OKStars インタビュー

Vol.367 映画監督

山口雅俊

OKStars Vol.367は映画『闇金ウシジマくん Part2』の山口雅俊監督へのインタビューをお送りします!

「闇金ウシジマくん」ドラマ1作目と劇場版を作られてから、ドラマSeason2と今回の劇場版2作目に至るまでの経緯をお聞かせください。

最初のTVドラマの時は、“闇金”という犯罪者が主人公ということで、内容によってはオンエアできるかわからないという状況から始まりました。劇場版のPart1も含め、本当に危険な橋を渡って作ってきましたが、ゆくゆくは映画の続編も作りたいという意識は当初からありました。以前に作った「ナニワ金融道」の頃と比べると、社会的にも貧富の格差が開いているので、「闇金ウシジマくん」はちゃんと作れば受けるという感覚がありました。ですので、今回のドラマのSeason2と映画のPart2も自分の中では予定通りに作ることができたという思いです。

今回の『闇金ウシジマくん Part2』で原作の「ヤンキー編」と「ホスト編」を選んだ理由は?

「ヤンキー編」については、映画のPart1の時にも候補としてありました。迷いましたが、最終的にはイベントサークルの男の子と、出会い系に走ってしまう女の子という、多少観客の目線に近い人物で作った方がいいという選択をしました。Part1が好意的に受け入れられたので、今回は登場人物が多くてもっと複雑に絡み合った話を作りたいと考えましたので、前回迷った「ヤンキー編」に挑戦してみました。

>原作では全く違う時系列のエピソードが絡み合っていてすごいと思いました。

映画としては疾走感があるものにしようと思っていました。最初に台本をスタッフに渡したら「監督、これ4時間になります」という反応でしたけど、「僕としてはこのままで2時間におさまります」という話をしてスタッフを説得、実際にその通りにできたと思います。

登場人物のキャラクターが全員立っていますが、山田孝之さんらレギュラーメンバーと、映画から入ったゲストキャストの方々にはそれぞれどんな演出をされたのでしょう。

以前に作った「ナニワ金融道」は主人公が大阪にやってきておどろどろしい街金の世界を体験していく話でしたので、物語の構造としてはオーソドックスでした。ですが「闇金ウシジマくん」は主人公がブレないで、周りの債務者がブレるので、物語の構造としては珍しいタイプです。なので、山田君とは歩くスピードや顎の角度といった形だけ決めて、後は山田君にその形を踏襲して磨きこんでもらいました。一方で、迷いながら疾走する債務者たちや、他のゲストキャラクターたちには、それぞれ人としての苦悩や悲喜劇があるので、役の設定や芝居のバックグラウンドを話し合いました。綾野剛君とは、戌亥(いぬい)のウシジマとの関係性や信頼関係の歴史の話をしましたし、窪田正孝君にはホストという職業の本質についての話をしました。他のキャストとも、細かく話をして芝居をつけていきました。僕は監督としては場を全体的に盛り上げるというよりも、一人一人事細かに芝居をつけていくタイプなので、やべきょうすけさんは「監督の演出はキャンプファイヤーではなくてガスバーナーみたいだ」なんて言ってくれました。

製作にあたって事前に取材したことなどで印象的だったことは?

中尾明慶君の演じた愛沢、菅田将暉君のマサル、窪田君の神咲麗の出身地もそうですが、ウシジマの出身地はおそらく関東の北部で、幹線道路沿いにはチェーンの牛丼屋やパチンコ屋、サラ金のATMみたいなのが並んでいるけれども、駅前は閑散としてしまっているようなそんなところから出てきたんだろうなと、ロケハンしながら考えました。「ナニワ金融道」の大阪が本当に牧歌的でまだよかったと思えるほどで、そういう厳しいところで生まれ育ったことで、ウシジマの成り立ちが何となく分かったり、みんなが何を争っているのかを確認していくことができました。

お金にまつわる物語ですが、お金にまつわるキャラクターの行動原理をどう描こうと思いましたか。また、闇金という世界を描く上でとくに気をつけたことは何でしょう?

