OKStars インタビュー

Vol.335 映画監督

キム・ソンス

OKStars Vol.335は『ゲノムハザード ある天才科学者の5日間』のキム・ソンス監督へのインタビューをお送りします!

原作のどんなところに興味を持ちましたか?

主人公が自分のアイデンティティを探し求めていくストーリーはたくさんあったと思いますが、そういうストーリーに興味を持っていました。原作を初めて読んだ時、自分は誰なのか?という部分に惹かれたのと、自分が誰なのかわからないのではなく、他人の記憶が自分の中に入っていて、それに気づかずに自分の記憶だと思って生きていくところが今までの話との大きな違いで、それを映画化したら面白いんじゃないかと思いました。原作に一味違うところを加えたのは、他人の記憶であれば、それは必ずしも同じ国の人ではなくても良いと思ったので、国籍を変え、しかも韓国と日本では外見も似ているので、そうすることでスケール感が一気にアップするのではないかと思いました。

他人の記憶に上書きされた主人公を演じた西島秀俊さんとは演技についてどんな話をしましたか?

すごく難しい演技なので、キャスティングする時に重要だと思ったのは、何よりも演技に最善を尽くしてくださる人、ということで西島さんしか思い浮かびませんでした。一般的に考えたら韓国人と日本人のキャラクターを演じ分ける上で、ここからは韓国人、ここは日本人という分け方をするのでしょうけど、そこから一歩抜けて、わざとそういう線を引くのはやらないキャラクターにしようとしました。別の人格という差を演じるというよりも、平凡な一人の男が経験するものすごく特別な事件、という物語を感じてもらうことに焦点を合わせてみようとしました。これは多重人格の話ではないので、そういうはっきりとした人格の分け方に意識を置くよりは、この主人公が感じる混乱を、観客も一緒に感じられるようなキャラクターにしようとしました。

キム・ヒョジンさんはご本人は日本語を話せないとのことですが、今回演じたのは日本語を話す韓国人の記者ということで、どういう風にキャラクター作りや演出をしていきましたか?

本当に準備する時間がなくて、本人に任せるしかないというところでした。キム・ヒョジンという女優は熱心で情熱家ということで評判なのでそこに期待はありました。本人も完璧を求めて、撮影の合間の時間も全て活用して、日本語で話す練習に明け暮れていました。委ねるしかなかったので奇跡のような撮影でした。この役は韓国人の女性記者なので、完璧な日本語を話す必要はありませんが、最初から最後までたどたどし過ぎるのは観ている人にも疲れると思うので、過酷な注文でしたけど、できるかぎり完璧な日本語をお願いしたところ、期待以上だったので、監督としては感謝しています。

日本人と韓国人のスタッフがいる現場で撮影をした感想をお聞かせください。

日本と韓国の映画作りのシステムが違うので最初は悩むところもありましたが、日本と韓国それぞれのやり方をまずは認めて、その上でゲノムハザード・チームとしてのシステムを作ろうと、お互いのやり方の壁を崩して、最大限ここで楽しく撮影する方法を考えました。監督の思いをスタッフも理解してくれて、お互いにだんだんと言葉や文化の違いが感じられないようになって、終わる頃にはみんな友だちのように一つになっていました。この撮影自体が与えてくれる幸せ度のようなものは、韓国で韓国人スタッフで映画作りをしていた時よりも満足感も幸せ感も高かったと思います。この映画の内容は多少難しくて重いけれども、現場は楽しい遊び場のような気持ちでみんなで楽しくできるようにしようと考えていましたが、まさにそのようにできました。お互いに言葉を覚えて会話をしていたので、胸が熱くなる様な思いでした。

中村ゆりさんは韓国人スタッフはみんなタフだったと仰っていましたが、監督は日本人スタッフにどんな印象を持ちましたか?

ものすごくプロフェッショナルですね。自分の役割に忠実で準備を怠らないところが印象的でした。それと常に監督に確認をするので、私も返事を考えなければなりませんので、自分が考えていたプランよりもはるかにディティールを深く考えて答えました。

監督としてはどこが一番の見所でしょうか。

個人的にはこの作品のテーマは運命のアイロニー(皮肉)だと思います。一番そのテーマを伝えているのは最後の観覧車のシーンです。そこですべての秘密が明かされますが、そのシーンもまたアイロニーなんですね。この映画の色が出ていると思います。

キム・ソンス監督からOKWaveユーザーに質問!

映画に関する質問です。
もし皆さんが石神のように他人の記憶が上書きされたことを知ったとしたら、
あなたならどうしますか?
私としてはぜひ5日間で自分の記憶を見つけてください(笑)

Information

『ゲノムハザード ある天才科学者の5日間』
1月24日(金)全国ロードショー

ごく普通の会社員・石神武人(西島秀俊)は妻を殺されたことをきっかけに、別人の記憶が混在するようになる。そして彼はある事実を知る。自分自身が本当は韓国人科学者オ・ジヌだったということを。
彼は記憶を“上書き”されていたのだ。正体不明の女性記者(キム・ヒョジン)に助けられ真実を追ううちに、彼の妻を装う女(真木よう子)と出会い…。
一体誰が、何のために記憶を奪ったのか?なぜか彼を捕えようとする男たちから逃れながら、5日後すべての記憶が消えるその前に、真実に辿り着くことができるのか?

西島秀俊
キム・ヒョジン 真木よう子
浜田 学 中村ゆり パク・トンハ イ・ギョンヨン / 伊武雅刀

監督・脚本:キム・ソンス
原作:司城志朗「ゲノムハザード」(小学館文庫)
音楽:川井憲次
提供:ハピネット
配給:アスミック・エース

genomehazard.asmik-ace.co.jp

Profile

キム・ソンス

1971年、韓国出身。
ソウル芸術大学映画科在学中から短編映画の分野で才能を発揮し、『ホテルカリフォルニア』、『暴力映画』、『Wounded Birds』などの作品が各種短編映画祭で受賞を果たした。自身の作品と並行し、パク・チャヌク、ソン・ヘソンなど実力派監督の下で助監督をつとめる。助監督の経験を経て、06年『美しき野獣』で長編映画監督デビュー。男性美溢れる、感覚的な演出で高い評価を得る。

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