OKStars インタビュー

Vol.291 製作発表会見

「iSAMU」

OKStars Vol.291は演出・宮本亜門さん、主演・窪塚洋介さんらが出席した『iSAMU~20世紀を生きた芸術家 イサム・ノグチをめぐる3つの物語~』製作発表会見の模様をお送りします。

会場:草月会館

ではまずは皆さんからご挨拶をお願いします。

宮本亜門 : 私自身、イサム・ノグチになぜこれほどハマったのかと言うと、2001年に香川県のイサム・ノグチ庭園美術館に行った時からです。作品もそうですが、彼の写真を見て、最期まで生き抜いた彼のパワーを感じて、彼の作品を作りたいと思いました。

窪塚洋介 : 僕は高校生の頃にファッション誌に載っていたイサム・ノグチさんのカタカナ表記の名前を見て知りましたが、掘り下げて知ろうとは思わずにここまできてしまいました。34歳になったこのタイミングで宮本亜門さんに声をかけていただいて、こういう縁で知ることになるんだと感じました。僕も本人を知ろうと思って香川県の美術館に行ったり、この草月会館にも訪れて作品に触れました。関係者の方にもお話を聞いたりして、今はイサムさんをどんどん近づけているところです。一言では語れませんが、多面的で魅力的な方なので、稽古して皆さんとイサム・ノグチとの橋渡しができたらなと思います。

美波 : 激動の時代から今も生きていらっしゃる女優の山口淑子さんを演じさせていただきます。史実や事実がいっぱいありますが、イサム・ノグチとどういう触れ合いをしていただろうと日々考えながら演じています。今回はイサム・ノグチの話であり、女性3人の強さが表現された舞台なのかなと稽古しながら思っています。芸術性の高い3つの話、3つの空間がどう入り交じるのか、ものづくりを実感している日々で、エネルギッシュでとても楽しいです。早く形になるのを楽しみにしているし、皆さんも楽しみにしていてください。

ジュリー・ドレフュス : イサム・ノグチの母レオニー・ギルモアを演じさせていただきます。毎日いい意味で変わっていくので、イサムが粘土を捏ねるように私たちも毎日新しく考えて稽古しています。今回は鏡の前で自分の役を練習するものではないと思っていて、それがとても面白いです。

小島聖 : 現代のニューヨークに住む女性を演じます。私自身はイサム・ノグチの作品は何となく生活の中に馴染みがあって、目には触れていましたけど、どういう人なのかは知らずに作品と接していました。今回、自分の役とこの舞台を通してイサム・ノグチという人物を身近に感じられたらいいなと毎日励んでいます。

なぜイサム・ノグチを舞台でやろうと思われたのでしょう?

宮本亜門 : 私がやっているのは舞台芸術ですが、美術作品の残り続けるところに、僕自身ジェラシーを感じています。ただ、作られた作品よりも、それをどう作っていったのかとか、作品を作る上での気持ちを知りたかった。それはイサムさんがグラウンド・ゼロのような荒れた土地に作品を置くのが好きだからです。名声が欲しい芸術家ならセンターに置きたいとか、同じような作品をいくつも作るでしょうけど、イサムさんはそうではなく、広島の平和大橋の欄干をデザインしたり、もし現代だったら9.11の跡地に作品を置きたかっただろうし、そういう荒れた土地に作品を置いてそこを変えていく、人間の心に響く作品にしたいという思いを持たれていました。その考え方は矛盾しているかもしれませんが演劇に近いんじゃないかなとも思います。一番知りたいのは何で作品を作ったのか、なぜ時代を超えていろんな人が今でも作品と結びついているのか。彼の人生や、作品を作る過程に触れたかったんです。イサム本人には誰も、窪塚さんでさえもなれませんが、少しでも本人に近づいて、こうだったかもしれない、こういう思いだったのかと想像してもらいたいです。イサム・ノグチは「地球を彫刻した男」というくらいに未来を感じさせてくれる男です。宇宙から地球を見る、この視点は震災後の今、とくに必要だと思っていて、それを演劇にしたいと思いました。

>だから震災後に腰を据えて作りたいと思ったのですね。

宮本亜門 : 僕は3.11当日には上野公園にいて、地面が揺れていることを感じました。イサム・ノグチは土地にも生命がある、生きているんだという感覚を持って作品を作っています。生命を感じるというこの感覚は忘れがちになっているので、ものづくりを通して生きていることを実感したいと思いました。

宮本亜門さんからはイサム・ノグチには誰もなれない、という話もありましたが、窪塚さんは今どのように役作りをしていますか?

窪塚洋介 : 僕も当初からイサム・ノグチという人をなぞるのではなくて、イサム・ノグチという人が見ようとしていた景色や見ていた景色を僕が見ようとすることが大切で、イサムさんの魂と向かい合う以外には着地点はない役だと感じています。李香蘭さんもご存命ですし、イサムさんとお会いしたことのある方もたくさんご存命ですので、歴史上の人物を演じるのとは違うプレッシャーもありますが、それらをひっくるめて、自分が今まで考えてきたことやしてきたこと、信じてきたものをぶつけて、体当たりで脂汗をかきながら頑張っています。

美波さん、ジュリーさんは、実在の人物を演じるということについてはいかがでしょう?