お金というものには人間の本質が出やすいですよね。でもウシジマの中でもお金はテーマではなくモチーフでしかないです。闇金は犯罪なので、主人公のウシジマはブレずに、警告者であるという描き方をしています。こういうことをしてはいけないという警告であったり、より良く、より強く生きるためにはどうするかということを反面教師的に描いています。そのための表現方法として現金をきちんと映すという方法を取っています。それによってその人が何を求めているかがわかるからです。お金を巡る愛沢とマサルの行動については、疾走感のある見せ方をしていますが、引きの画でつらい状況も見せるようにしました。麗と彩香のエピソードでもそれは同じです。それ以外では、“食べるところ”を意識しました。食事のシーンが必要かどうかというよりどんなものを食べているのかが大事です。ウシジマはとくにいろいろなものを食べていますけれど、その有り様が大事で、そうすることで、犯罪者であるウシジマがどういう人物かわかると思います。ウシジマのような人物がなぜ一見効率の悪い闇金みたいな商売をしているのかが何となく見えてくるように、食べ物と現金、とくに今回は五円玉をモチーフに描きました。

初めて「闇金ウシジマくん」を読んだ時の印象はいかがだったでしょうか。

「ナニワ金融道」の時は、映像化には複数の人が手を挙げていました。「闇金ウシジマくん」を読んだ時は内容があまりに苛烈なので、これは映像化できないだろうなと思いましたし、自分がやらないと映像化はできないだろうなとも思いました。また、映像化は困難だろうけど、うまく作れば広く受け入れられるだろうなとも思いました。こういうジャンルは実写ではなかったので、これを地上波のTV局で発信して、その後に映画化したらみんなびっくりするだろうと。エンタテインメントにもなるだろうし、観終わった後に、明日から仕事に立ち向かおうとか、ちゃんと勉強しようとか、強く生きる方法のようなメッセージを発信できる作品になるだろうなと思いました。

映像化するまでに困難が大きかったと思いますが、実現させた原動力は何だったのでしょう?

ベストセラーで健康的なストーリーだったら他にもやる人がいますが、「闇金ウシジマくん」の実写化は他の人にはちゃんとはできないだろうなと思いました。「ナニワ金融道」や「カイジ」など、わりと映像化が難しい作品を実写化してきた自信もありました。さらに言うと、この作品を山田孝之でやろうとは誰も思いつかないだろうと考えました。山田君を主演に迎えた「闇金ウシジマくん」は自分にしかできないだろう、というのが一番の原動力でした。

>山田孝之さんでいこうというのはどこから?

見た目で言えば他の方を発想しがちですけれど、ウシジマはブレずに見ている人に警告を与える立場なので、役者としての姿勢が問われます。山田君は演じる上では役になりきるので格好つけたり恥ずかしがることがないんです。役者としては本来当たり前なことだけど、むしろ珍しいタイプです。ウシジマという困難な人物を演じる山田君が第一人者となって、それを見たより若い役者が心打たれるからこそ、共演したいという役者が引きも切らず出てくるんです。綾野君が参戦したり、菅田君や窪田君や柳楽君、門脇麦さんや高橋メアリージュンさんといった若手が一緒にやりたいと出てきたことからも、そういう点で山田君には役者としての座長として尊敬されていることがわかります。山田君のウシジマには他の役者にとっても説得力があるのだろうなと思います。

今後の「闇金ウシジマくん」実写化の展開はいかがでしょう?

