OKStars インタビュー

Vol.374 映画監督

スティーヴン・ナイト

OKStars Vol.374はジェイソン・ステイサム主演『ハミングバード』のスティーヴン・ナイト監督へのインタビューをお送りします。

ドラマ的な要素が強い本作で、アクション俳優であるジェイソン・ステイサムを起用した理由を教えてください。

ジェイソン・ステイサムとは、マイアミで、この作品のためのミーティングで会ったのが初めての出会いで、すぐにウマが合った。彼は自分自身がイギリスの労働者階級出身というバックグラウンドを持っている。そこは、軍人になる人たちがたくさんいる階級で、ステイサムの演じる主人公も元軍人だ。そういうイギリス的な資質を、同じ労働者階級出身のジェイソンに演じてほしいと思い起用した。

撮影中にステイサムの印象的だったエピソードをお聞かせください。

会う前は、気難しいと脅されていたが、会ってみたらそんなことはなく、最高に人柄がよくて、一緒にいやすいし仕事もしやすい人柄だった。自分が100%信じることのできないような作品に関しては気難しいらしいが、今回の場合はプロジェクトを信じてくれて、そして良い作品を作りたいと心から思っているだけに、100%、それ以上の力を出してくれた。きつい現場でも、難しいシーンでも全てを出し切ってくれた。
ラストのとあるシーンは、すごく大切で、ステイサムにむき出しの感情を表現してもらわなればいけなかったんだが、彼は見事に演じ切ってくれた。実は、撮影は初めの方に行ったのだが、僕自分も感動したし、彼もこの役が「自分のキャリアの中で最高の役だ」と言っていた。撮影時も、特別話し合ったわけでなく、自然発生的に彼がその場で演じてくれて、あれだけの素晴らしいシーンになったことを嬉しく思っている。

本作では、イギリス社会のホームレスについて調べたそうですが、作品のテーマを決めるときのポイントを教えてください。

ロンドンという場所が興味深いと思うのは、食べ物もお金も持っていない人たちが、ロンドンの中で最も高い物件であるロフトの近くに住んでいるという事実がある。路地を抜けたら、また別のような方がいるというように、下に住んでいるホームレスと、上のロフトに住んでいる方々の対比であったり、下の人が上にいったらどういうことが起こるのかということを考えた。他の世界の都市と同じように、何も持っていない人たちが、すべてを持っている、恵まれた人たちと近くに住んでいる場所もあるし、それをドラマにしたいと思ったことから企画が始まった。

『ハミングバード』が初監督作品ですね。自ら監督をするつもりで脚本を書かれたそうですが、今までの脚本との書き方の違いはなんですか。

イギリス社会のホームレスなど、他の監督が取り組もうとしない奇妙な事を自分が選んでしまうきらいがあり、自分が監督する時は、自由に書けてしまうということに違いはあるかな。

監督第一作目を撮り終えた感想をお聞かせください。

実は第2作目の『LOCKE』(※原題、アメリカで現在公開中)の評判が非常によく、たくさんの人が観てくれている。この作品をきっかけに『ハミングバード』を観てくれたという人もたくさんいるんだ。『ハミングバード』は『LOCKE』よりテーマ的に難しい映画だと思っている。でも1回目に観たときに気付かなかったテーマであったり、違う側面であったりを、また2回目に観たときに気づくことがあるように、再び多くの人が『ハミングバード』に注目してくれて、僕にとっても興味深い1本となっている。『ハミングバード』のテーマが苦しんでいる人たち、特に退役した軍人たちの抱えている苦しみ等を描いていて、通常とは違ったタイプの映画なので、自分にとっては非常に意味深い映画だ。誰も描いていないホームレスたちの姿なのだけれど、語る価値のある物語を描いた、という意味で、自分にとっても価値のある映画となった。

本作はご自身が脚本を務めた『堕天使のパスポート』、『イースタン・プロミス』に続く3部作の3番目とおっしゃっていますが、共通して流れるテーマと、この作品固有のテーマを教えてください。

