますから(笑)。

冲方丁 : (笑)僕ができるのは話作りだけなので、逆に絵の力は黄瀬さんにパスするだけですね(笑)。ただ、本当に絵にできるかなとドキドキはしていました。シナリオ的には素子の性格をこれまで以上に出すことを考えましたので、そこは気力が必要でした。すでにできあがったキャラクターのイメージを壊しながら新しいものを作っていくのはやはり気力がいりますから。

黄瀬 : 壊しつつも、壊しすぎてもいけないし。そのボーダーラインは曖昧でしたね。

>今までよりも素子が若い分、キャラクターは出やすいかもしれませんね。

黄瀬 : 若いという理由付けで壊せる、というのはありますね(笑)

冲方丁 : 若いんだから仕方がない、というところですね(笑)。

今までの攻殻よりも時代設定がより現在からの延長であるような印象を感じたのですが、時代・背景設定などではどのようなお考えだったしょうか。

黄瀬 : 『border:1 Ghost Pain』に関しては、むらた雅彦監督から旧市街で事件をまとめていきたいと最初から話があったので、とくにそうかもしれませんね。遠くに新しい街が見えたりしますけど、その手前はそんなに開発されていない場所、ということですね。そこは狙ってやったところはあります。ミステリ仕立てなので、変に未来都市でやっても、ミステリぽくはならないんじゃないかということもありますので。

冲方丁 : そうですね。背景に感情移入できないと何が起こっても不思議ではない感じになりますからね。

黄瀬 : 人が生きていく中で当たり前にある光景みたいなものがあった方が、観ている側も安心して入っていけるかなというのは感じました。

>では逆に、今後の話ではもう少しサイバーチックな背景も出てきたり?

黄瀬 : そうですね。そっち寄りのものも出てくると思います。

冲方丁 : それと現実問題として、現在のテクノロジーが攻殻の世界観に近づいてきているのも確かですね。

黄瀬 : とはいえ、これから先、未来がどのくらい変わるのかなとは正直思いますからね。若い人が意外と新しいものを欲しがっていない光景も最近よく見ますので。昔の物を新しいと感じ始めている気もするので、意外と未来感というものはこのまま突っ走るものではないのかもしれませんね。僕らの若い頃のものが今の10代、20代に新しいものだったりしますからね。

冲方丁 : そういうレトロ感が出てくるかもしれませんね。

>それと“ウイルス”というものを持ってきたのが今の時代にも合っていていいなと思ったのですが。

冲方丁 : まず敵を設定しようということで、50分の作品に敵を設定すると説明に時間を食うのでしゃべらない敵、ということですけど(笑)、テクノロジーに人間が右往左往させられたり、本来人間のために作られたものに人間が混乱させられるという鉄板のテーマがこの作品ならではかなと考えました。それと、素子が撹乱させられる理由としてウイルスは分かりやすいし、お客さんも入って来やすいかなという理由もあります。

黄瀬 : ネットは匿名の世界なので、そういう正体不明な不気味さを出したいところはありますね。攻殻機動隊はサイボーグものとサイバーものが同時にできるので、その持ち味をしっかり出したいとも思いました。

内容的には盛りだくさんですけど、1時間という枠でのチャレンジについてはいかがでしたか?

黄瀬 : 大変苦労、されてましたよ(笑)シナリオは時間は気にしないでくださいとはオーダーしましたので、結構な量になりましたね。

冲方丁 : 書いているうちにどこを切ったか分からなくなりました(笑)

黄瀬 : むらた監督もそう仰ってましたね。

冲方丁 : 攻殻という作品の特性もありますからね。台詞一つの情報量が多いので、尺がどんどん増えていくんです。通常に比べると枚数がどんどん増えて、しかもメンバーが6人いますからね。「CSI:科学捜査班」みたいなイメージで、という話でしたけど、あれだって3人とかそのくらいなのに(笑)

黄瀬 : 全員をフィーチャーするのは無理だな、というところから始めないといけませんでしたね。

黄瀬監督には冲方さんの脚本を受け取った時の感触、冲方さんには実際の映像を観てのご感想をお聞かせください。

黄瀬 : 実はぼやっとしてました(笑)。総監督の経験がなかったので、読んだ後に自分が何を発言したらいいのか分からなかった(笑)

冲方丁 : こんな感じなのが大変助かりました(笑)最初僕はこの攻殻というタイトルに気持ち負けしているところがあったんですけど、黄瀬さんのふわっとした感じにだいぶ救われました(笑)

>シナリオができるとどういうやり取りになるんですか?

黄瀬 : 各話の監督や製作委員会でアイディア出しが始まる感じですね。

冲方丁 : 監督のやりたいことが激変しなければ方向性が変わることはないですね。最初のコンセプトから作品を起こしていく中で、監督のオーダーを受けながら作っていく感じですね。border1の場合はサスペンスというオーダーだったので、しっとりしたプロットを作ったら、「もうちょっとアクションを入れて」って返ってきたり、「横溝正史じゃなかったの?」と変化していきましたね。

>絵になったものを観て冲方さんはどう感じましたか。

冲方丁 : 素子がかわいいので、アフレコの時に絵を見て、これはやっただろう!と嬉しくなりました。それと、border1の素子には清潔感がありましたね。素子が少年のような感じでしたね。

黄瀬 : 現場で絵を描いているのは西尾鉄也くんですけど、自分にはああいうのは描けないので西尾くんありがとう、という気持ちでしたね(笑)。自分が描くと初々しさが出ないというか、艶かしくなってしまうのでね(笑)

声優の方々には収録の時にはどんなことを望みましたか?

