OKStars インタビュー

Vol.382 映画監督

ジャン=マルク・ルドニツキ

OKStars Vol.382は2014年7月19日公開の『ママはレスリング・クイーン』で長編映画初監督を務めたジャン=マルク・ルドニツキ監督へのインタビューをお送りします。

この『ママはレスリング・クイーン』では面白い題材を取り上げましたが、そもそもの映画化のきっかけは何だったのでしょう。

このアイディアは私自身のオリジナルではなく、女性3人が書いた脚本がもとになっています。私はケン・ローチ監督やスティーブン・フリアーズ監督のようなイギリスの社会派コメディが好きです。コメディでありながらドラマ性があって、庶民を描いていて、人生にはいつも二度目のチャンスがあるんだということをテーマに掲げている作品が大好きなんです。今回は女性を主人公にした「フル・モンティ」のような作品にしたいと思いました。

プロレスという題材についてはいかがでしょうか。監督はもともと興味はありましたか。

どちらかというと変なスポーツだという偏見の方がありました(笑)。今までは単なる観客でしかありませんでしたけど、今回の女性キャストらをトレーニングしてくれたヴァンサン・アカンという現役レスラーと一緒に試合を観に行って、彼を通して私自身初めてプロレスの何たるかを発見しました。プロレスは非常に人気があって、しかも単なる勝ち負けではなく、スポーツ・ショーとして成立していて、ショーを観るために観客たちが集まってきているんだということを知りました。

本作の中ではプロレスのコスチュームや入場方法を考えたり、細部にこだわりが見られました。

そうなんです。目指したのは、ひとりひとりの登場人物がレスラーとしてのキャラクター作りをしていくことでした。この映画の中にとどまらず実際のプロレスラーでもマーヴェル・コミックスのヒーローのようなキャラクター作りをするケースもありますね。プロレスを観ていて面白いと思ったのは、決して技だけではなく、レスラーのキャラクターに観客がのめり込んでいくところだと思いました。この映画では単なるスーパーマーケットのレジ係の女性たちがスーパーヒーローになるので、その変身の様子も面白いと思います。

では女優陣をどう鍛えていきましたか。

週に12時間、2ヶ月くらいかけて彼女らにはレスリングを学んでもらいました。普通のスポーツでも練習量が多いと思いますけど、それがプロレスなので、かなりきつかったと思います。現役レスラーのヴァンサン・アカンがトレーナーとしてつきましたが、まず覚えないといけないのが柔道といっしょで受け身の取り方ですね。痛くない倒れ方を学んでから、技を学ぶという順番でした。ナタリー・バイは50代ですので、彼女の年齢にあった動きを用意しましたし、キャラクターと年齢に合わせた技などをひとりひとりに用意しました。トレーニング期間に一緒にジョギングするなどをして女性キャストらの連帯感が生まれていったように思います。

最後の試合は臨場感があって迫力がありました。

試合のシーンには1ヶ月ほど準備期間を取って、撮影にも10日くらいかけたので、まるで別の作品を作っているような入れ込み方でした。カメラも4台使用していますし、撮影監督にはクローズアップした映像のみを撮ってもらい、その場で観て確認をしていきました。特撮もあるので、どのシーンにそれが入ってくるかを頭に入れた上で、全てストーリーボードに書き込んで撮影に挑みました。

ストーリーで監督が意識したところは?主人公ローズの周りの人たちは基本的にはみな優しいですよね。

そうなんです。息子のミカエルを預かっているホストマザーについても、昔風のストーリーなら意地悪な人物にしがちですけれど、本来のホストマザーは問題のある家庭を守るための存在なのでもう少し聡明な形で描きたいと思いました。ローズはプロレスラーになるという自分自身の闘いがあるので、ホストマザーとの確執のような余計な闘いを加えたくはありませんでした。