どの街でもたくさんのストーリーがあって、例えば、ロンドンの違法ミニタクシーの運転手の物語も面白いと思う。そこには語る価値がないと思われて、映画にならないような話がゴロゴロしている。そういう中からいかに物語をピックアップして映像化するかということに興味があって、それは3作品に共通する点だと思う。『ハミングバード』でユニークなのは、退役し、戦場から戻ってきた兵士たちの物語であるということ。実際イラクやアフガニスタンから戻ってきたたくさんの兵士たちに話を聞いたけれど、彼らの多くは普通の人間なんだ。けれど、戦地に行ったことで非常に傷ついて帰ってきて、トラウマを抱えて生きている。そういう触れられない彼らの物語が、作品固有の魅力になるんだ。

ジェイソン・ステイサムとは、役作りについてどんな話をされましたか。

特に何かを話し合ったわけではなく、2人でホームレスであったり、アフガニスタンから帰ってきた退役軍人であったり、とにかくいろんな人に話を聞きに行った。自分たちの描こうとしているキャラクターがどういうものなのか、一緒に学ぶ作業の中で、ジェイソンはそういう人たちの話をとても前向きに聞いていた。特に、話を聞いた4人の元軍人からインスピレーションを受け、自身のキャラクターをつくっていったんだ。

日本の観客に向けてメッセージをお願いします。

人間の性質とは普遍的なものなのだと感じてもらえたらうれしい。どの都市でも、生きている人間というのは、それぞれが最善の努力をして生きている。それは普遍的なテーマであり、それこそが人間の物語なのだと。

スティーヴン・ナイト監督からOKWaveユーザーに質問!

過去作品の中で、ジェイソン・ステイサムが出演している中でどの作品が一番、好きですか?

Information

『ハミングバード』
2014年6月7日(土)新宿バルト9ほか全国ロードショー!
ロンドンの暗黒街で、絶望のどん底を這う男。彼の名はジョゼフ。かつては特殊部隊を率いる軍曹だったが、そこで犯した罪から逃れるため、家族や社会からも距離をおき、息をひそめて暮らしていた。ある日、唯一心を通わせた少女が拉致されたことで、彼の人生が大きく動き出す。彼女を救うために他人になりすまし、裏社会でのし上がっていくジョセフ。しかし、少女の残酷な運命を知ったとき、彼の怒りは決壊、復讐の炎と化す。過去に犯した罪、そして自らの人生にも決着をつけるため、ジョゼフが最後に下した決断とは?

監督・脚本:スティーヴン・ナイト(脚本:『堕天使のパスポート』、『イースタン・プロミス』)
出演:ジェイソン・ステイサム、アガタ・ブゼク、ヴィッキー・マクルア、ベネディクト・ウォン、ジャー・ライアン、ダイ・ブラッドレイ
配給:ショウゲート
公式サイト:http://hummingbird-movie.jp/
公式Twitter:https://twitter.com/statham_movie
Facebookページ:https://www.facebook.com/hummingbird.movie

©2012 Hummingbird Film Investments LLC

Profile

スティーヴン・ナイト
1959年、イギリス、マールボロー生まれ。
クリエイターとして参加したTVシリーズ「フー・ウォンツ・トゥ・ビー・ア・ミリオネア」(98)で、英国アカデミー賞を受賞する。初めて手掛けた映画脚本は、スティーヴン・フリアーズ監督の『堕天使のパスポート』(02)。ヴェネツィア国際映画祭でプレミア上映され、ロンドン映画祭のオープニング作品に選ばれ、アカデミー賞®、ロンドン映画批評家協会賞にノミネートされる。続いて、政治家ウィリアム・ウィルバーフォースの人生を描いた、マイケル・アプテッド監督の『アメイジング・グレイス』(06)、ロシア人の犯罪組織を描いた、デヴィッド・クローネンバーグ監督、ヴィゴ・モーテンセン、ナオミ・ワッツ出演の『イースタン・プロミス』(07)の脚本を手掛ける。本作が初監督作で、第2作はトム・ハーディ主演の『Locke』(13)。

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