これから僕と山田くんとの話し合いになると思いますが、僕らの中ではウシジマのある側面をまだ出していないという意識があるので、何らかの形でやりたいとは思います。

では最後にメッセージをお願いします。

『闇金ウシジマくん Part2』ではウシジマくんとカウカウファイナンスの面々が変わらずいて、そこにすごく豪華なゲストが疾走感を持ってウシジマに挑んできて、それを助けるために綾野君の戌亥が参戦するという構造です。多彩な役者たちがほぼ満点の芝居をしていて、しかも物語としてほとんどのキャラクターに決着がついているという幸福な映画です。観終わって、強く生きようとか、目の前のことに1つ1つ立ち向かっていこうと思える映画なので、観ると元気になると思います。

山口雅俊監督からOKWaveユーザーに質問!

ドラマのSeason2で「女のことで悩むのは、
牛丼に七味・紅しょうがの順番で入れるのか、
紅しょうが・七味の順で入れるのか悩むのと同じくらいどうだっていい」
というセリフを考えたのですが、
皆さんの日常生活の中で“それはどうだっていい!
と思うこと”は何ですか?

Information

『闇金ウシジマくん Part2』
5月16日(金)TOHOシネマズ六本木ヒルズ、新宿バルト9ほか全国公開

現代社会の闇を容赦なくえぐり、その先のわずかな光を予感させるハードな内容ながら、国民的ベストセラーとなった真鍋昌平の原作コミック(2011年小学館漫画賞を受賞)をリアルに実写化し、深夜ドラマから映画へと展開した前シリーズから2年。映画&DVDの驚異的な大ヒットを受けて、まさかの続編決定!
金に困り「後(あと)がない」客に「10日で5割(トゴ)」、「1日3割(ヒサン)」といった違法な金利で貸し付け、債務者を徹底的に追い込むアウトローの金融屋「カウカウファイナンス」のウシジマ(山田孝之)とNo.2の柄崎(やべきょうすけ)、高田(崎本大海)。新たな相棒として情報屋・戌亥(いぬい、綾野剛)を迎え、待望の映画Part2ではスピーディで重量感のあるアクションとバイオレンス、疾走する濃い人間ドラマ、すべてがハンパなくスケールアップ。究極の“ウシジマ・ワールド”がここに開幕する。

山田孝之
綾野剛 菅田将暉
木南晴夏 門脇麦 高橋メアリージュン
中尾明慶 窪田正孝
希崎ジェシカ バカリズム 大久保佳代子 キムラ緑子
マキタスポーツ 本仮屋ユイカ 光石研
柳楽優弥 崎本大海 やべきょうすけ

原作:真鍋昌平(小学館「週刊ビッグコミックスピリッツ」連載中)
監督:山口雅俊
脚本:福間正浩 山口雅俊
配給:東宝映像事業部=S・D・P

公式URL:http://ymkn-ushijima-movie.com

©2014真鍋昌平・小学館/映画「闇金ウシジマくん2」製作委員会

Profile

山口雅俊
兵庫県神戸市出身。 フジテレビのプロデューサーとして「ナニワ金融道」シリーズ(96~)、「ギフト」(97)、「きらきらひかる」シリーズ(98~)、「カバチタレ!」(01)、「ロング・ラブレター 漂流教室」(02)、「ランチの女王」(02)、「ビギナー」(03)など数々のユニークなドラマを手掛ける。2005年に独立し、株式会社ヒントを設立。『カイジ 人生逆転ゲーム』(09/佐藤東弥監督)、『カイジ2 人生奪回ゲーム』(11/佐藤東弥監督)を企画プロデュース。『スマグラー おまえの未来を運べ』(11/石井克人監督)『ひみつのアッコちゃん』(12/川村泰祐監督)では企画、プロデュース、脚本を手掛ける。深夜連続ドラマ「闇金ウシジマくん」シリーズ(10、14/MBS・TBS)で企画、プロデュース、演出を担当、映画版『闇金ウシジマくん』(12)でも企画、プロデュース、脚本を手掛けるとともに監督を務めた。

ツイッター:https://twitter.com/kantoku_kun_

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