OKStars インタビュー

Vol.329『エンダーのゲーム』イベント

又吉直樹、加藤夏希

OKStars Vol.329は、2014年1月18日(土)公開の映画『エンダーのゲーム』の公開記念し、映画と原作本のどちらを先に体感するとよりこの世界観を楽しめるのかをテーマにピース又吉直樹さんと加藤夏希さんがそれぞれの角度から『エンダーのゲーム』の面白さを語ったイベントの模様をお送りします。

まずはご挨拶をお願いします。

又吉直樹:こんばんは、ピース又吉です。

加藤夏希:皆さんこんばんは、加藤夏希です。よろしくお願いします。

又吉さんは芸人さんの中でも読書家として知られていますが、「エンダーのゲーム」はご存知でしたか?

又吉直樹:いえ、残念ながら勉強不足で知らなかったです。今回はじめて読みました。僕は主に近代文学が多かったので、普段SFはあまり読まないのですけど、今回読ませていただいて、スケールが大きな話でとても面白かったです。スケールが大きいだけではなくて、人間ひとりひとりの心の葛藤の描写が、普段僕が好きなジャンルの本と内容が重なるところも多くて面白かったです。上巻に6時間、下巻に5時間くらいかかりましたけど、ほとんど止まること無く読み終えました。とくに上巻は喫茶店で読み始めて、途中で店を1軒変えただけです。ほとんど集中が途切れること無く、近くの席で女性が変な男に勧誘されているのを止めようかと思った時だけ現実に戻りましたけど(笑)、それ以外は面白くて集中して読めました。

>この作品は1977年に短編として登場して、1985年に長編として発表されました。ずいぶん前に発表された作品ですが、そのあたりはいかがでしたか?

又吉直樹:古いという感覚が全くなかったです。ネットという言葉も出てきましたし、ゲームということもそうですし、現代の作品を読んでいる感覚でした。SFにいろいろと影響を与えたという説明を聞きましたけど、SFに限らず、現代の小説が過去の作品を踏まえて一段ずつ階段を上がっていく中に確実にこの「エンダーのゲーム」もあったんやろうなと、最近の作品で思い当たるものも幾つかあって面白かったですね。

>今は月平均どのくらい読まれるんですか?

又吉直樹:今は減りましたけど、5~10冊は読んでいますね。小説はほぼ一気に読みますね。ショートショートやエッセイ、俳句なんかは移動中ですけど。

加藤さんはアニメが大好きということで、「エンダーのゲーム」がアニメにも与えた影響が多いそうですが、加藤さんはご存知でしたか。

加藤夏希:知らなかったですね。でも試写で観させていただいて、確かに「エヴァンゲリオン」、「ガンダム」、「トップをねらえ」の要素があるなと、きっと当時本を読んだ人がいろんな影響を受けて、今クリエイターとして活躍しているのかなと感じました。

又吉直樹:そう言われてみればそうですよね。

加藤夏希:話の展開や主人公のキャラクターとか、日本人が好きなモノがすごくギュッと詰まっている感じがしました。いわゆるハリウッド映画のような派手な展開ではなく、節々にいろいろなものを残して、共感もするし、SFにとらわれずに、登場する子どもたちの人間関係やコミュニティのようなものができていて、かつ30年前に書かれたとは思えないくらい、今の子どもを描いているようで、すごく先読みをしていると思いました。でも、当時映画化されていたとしたら、今ほど共感を得られずに、ちんぷんかんぷんなことがありすぎたんじゃないかなとも思います。まさに今を描いていて、でもSFで宇宙に戦いに行くという、ものすごくたくさんの要素が入っていますね。観た後にどんどん話したくなるような作品でした。

ストーリーに古さがないんですね。映像面ではいかがでしたか?

加藤夏希:とにかく無重力状態の映像がすごいです。子どもたちが無重力をはじめて体感するシーンで、観ている私たちも無重力空間にいるような感覚になりました。劇場がそのまま宇宙戦艦の中のように思えるくらい引きこまれました。

>小説もいろんな映像を思い描きながら読まれましたか?

又吉直樹:どうやって映像にするんだろうと読み終わってから思いました。宇宙空間で子どもたちがチームに分かれて相手を凍らせる銃で戦うんですけど、サッカーの試合のように戦術やフォーメーションがあって、物語の中での架空の戦いのはずなのに細かいところまで戦術があって、作者は本当にひとりで書いたのか疑いたくなりました。映像でもそこが一番観たいですね。

加藤夏希:一番そこがおすすめのシーンです!