>スーパーマーケットのお客さんたちも4人に優しいですよね。

優しすぎますか?(笑)この映画は、観て良かったと笑って帰れる作品にしたかったので、変にギスギスとしたドラマ仕立てにはしようとは思いませんでした。

>息子ミカエル君も良い演技でした。

彼は良い俳優ですね。キャスティングをしてすぐこの子だと思いました。マリルー・ベリと会わせた時も波長が合うと感じました。マリルー・ベリが演じるローズは30歳という設定で、本当の意味での母親にはなりきっていない設定でした。ティーンエイジャーのような部分や不器用な面もある。それがこの物語を通じて本当の母親になっていくんですね。

ジャン=マルク・ルドニツキ監督が作品作りにおいて、一番大切にしていることは何でしょうか。

キャスティングをしっかり行って、美術、撮影、技術のスタッフを揃えて、良い脚本があれば、自然と良い映画になりますね。

ではOKWaveユーザーにメッセージをお願いします。

日本の文化がどうなのか分かりませんが、私自身は、人間というものには第二のチャンスというものを与えるべきだと思います。
フランスは経済格差が明確なので、庶民から富裕層への境界をなかなか超えられません。この映画を観ると気づかれると思いますが、フランスの北部は失業者も多く貧困の問題もあります。そんな日常で少し諦めていたような女性たちが舞台の前面に出て行くということをテーマに描きました。ぜひご自分に二度目のチャンスを与えていただければと思います。

ジャン=マルク・ルドニツキ監督からOKWaveユーザーに質問!

日本の皆さんはフランス人に対してどんなイメージを持っているでしょうか。

ちなみにフランス人の日本人像の多くはフランスへの旅行者を通じて作られるので、
お金持ちで優しいというイメージです。
タクシーの運転手は日本人を乗せるとみんな喜びますね。

Information

『ママはレスリング・クイーン』
2014年7月19日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー

舞台は北フランスの田舎町。シングルマザーのローズは、ある事情で離れて暮らす最愛の息子ミカエルと5年ぶりに再会を果たすが、彼は心を開いてくれない。ローズはミカエルがWWEの大ファンだと知り、息子の心を取り戻すためにプロレスに入門を決意する。ローズはスーパーマーケットの同僚3人、主任のコレット、男好きのジェシカ、肉売り場の“怪人”ヴィヴィアンを巻き込んでプロレスチームを結成、百戦錬磨のメキシコ女子プロレスラー軍団との対戦も決定し、猛特訓を始めるのだが…。
息子との関係復活、倦怠期を迎えた夫との関係、恋愛依存症や容姿コンプレックスなど、それぞれの悩みを抱えながらも、プロレスを通して本当の自分を取り戻していく女たちの姿を描いた、汗と涙に溢れた奮闘ドラマ。

監督:ジャン=マルク・ルドニツキ
出演:マリルー・ベリ、ナタリー・バイ、アンドレ・デュソリエ、オドレイ・フルーロ、コリンヌ・マシエロ、イザベル・ナンティ
配給:コムストック・グループ

http://wrestlingqueen.com/

©2013 KARE PRODUCTIONS - LA PETITE REINE - M6 FILMS - ORANGE STUDIO - CN2 PRODUCTION

Profile

ジャン=マルク・ルドニツキ
12歳の頃から映画に夢中になり、初めて映画館で観た『レイダース/失われたアーク 《聖櫃》』に大きな衝撃を受けて以来、スティーヴン・スピルバーグをヒーローと仰ぎ、小遣いを貯めてSuper 8(8mmカメラ)を買い、数多くの短編映画を撮影した。大学では映画を専攻し、卒業後はTVのニュース番組でアシスタントを務める。また、19歳の時にはプロの機材を使用して初の短編映画『Le temps des soupirs』を監督。その後15年に渡ってあらゆるジャンル、スタイルのTV番組の脚本を執筆、その活動を経て監督という彼の最も敬愛する職業に就いた。2005年に8分の短編映画『Livraison à domicile』を撮り、2009年には、ある夫婦を辛辣に描いたコメディドラマ「Préliminaires」(フランス2放送)の演出・脚本を手掛けた。フランスの人気TVシリーズ「女警部ジュリー・レスコー」や「CSI:科学捜査班」のフランス版と称される「R.I.S.警察科学捜査」等の刑事ドラマの演出や脚本にも定評がある。『ママはレスリング・クイーン』が第一作目の長編監督作である。

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