黄瀬 : こちらからはそんなにオーダーを出していなくて、声優さんの方で役作りをされてくださったので、あっという間に終わりましたね。ダメ出しもほとんどなく、時間が余ったくらいでしたので。

冲方丁 : あんなにやることがないアフレコ現場も珍しいですよね。黄瀬さんのチョイスが正しかったですね。

黄瀬 : 意外と始まるまでは不安でしたよ(笑)。でも、見事に応えてくださいましたね。

冲方丁 : 音響監督が「おまえらいいぞ!」って褒めてましたからね。

黄瀬 : 役者さんが逆にビクつくくらいでしたね。

音楽をコーネリアスが担当されましたがその点はいかがでしょう?

黄瀬 : プロデューサーからの推薦でした。個人的にも好きなアーティストなのでやってもらえるならありがたいとは思いましたけど、どんな曲が出てくるかは想像できなかったですね。

>楽曲はお任せですか?

黄瀬 : そうです。小山田圭吾さん自身が攻殻機動隊を好きで観ていてくれたので、コーネリアスのイメージで作ってもらえたら、また違うものができるかなと思いました。

冲方丁 : 僕は発表会の時にオープニングを観て、すごく合うと思いました。

黄瀬 : 今までの攻殻の世界とは明らかに違いますけど、オープニングとエンディングを聴いてこれは合うなと。強く主張はしないけど、ぐっと入ってくる楽曲ですね。

「攻殻機動隊」シリーズは海外でも人気が高いですが、ぜひ海外のファン向けに一言コメントお願いします。

黄瀬 : 7月にLAのアニメエキスポ2013(Anime Expo 2013)に行きますので、いらした方とはハグ付きです(笑)契約書にそう書いてあったので!(笑)

冲方丁 : 握手に次ぐ親密な表現ですからね(笑)

>さっそく観ていただけるチャンスなんですね。

冲方丁 : あまりどこの国の人が作ったものという目で見ずフラットに見ていただきたいですね。

黄瀬 : 海外留学している会社のスタッフからも今回の攻殻の発表後に連絡があって、反響はかなり大きいようなので楽しんでいただけたらいいですね。

今後のシリーズについての展望や見どころをお知らせできる範囲でお願いいたします。

冲方丁 : いつどのような形でメンバーが揃っていくのかを楽しみにしてください。

黄瀬 : 推しメンがいつ出るのかですね(笑)

ではOKWaveユーザーにメッセージをお願いします。

黄瀬 : 僕自身が楽しんで観られたので、楽しみにしている人はもっと楽しく観ることができると思います。ぜひよろしくお願いします。

冲方丁 : 攻殻機動隊を知っている人も知らない人も楽しめるようにしたつもりですので、いろんな方に観てほしいですね。過去のシリーズを全部観ていないと意味が分からないような作りにはしていませんので、むしろここから入り直していただけると嬉しいです。

黄瀬和哉総監督、冲方丁さんからOKWaveユーザーに質問!

黄瀬 : 皆さんはサイボーグになってみたいですか?

冲方丁 : 僕は60歳くらいになったらなりたいです。

黄瀬 : それは動きやすさを取り戻したいということですね(笑)。でも取り戻したら老化しないのかな?

冲方丁 : 逆に違う病気とかがあるんじゃないですか?

黄瀬 : かなり脳に刺激はあるだろうからね。確か原作にも電脳にはそういう副作用的なものがあるという設定があったかな。

冲方丁 : 僕からの質問は、攻殻機動隊の主要メンバーで誰の活躍が見たいですか?

黄瀬 : 荒巻が活躍するというのが一番描きにくいですね(笑)。

冲方丁 : 荒巻がどうしても解決できないから素子に依頼をするわけですから、それが活躍されても困りますからね。荒巻がすごい陰謀を繰り広げたりしたら収拾がつかないですね(笑)

黄瀬和哉監督からの質問はこちら

冲方丁さんからの質問はこちら

Information

『攻殻機動隊ARISE border:1 Ghost Pain』
2013年6月22日(土)よりTOHOシネマズ 六本木ヒルズ、新宿バルト9ほかにて全国劇場上映【2週間限定】

2027年、戦禍の爪痕癒えぬニューポートシティで自走地雷を使った爆殺事件と、兵器売買の収賄容疑の掛った男が銃殺される事件があった。雨烟る中、その男の電脳を求め軍人墓地を暴く公安の荒巻大輔の背中に冷たい銃口を向けたのは、殺された上官の容疑を晴らそうと動く陸軍義体化部隊『501機関』の草薙素子だった。存在する虚構と失われた真実が交錯する電脳社会、自身の未来と理想のために草薙の本能が起動(アライズ)する。

【CAST】
坂本真綾
塾一久/松田健一郎/新垣樽助/上田燿司/沢城みゆき/浅野まゆみ

【STAFF】
原作:士郎正宗/総監督・キャラクターデザイン:黄瀬和哉/シリーズ構成・脚本:冲方丁/音楽:コーネリアス

アニメーション制作:Production I.G/製作:「攻殻機動隊ARISE」製作委員会/配給:東宝映像事業部

公式サイト

(c) 士郎正宗・Production I.G/講談社・「攻殻機動隊ARISE」製作委員会

Profile

黄瀬和哉
総監督/キャラクターデザイン
『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』『イノセンス』など、プロダクションI.Gの作品で作画監督・キャラクターデザインを担当。

冲方丁
シリーズ構成/脚本
2010年『天地明察』で本屋大賞・吉川英治文学新人賞を受賞、『マルドゥック・スクランブル』『シュヴァリエ~Le Chevalier D’Eon~』などでシリーズ構成・脚本を手掛けた人気作家。

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