それぞれの視点からの好きなシーンを教えてください。

又吉直樹:原作では、主人公のエンダーが家族から一旦離れてバトルスクールに旅立つときの家族との別れ方ですね。主人公が宇宙での戦いに向けて、倒しまくるぞというテンションではないところに感情移入できました。僕が芸人になろうとした時のテンションとも似ているので(笑)。少年も戦ういろんな理由があって悩みながら戦いに行くんですけど、そのシーンにはそういうものが出ていて応援したくなりました。しかも、それが小学校にも入る前の5~6歳の子どもですからね。自分が6歳の時はどろ団子をいかに固くするかに全ての時間を費やしていましたから、才能を羨ましく思いつつ辛いこともあるんやなと。それが一番出ていたのがその別れのシーンですね。

>映画の方だとエンダーは10歳の設定になってるんです。それでも思考回路は普通の子どもじゃないんですよね。

加藤夏希:はい。10歳でも十分に幼いですよね。

又吉直樹:10歳だと僕はボールをいかに遠くに飛ばすことができるかしか考えていなかったです(笑)

>では加藤さんはいかがですか?

加藤夏希:バトルスクールで無重力の空間で相手と戦う時に、エンダーは自分のチームを持つんです。それが強い上にチームワークも感じられてうるっときちゃいました。複数で固まって戦艦のような形になって前に進むんですけど、相手に撃たれてしまって腕とかが凍りながらも相手を蹴散らしていくんです。どちらかというとそれまではエンダーは一人ぼっちで周りから「この子は違うんだ」といやな目で見られていたのが、指揮をとるリーダーになっていって、しかも温かく周りを見守って引っ張っていくようになっているのが本当に素敵なシーンだと思って観ていました。それと、宇宙で先輩に怪我をさせてしまって「僕はもう戦いたくない」と地球に戻るのがシンジくんっぽい!と思いました(笑)。エンダーは地球に戻ってお姉さんと会うんですけど、お姉さんがエンダーを優しく包みこんで前に押し出してくれるところが、すごく家族愛を感じて素敵なシーンでした。

では、又吉さんからはこれから本を読む方に『エンダーのゲーム』の魅力をお聞かせください。

又吉直樹:僕があまりSFを読んでいないからかもしれませんが、SFに期待するのは宇宙やスケールの大きな戦いだったのが、そういう戦いに向かっていく主人公の葛藤が身に覚えがあったり、共感できるところがあって、全く自分の知らない話ではなかったです。主人公の人間関係の作り方や状況を考えて乗り越えていくという部分は、自分自身周囲との関係づくりに活かせるんじゃないかと思いました。これができたらもしかしたら僕は来年友達がすごく増えると思いました(笑)。実際に使えそうなことが多くて、ただ相手に優しくすればいいわけではないとか、そういうところも学べました。

加藤夏希:どうやって動くとどうなるかというところは戦略的ですよね。ただ友達になるだけの相手との会話も、相手が何を考えているかを読み取って行動しているのでびっくりしますよね。

では加藤さんからはこれから映画を観る人に『エンダーのゲーム』の魅力をお聞かせください。

加藤夏希:今のCGの技術を最大限に活かしていて、無重力状態もそうですし、宇宙の景色がとてもきれいです。映像の動き、カメラマンさんの動きだと思いますけど、観ている自分も無重力を体感しているような気持ちになれます。普通に映画を観ているのにアトラクションに乗っている感覚で観られます。それと、エンダーのお芝居が細かいんです。表情とか、かわいらしいんだけど心の中は大人なんじゃないかというようなギャップも魅力的です。私個人としては登場人物のひとりのビーンがすごくイケメンです(笑)。ビーンをもっと見たかった!と観終わってから思ったんですけど、原作のシリーズではビーンの視点からの作品もあると聞きましたので、映画を観てベースができているので、小説を読むときの難しさもなく読めるんじゃないかと思います。

イベント後の囲み取材のやり取りを。

改めて原作、映画それぞれの感想をお聞かせください。

又吉直樹:エンダーは天才少年なんです。ある状況に置かれた時に、自分がこうしたら相手がこうなる、というのを全部俯瞰で見て正しく選択して壁を乗り越えていくんですね。宇宙の壮大な戦争の指揮を執る人間に成長していくという話で、宇宙の物語なんですけど、僕らが共感できるところがたくさんあってどんどん読めます。

加藤夏希:自分が宇宙にいるかと思えるくらい映像がすごいです。ストーリーも子どもの考え方、大人の考え方、いろいろあって、でも悪い人が誰もいないんですよ。いじわるな人もいるんですけど、エンダーがうまくまとめていくチームワークを作っていく姿が素敵です。

又吉直樹:6時間読み続けることってあまり無いですけど、これは本当に読みやすかったです。海外の小説よりも国内の小説の方が読む機会は多いですけど、名前とか地名で分からなくなること多いんですけど、『エンダーのゲーム』ではすごく整理されていて、理解しやすかったです。

普段は読んでから観る派ですか?観てから読む派ですか?

