OKStars インタビュー

Vol.308 映画監督

三木孝浩

OKStars Vol.308は、2013年10月12日公開の映画『陽だまりの彼女』の三木孝浩監督へのインタビューをお送りします!

『陽だまりの彼女』の監督へのオファーに対して、どう感じましたか?

自分の前2作がコミック原作だったので、今回小説が原作ということでビジュアルイメージがない分、自由に想像できる点が面白いと感じました。原作は男子目線の恋愛というのがすごく新鮮で、自分でもハマれる作品でした。ファンタジーの要素は読んでいてもびっくりしたので、ぜひやりたいなと思いました。

夏木マリさん演じる謎の老女のような原作から奥行きが加えられた設定もありつつ、全体としては原作の流れを大切にされていました。映画化にあたって重視したところは?

原作は男目線で進む分、新たに映像化する上で、真緒側の視点も足したいと思いました。小説を読んだ後に真緒はどういう気持ちだったんだろうという、真緒のバックボーンに興味を持ちましたので、映画化にあたってはそこを追加しようと思いました。女性のお客さんもそこに感情移入できるのではないかとも思いました。

江の島周辺を物語の重要な舞台に選んだ発想と決め手は何だったでしょうか。

企画をいただいた時には小川真司プロデューサーと脚本家の菅野友恵さんと向井康介さんで台本が進んでいて、江の島というワードもありました。僕も、光を表現するにはぴったりな場所だと思いました。映像で“陽だまり”を表現するときに、光のイメージをどう出すかが大事だと思っていましたので。風景として光が溢れているイメージには、海のキラキラした感じが思い浮かぶし、意外と夏より冬の方が斜光なので海がキラキラして見えるので、撮影時期的にもピッタリだと思いました。江の島周辺のロケーションもいいですし、江の島自体が神社を中心にパワースポットのようなものなので、その神秘的な感じも今回のおとぎ話の部分にすごく合うんじゃないかと思いました。

いまのお話からもうかがえますが、今回も三木監督真骨頂の光の演出が冴え渡っています。この“陽だまり”感で特に意識したところは何でしょう?

ふたりが寄り添っている、その場所にスポットライト的に光が当たっているようなイメージですね。一緒に住み始める新居のリビングで浩介と真緒のふたりが寄り添っている時に、窓から光が差し込んで、ふたりの周りだけが明るい…みたいなものがキービジュアルになると思いました。全体にも光には気を使いましたが、特にふたりが寄り添っているところに陽だまり感が出るようにしました。それと、真緒が登場してくるシーンでは光を背負わせて立たせるように演出しました。

メインキャストである松本潤さん、上野樹里さんに期待した部分と演出した部分は?

松本くんについてはもともとイケメンで普通にしていると格好良すぎるので、いかにイケメンに見せずに、でも格好いい、というところをどう体現してもらうかでした。松本くんのいいところはバラエティ番組でふっと見せるオフの表情ですね。オンの状態でバシッと決めているのももちろん良いですが、自然な笑顔や優しいところは意外と今まで松本くんが演じてきたキャラクターにはない部分かと思ったので、今回そこが引き出されるといいなと思いました。樹里ちゃんについてはその都度その都度の表情が変わる部分は彼女の真骨頂だと思いますが、僕が一番好きな部分はちょっと憂いのある表情、秘密を抱えていてそれを言えずに耐え忍んでいる表情がものすごく美しいと思っていたので、今回はその表情を撮りたいなと思いました。いろいろと秘密が明かされていく中で、浩介の知らないところで真緒がどう思っていたかを映像に撮りたいと思いました。

>玉山鉄二さん演じる新藤春樹ら映画独自のキャラクターについては?

原作は浩介ひとりの目線で進んでいくので、そこに感情移入して秘密が分かった時に反芻したりするのが小説ならではの楽しみ方だと思います。映画ではどうしても時間軸があるので、ファンタジーに説得力を持たせるにはひとりの目線ではなく多面的に見せた方がより濃くなって物語が面白くなるのと、原作にない真緒のバックボーンをより見せたいと思っていたので、新たなキャラクターがいてくれると真緒に説得力が出るかなと思いました。

浩介と真緒の中学時代のふたり(北村匠海さん、葵わかなさん)もすごくいいと思いました。

この中学生ふたりのキャスティングはすごく難しかったです。松本くんと樹里ちゃんのあの感じに似ていないといけないし、浩介と真緒とも共通でないといけないので、オーディションは大変でした。その中でぴったりなふたりが見つかったので良かったです。さらに共通性を持たせるために、この北村匠海くんと葵わかなちゃんには松本くん、樹里ちゃんと一緒にリハーサルをしてもらって、キャラクターを理解してもらうようにしました。時にはお互いに中学生と大人のキャラクターを逆転させて彼らに大人のふたりを演じてもらったりもして、みんなでセッションしました。