美波 : お互いにすごいコンプレックスを抱えていて、李香蘭という中国人として生きてきた日本人であるという過去は、私の想像の範囲を超えています。そういう重い時代を乗り越えた2人が惹かれ合い「大変だったね。僕も大変だったよ」と言われた瞬間、何かが落ちたのかなと私は感じました。稽古を毎日していて、ぶつかり合う瞬間、くっつく瞬間が日々違うのは、この稽古場だと敏感に感じられます。まさにものづくりをしているんだと感じられます。李香蘭さんの仕草を鏡の前で練習したこともありますけど、それよりも2人の必然性、一緒にいた事と別れたこと、彼女の強い大事な部分を演じ切らないと成立しないと思います。

ジュリー・ドレフュス : 私はイサムとの関係に集中していて、亜門さんからいろんなアイディアが出て、しかも毎日それが変わりますが(笑)、いろいろ実践して作っている最中で面白いです。実際に2人の間に何があったかは分からないですよね。手紙などは残っていますけど、そこに亜門さんの脚本もあって、それらをミックスして演じていますので、今は面白いです。

逆に観客に一番近い目線の役柄を演じることについて小島さんはいかがでしょう?

小島聖 : この間初めて通し稽古をやった時に発見があって、私はいろんな人の息遣いをもらって演じられればいいのかなと思いました。ひとりで役作りをするのではなく、3つの話が舞台の中で入り交わるので、そこに付いて行かないとダメだろうと。前の話の人たちの空気をエネルギーに変えてやっていけたらいいだろうなと思います。

窪塚洋介さんを起用した理由は?

宮本亜門 : 窪塚さんは全てをスポンジのように受け入れて、1つ1つ自分の中に入れながら進んでいく誠実でピュアな方で、それでいて奥に持っている炎とそのピュアさの度合いがノグチ・イサムに合っていると思いました。僕は今回、窪塚さんと一緒にジャンプがしたいです(笑)。イサム・ノグチ自身は無垢で純真で芸術しか考えられなくて、生活は破綻していたとさえ思います。ただ、それ以上に何が好きか明確だったと思います。窪塚さんが持っているピュアさ、入り込む集中力をもって、稽古場で一緒につくっています。

イサム・ノグチ庭園美術館に行った時の感想をお聞かせください。

窪塚洋介 : 僕が一番驚いたのは「イサム・ノグチさんが遺したままの状態です」と言われて観ましたけど、本当にそうでした。ものが残っているというレベルではなく、あの人が本当にいるようでした。関係者の方に話を聴きましたけど、イサムさんが隣の母屋にいるのであんまり大きな声で言えませんけど、というような感じで、何よりもそこに緊張感があるのが印象的でした。イサムさんの作品は晩年にいくに従って硬い石を選んでいきますけど、晩年の作品ほど僕は好きです。この会場の石庭「天国」を見るだけでも多面的ですし、作品の1つ1つが石の生命体のようで、「作品に生命を吹き込む」という言い方がありますが、イサムさんは石そのものと向い合ってそのものの形にするのだろうと。僕はこの「天国」からもそういう空気を感じます。

あらためて、役作りについてお聞かせください。

窪塚洋介 : たとえば、僕自身が経験してきた喜びをイサムさんだったらどう表現するかを手探りでやっています。自分とイサムさんをできるところまで混ぜ合わせて、その間に浮き上がってくるものがその人物だと思います。僕の場合どの作品もそこは一緒で、僕自身でも役自身でもない、間に表れてくるものが役だと思っています。イサムさんは亡くなられていて、変わらないものではあるので、僕が近づいていこうという気持ちでいましたが、昨日、亜門さんからは「逆にイサムさんの方を近づけたら?」と言っていただいて、毎日試行錯誤しています。

美波 : 真似事を表現してもいけないし、すごく大事なのは、強い魂を持っているイサム・ノグチと山口淑子をまず理解すること。お互いに強い分、強く愛し合って反発し合ったということを演じてはいけなくて感じなければならないだろうなと。本番の時に演じることと感じたことが1つになって浄化していけばいいなと思います。生きている人間のぶつかり合いをこの舞台では目指しています。

ジュリー・ドレフュス : レオニーについての情報は私が知っている限りではそんなに多くはないので、彼女が書いた手紙ともらった手紙を読んでそこから浮かんでくるキャラクターを役に入れようとはしています。実際にどんな人だったのかは手紙を読んだ人によっても違うので、私の解釈ではレオニーには素晴らしく、強くて、可愛くて、本当にイサム・ノグチの根っこであり、重要な支えだった、すなわち本当にお母さんだったと思います。もし彼女がいなければそこまでアーティストとして花咲いたのかも分からないです。ですので、お客さんがレオニーがイサムと一緒にいる時に2人の間で起きているドラマを信じられるかどうか。それが一番大事だと思います。

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Information

パルコ劇場40周年記念公演 パルコ・プロデュース公演
『iSAMU ~20世紀を生きた芸術家 イサム・ノグチをめぐる3つの物語~』

日本人の父とアメリカ人の母の間に生まれ、波乱万丈の人生を歩んだ芸術家、イサム・ノグチ。
本作は、その人生の幾つかの断片と、現代のニューヨークでイサムの作品に触れる人々の物語を交錯させながら、イサム・ノグチの人物像と、その芸術の根底に流れる原泉を探る物語です。
イサムをめぐる3人の女性と3つのストーリーの断片が組み合わされながら進行していきます。

2013年8月15日(木)~2013年8月18日(日)KAAT神奈川芸術劇場
料金:S席:6,800円、A席:4,500円(全席指定・税込)

2013年8月21日(水)~2013年8月27日(火)パルコ劇場
料金:7,800円(全席指定・税込)、U-25チケット:4,000円(前売りのみ、税込)

2013年8月30日(金)サンポートホール高松
料金:一般6,000円/会員4,500円(全席指定・税込)

原案・演出:宮本亜門
出演:窪塚洋介、美波、ジュリー・ドレフュス、小島聖、大森博史 他

http://www.parco-play.com/web/play/isamu/

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