又吉直樹:僕は読んでから観る方ですね。

加藤夏希:私は観てから本に入ることが多いです。映画で疑問に思ったことが本で解決したりとか、自分も謎解きをする感覚で見るのが好きです。

>SFはあまり読まれない?

又吉直樹:星新一さんとかは読みますけど、長編で宇宙が舞台だとこの『エンダーのゲーム』がはじめてかもしれません。読書を始めた時に日本の文学から始めて、20代で読み尽くして海外の文学を読もうと思いましたけど、いま33歳ですけどいまだ日本にとどまったままです。宇宙に行くにはまだまだかかりそうです(笑)。でもこれを読んでSFも難しい話ではないんだと分かったので、また何か読みたいなと思いました。

>「エヴァンゲリオン」とは似ているんですか?

加藤夏希:多少なりともかぶるシーンはあって、影響もあるのかなとは思いました。でもエンダーはシンジくんではないし、アムロとも全然違います。賢くて強くて、でも寂しがりやの心も持っているんです。私は「トップをねらえ」がすごく好きで私も宇宙に行って戦いたい!と思ったので、『エンダーのゲーム』と庵野監督はどこかしら通じるものがあるのかもしれませんね。

アニメ好きの異性の方、読書好きの異性の方とは通じるところがありますか?

加藤夏希:私は2.5次元好きなので、それを理解していただける方となら(笑)。でもこの作品は2.5次元ファンの方にも受け入れられると思います。

又吉直樹:僕も通じる部分はありますね(笑)。コスプレという意識はなかったですけど、近代文学を読んで当時の人のような服を格好いいと思って着たりしたのは、ある種の2.5次元かもしれませんね(笑)。永井荷風の着こなしに憧れた時期もありましたし。それぞれ、思い思いの服で集まったらとんでもないことになるかもしれませんね(笑)。

OKWaveユーザーに質問!

あなたは映画を観てから原作を読んだりしますか?
何かそういった作品の経験があったら教えてください。

Information

『エンダーのゲーム』
2014年1月18日(土)全国公開

エンダー・ウィッギンは禁断の“サード(第三子)”として生まれたために、友達もいない孤独な少年時代を過ごしていた。
だが、彼はエンダー(終わらせる者)という名の通り、宇宙戦争を終わらせ地球を滅亡から救う使命を背負っていたのだ。
敵は、独自に進化し圧倒的な軍事力を誇る昆虫型生命体フォーミック。
その第二次侵攻に備え、世界中から選抜された少年戦士たちと共に防衛軍ベースキャンプのバトルスクールに送られたエンダーは、過酷な訓練によって宇宙で戦うためのあらゆる術を叩き込まれる。たとえ敵であろうと、多くの生命を奪う戦争は許されるのか?エンダーは強い疑問を抱き苦悩しながらも、驚くべき速さで戦士として頭角を現し、少年戦士たちの指揮官となる。いつ開戦するかもわからない焦燥感と、絶望的なまでの孤独や重圧と戦うエンダーに、最終戦争の時が迫る。
そこには純粋な彼の心を破壊しかねない、衝撃のエンディングが待ち受けていた…。

監督:ギャヴィン・フッド
出演:エイサ・バターフィールド ヘイリー・スタインフェルド ベン・キングズレー ヴィオラ・デイヴィス with アビゲイル・ブレスリン and ハリソン・フォード
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン

http://disney-studio.jp/movies/ender/

©2013 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.

OK LABEL

回答投稿にあたっての注意とお願い

OKStarsからの質問は、OKWave事務局(ID:10q-OK)が質問投稿とベストアンサー選定を代行しています。
当企画は、OKWaveの他のカテゴリーと異なる主旨での運営となっています。原則的に回答への個別のお礼はつきません。あらかじめご了承ください。
ご回答の際には利用規約禁止事項ガイドラインに沿った投稿をお願いいたします。