OKStars インタビュー

Vol.394 フリークライマー

デビッド・ラマ

OKStars Vol.394はフリークライマーのデビッド・ラマさんが登場!セロトーレ登攀への挑戦を追ったドキュメンタリー映画『クライマー パタゴニアの彼方へ』についてのインタビューをお送りします!

セロトーレを登ろうと思ったきっかけと、あなたにとってセロトーレはどんな存在だったでしょうか。

セロトーレは世界の山の中でも登るのが最も難しくて、そして美しい山として登山家に知られています。セロトーレの姿は映像を見ていただくだけでも、いかにユニークかがわかると思います。映画の中でも語られていますが、チェザーレ・マエストリという登山家がボルトを岩壁に打ち込んで登山した“コンプレッサー”ルートという登頂ルートができて以降、ジム・ブリッドウェルをはじめとする登山家が登頂するようになりました。僕の場合はフリークライミングで登頂することが目標でした。不可能だと言われましたが、そう言われることにワクワクしていました。登山家は山を見た時に、どんなラインでどう登るかがビジョンとして見えるんです。僕もまた、自分が描いたラインの美しさを見てしまいました。初めて登るということは、初めての問いに自分で答えを見つけていかなければならないということです。初めてでなければある程度答えも見えているし、誰かが登っていれば難しくても可能です。誰も登っていないからこそ不可能だと言われてもチャレンジできました。そして、自分にしか見えていなかった登頂ルートが、いったん成功してしまえば、皆さんに「僕が描いたのはこのラインなんです」と見せることができるのが大きなモチベーションとなりました。

3回に渡る挑戦となりましたが、1回目から3回目の挑戦に至るまで、気持ちの中で変化したことは何でしょう。

同じ山とこれだけ長く付き合っていると関係が築かれるんです。とくにセロトーレのようになかなか登らせてくれない山は、天候も含めて今日は機嫌がいいとか悪いとか言えるような関係になります。そして自分自身もこの山を登るために成長しなくてはなりませんでした。1回目から3回目の登頂が終わりに向かうにあたって、セロトーレへの理解も深まりましたし、自信も深まりました。正直な話、映像にも出てきますが、3回目の登頂の時に滑落した瞬間だけは「大丈夫かな?」と不安になりましたが、途中でペーター・オルトナーとビバークしている時には、彼と話していても、絶対に行けるという気持ちになっていました。

ではどのような準備をしてセロトーレに挑みましたか。

3年間にわたって登頂を目指してきましたが、実際に登頂をできたのは準備が良かったからではないんです。むしろ自分のバックグラウンドだと思っています。自分のように競技クライミングのワールドカップ(リード&ボルダリング)で優勝をして、その経験をもってセロトーレのような山に挑戦する登山家は他にはあまりいないんです。競技クライミングで学んだことは、登るための最後のピースだったと思います。1年目にパタゴニアに赴いた時には、僕は山に挑むために必要なことを学ばなければなりませんでした。その時は競技クライミングのメンタリティでしたので、アルピニストとしてのメンタリティを身につけなければなりませんでしたが、最後にはその競技クライミングでの経験を活かすことができたと思います。

この挑戦を現場で撮られている時の気持ちと、実際に登頂を達成した映像を見て、どう感じましたか。

撮られることについてですが、トーマス・ディルンホーファー監督らのチームと最高の経験ができました。彼らとは強い友情で結ばれていて、とくにトーマスとはこのプロジェクトとは関係のない時も一緒に山に行くこともあるので、撮られていることについては気になりませんでした。2回目の時にペーターと僕とで登頂していた夜、背中越しに星と月が見えたのが記憶に残っていて、それを映像としても残すことができたのがよかったです。映画の編集にも関わることができて、監督に自分の意見も取り入れてもらえたので、僕自身は100%満足しています。

OKWaveユーザーにメッセージをお願いします。

自分が持っている理想やビジョンに常に自分が忠実であることがすごく重要なんだと思います。ラインを自分で想像し描くということは、自分自身の理想や個性を描いていると言えます。普段の生活の中でも同じだと思うので、自分が描いたビジョンからブレずにやろうということをこの映画から感じてもらえれば嬉しいです。山になんて行ったことがないという方にもぜひ観てほしいです。

デビッド・ラマさんからOKWaveユーザーに質問!

この映画は『クライマー パタゴニアの彼方へ』という邦題がついていますが、
映画の中でジム・ブリッドウェルさんが「セロトーレをフリークライミングするなんて
灼熱地獄の中の雪の玉くらいの可能性しかないだろう」と言っていたところから
原題は「Cerro Torre - a snowball's chance in hell」としました。
皆さんに質問ですが、タイトルは本当はどっちがいいと思いますか?

Information

『クライマー パタゴニアの彼方へ』
2014年8月30日(土)新宿ピカデリー他全国ロードショー

アルゼンチンとチリの両国に跨る、南米パタゴニア。その氷冠の間にそびえ立つ、3,102mの花こう岩の鋭鋒“セロトーレ”。この難攻不落の山に、クライミングワールドカップ総合優勝を果たしたデビッド・ラマが“フリークライミング”による前人未到の登頂に挑む。しかし、2009年11月の1度目の挑戦では、移ろい易い天候に左右され、下山を余儀なくされる。
2011年1月、2度目の挑戦で度重なる困難を乗り越え、登頂に成功。しかし、先人たちが残したボルト等を使用したことにより、フリークライミングと認められず、周囲から失敗の烙印を押されてしまう。
そして2012年1月に3度目の挑戦。1つのミスも許されない状況の中、自らの限界に挑むデビッドの登頂の行方は?

監督:トーマス・ディルンホーファー
出演:デビッド・ラマ、ペーター・オルトナー、トーニ・ポーンホルツァー、ジム・ブリッドウェル
配給:シンカ

公式サイト:http://climber-movie.jp/

©2013 Red Bull Media House GmbH

Profile

デビッド・ラマ
1990年、オーストリアのインスブルック出身のナースとネパール出身のシェルパの間に生まれる。
僅か5歳の時に、エベレスト無酸素初登頂を達成したペーター・ハーベラーにより、その類まれな才能を見出された、世界トップクラスのクライマーである。
幼い頃から既にデビッドが他の子供達と一線を画していたのは、岩を登る時に見せる、その直感だった。彼は2005年にユースの大会でワールドチャンピオンになると、シニアのワールドカップへの出場を特別に許される。
環境は変わったものの、彼の成功は揺るがなかった。1年目のシーズンで何度も勝利を飾り、その年の2つ目のコンペティションでは史上最年少で世界王者の栄冠を手にする。加えてヨーロッパのチャンピオンシップで2つのタイトルを獲得する。
彼はその類まれなフリークライミングの技術と身体能力、そして強靭な精神力のおかげで、短期間でアルピニズムの高みに到達することができたのである。


取材場所:B-PUMP TOKYO 秋葉原店

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