撮影期間はタイトだったそうですが、撮影のエピソードなどお聞かせください。

冬の光は斜光なので、常にハレーションが出せるので光の演出としては夏より冬の方がしやすかったです。ただ、どうしても冬の撮影は寒いので、とくに夜のシーンは大変でした(笑)。ストーリー的には真冬の設定ではないのですが、吐く息が真っ白だったので、それを後でCGで消したりもしているんです。夜の電車のシーンなどは実際の運行スケジュールに合わせての撮影だったので、時間のタイミングを合わせるのは大変でした。

ミュージックビデオを多数撮られてきた三木監督ですが、ビーチ・ボーイズの「素敵じゃないか」の使い方が秀逸です。

「素敵じゃないか」は何回か出てきますけど、ふたりの幸せな時間に流れていて、ミュージックビデオで自分のやってきた手法が出せたと思います。「素敵じゃないか」のPVを作っているような感覚だったので、ビーチ・ボーイズのPVを作らせてもらった気分で編集の時がすごく楽しかったです(笑)。

>特にラストの手前での「素敵じゃないか」の演出が素晴らしいです。

そこまでの幸せな時間に流れる「素敵じゃないか」の聴かせ方でそのシーンは違って見えるのでこだわりました。「素敵じゃないか」に限らず、みんな何か思い出の曲があると思います。この曲を聴くと当時のことを思い出すという感覚を、自分の記憶になぞらえて観てもらってもいいと思います。

>エンディングの山下達郎さんの「光と君へのレクイエム」についてはいかがですか?

山下さんもビーチ・ボーイズが大好きとのことで、物語の中での「素敵じゃないか」の位置づけが大きいので「ビーチ・ボーイズと戦うのか」とおっしゃっていました(笑)。映画にもリンクするとても素敵な曲を作ってくださいました。観終わった後に軽やかな気分になって映画館を出られると思います。

最後に見どころなど、OKWaveユーザーにメッセージをお願いします。

今回はじめてファンタジー部分がある作品で、ラブストーリーとしては駆け引きがあるようなものというよりは無垢な愛情や無償の愛を描きました。そこは年齢や世代を問わず伝わる部分だと思いますので、小学生からおじいちゃんおばあちゃんの世代の方までぜひ観てもらえたらと思います。

三木孝浩監督からOKWaveユーザーに質問!

この曲を聴くと当時のことを思い出す、
という思い出の曲とそのエピソードを教えてください。
悲しい曲なんだけど笑える出来事、のようなギャップがあると面白いですね。

Information

『陽だまりの彼女』
2013年10月12日(土)全国東宝系ロードショ―

新人営業マンの浩介は、すこし内気な鈍感男子。カノジョなしのさえない毎日を送っていたが、ある日仕事先で、美しくてステキな女性と出会う。彼女は、中学時代の同級生・真緒だった。当時イジメられっ子だった真緒を、浩介が助けたことがキッカケで、ふたりは生まれて初めての恋をした。
浩介の転校から10年ぶりの再会。太陽のように明るい真緒に、浩介は再び恋に落ちる。永遠の愛を誓い合ったふたりは結婚し、幸せな結婚生活を送る。しかしなぜか、真緒の身体は急に弱っていく。実は彼女には、誰にも知られてはいけない“不思議な秘密”があった―。
真緒の異変に気づきながら、戸惑うだけの浩介。自分の知らない真緒がいる。ある事件を境に、真緒は浩介の前から突然姿を消してしまう。そして、なぜ周囲の人々の記憶からも…。運命で結ばれたふたりに、残された時間はあとわずか。「もう一度だけ、真緒に会いたい」強い想いを胸に、浩介はふたりの思い出の地・江の島へと向かった―。

出演:松本潤 上野樹里
玉山鉄二 大倉孝二 谷村美月 菅田将暉 
北村匠海 葵わかな / 小籔千豊 西田尚美 とよた真帆
木内みどり 塩見三省 / 夏木マリ
監督:三木孝浩『ソラニン』『僕等がいた』
原作:越谷オサム『陽だまりの彼女』(新潮文庫刊)
配給:東宝=アスミック・エース
公式サイト:http://hidamari-movie.com
公式twitter:https://twitter.com/hidamari_movie
公式facebook:http://www.facebook.com/hidamarimovie

© 2013 『陽だまりの彼女』製作委員会

Profile

三木孝浩

1974年生まれ。徳島県出身。
いきものがかり、FUNKY MONKEY BABYS、YUI、ORANGE RANGE、木村カエラ等、数多くのPVやライブ映像、またTVCM、ショートムービーを手掛け、MTV VIDEO MUSIC AWARDS JAPAN 2005最優秀ビデオ賞、カンヌ国際広告祭2009メディア部門金賞などを受賞。2010年に浅野いにお原作コミックを宮﨑あおい主演で映画化した『ソラニン』で長編映画監督デビュー。2012年、長編2作目となった『僕等がいた(前篇・後篇)』が大ヒットを記録した。近年ではTVドラマにも挑戦するなど活動を広げている。

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