OKStars インタビュー

Vol.407 鼓童

草洋介、漆久保晃佑

OKStars Vol.407は鼓童の草洋介さん、漆久保晃佑さんへのインタビューをお送りします!

2013年から各地で公演してきた「鼓童ワン・アース・ツアー2014~神秘」についての手応えはいかがでしょうか。

草洋介: 2013年11月から全国を廻り始めて、おかげさまで全国各地でご好評いただいています。私はプレイヤーになって6年目ですが、終演後のカーテンコールでアンコールをたくさんいただくのが初めての経験で、驚いてもいますし、嬉しくも思っています。

漆久保晃佑: 私は正式メンバーになって1年目なのでまだ舞台経験が少ないですが、行く先々でお客様の反応が違っていて、演奏していても面白いし、いつも新鮮な気持ちでやっています。

11月からは「鼓童ワン・アース・ツアー2014 ~永遠」が始まりますが、見どころなどお聞かせください。

草洋介: 「鼓童ワン・アース・ツアー2014 ~永遠」は全曲が新曲で構成されているのが魅力のひとつだと思います。「永遠」という不確かなテーマに対して僕個人では、印象派の絵画のような印象を持っています。例えばモネの「印象・日の出」は季節がいつなのか絵からは判断がつかないから見る人が想像する余地があるように、「鼓童ワン・アース・ツアー2014 ~永遠」はお客様がイメージすることで、いろいろな見方ができるような舞台になっていくんじゃないかと思っています。

漆久保晃佑: 私も見どころは新しいところだと感じています。鼓童の今までの舞台は日本の各地に伝わる伝統芸能を基にした演目が必ず含まれていましたが、今回は伝統芸能をモチーフにした楽曲がなく、全て一から生み出しています。メンバーが「永遠」という言葉から想像して作った曲や、芸術監督の坂東玉三郎さんご自身で作曲された作品もあります。

鼓童ワン・アース・ツアーでは人間国宝・坂東玉三郎さんが芸術監督を務めていますが、稽古の様子などについてお聞かせください。

草洋介: 坂東玉三郎さんが芸術監督に就任されたのは2012年ですが、それ以前も10年以上、鼓童とはつながりがありました。自分が入った時には玉三郎さんはすでにいらっしゃいましたが、やはり人間国宝というお立場もあって、自分たちの方で壁を作ってしまいそうになりがちでしたが、玉三郎さんの方からそういう壁を取り払われて、とても気さくで人間味を感じさせていただく中で稽古をしていますので、笑いも絶えない雰囲気です。稽古を通して思うのは、音や美に対する感覚の素晴らしさです。自分たちだけで練習している時には思いもよらないところへの指摘があったり、思いがけないアイディアが出てきたり、そういう意味では刺激的でもありますね。

何か代表的な例はありますか?

草洋介: 私達は舞台上で音を減らす時は、盛り上がってから音を小さくするような、いつも定番の表現をしていました。それを玉三郎さんは、バチを変えることで音を減らしていくとか、人が立つタイミングで音が変わるといった全く違うタイミングで音の変化をつける演出をされて、実際に演奏してみても、納得がいって、やはりすごいなと感じます。

漆久保晃佑: 演目を稽古している時に、「そこはもっと弱くしよう」と言われると、私達は舞台が盛り上がらないのではと、命綱を離すような怖さを感じるんです。でも実際にやってみると、そういうやり方があるんだと気づかされるので、玉三郎さんの感性には驚かされます。いつも「激しく打ったり、躍動感があるだけではなく、そこにひと手間加えた深みのある太鼓をこれからの鼓童は目指していかなければならない」と仰います。僕らがそこを怖がらずにもっとチャレンジしていくことで、より深みのある内容になっていくのかなと感じています。

演奏活動に際して、大切にしていることは何でしょうか?

草洋介: 今まではリズムをはずさないとか音をしっかり出す、といった技術的なことに気をつけていました。最近はイメージを大切にするようになりました。私も晃佑も笛を吹くのですが、太鼓と音色も違いますし、太鼓の大音量の中で吹かなければならないので、どうしても肩に力が入るんです。玉三郎さんからは空間を包み込むように演奏しなさい、と言われました。そういうイメージをしっかり音に出すようにと考え方を変えたら、音に対するイメージが湧くようになりましたし、緊張もしなくなりました。

漆久保晃佑: 私はツアーの行く先々で気持ちを変えない、ということを意識しています。この会場はお客さんが多いからとか、今日は天候が悪いからといったものを全部フラットにして、「観に来たい」という気持ちでいらっしゃるお客様に対して、こちらの気持ちも環境等に左右されずにいつも一定にしようとしています。

何かきっかけがありましたか?

漆久保晃佑: 公演日に台風が近づいている時があって、天候の影響もありリハーサル中には身体が重いなと感じたりしていました。本番はもちろん気持ちを切り替えて臨みましたが、それでも公演後にはお客様に失礼なことをしてしまったのではないかという気持ちになり、お客様の熱量と自分の熱量に差があったのでは、と気づかされたのがきっかけです。やはり心持ちひとつで、笛の音色や太鼓の音だけではなく、立ち姿から変わってしまうので、なるべく一定にしようと意識しています。

ご自身が太鼓をはじめ、そして鼓童に加わるきっかけは何だったのでしょうか?

草洋介: 私は子どもの頃からスポーツをいろいろやってきたのですが、人と競うのは向いていないと感じて、美術学科のある高校に進みました。高校では日本画を学んで、大学では陶芸の道に進んだのですが、ずっと製作をしていると、今度は身体を動かしたい欲求が出てきてしまったんですね。そういうジレンマがある中で大学の入学式にたまたま和太鼓サークルの演奏を見たら、身体活動と表現活動の両方を備えていると感じたのが自分にとってとても大きなことで、それがきっかけで和太鼓を始めました。和太鼓を始めてから日本各地の民俗芸能に興味をもつようになり、鼓童の演奏に出会いました。そして、「アマテラス」という公演を観た時に、日本的な美しさを感じて、そこから本格的に鼓童に入りたいと思うようになりました。

漆久保晃佑: 進学するつもりだった高校に偶然和太鼓部があり、入学説明会の時にその演奏を見て胸を打たれて、僕もこの中に加わって演奏したいという気持ちになりました。それで和太鼓部に入った後、先輩に誘われて鼓童を観る機会があり、その時にも太鼓を始めようと思った時と同様に、このメンバーの方々と一緒に演奏したいと思って、鼓童に入ることを目指しました。

ちなみにご出身は?

漆久保晃佑: 私は埼玉県です。

草洋介: 私は神戸出身です。メンバーは北海道から九州まで、全国各地の出身者がいますし、それぞれ様々な経験をした方が集まっていますね。

和太鼓の魅力は何だと思いますか。

草洋介: 体調や心理状態、天気、会場によっても太鼓の音は変わるんです。そういう人智の及ばないところも魅力のひとつですね。どれだけ同じ音を出せるように練習しても、リハーサルと本番で出す音が違うこともあるので、一期一会の公演を毎回行う感覚です。そこは陶芸とも似ていると思います。窯に入れた後は自分でどうすることもできないところは似ていると思います。

漆久保晃佑: 鼓童のメンバーを見ていても思いますが、太鼓はメロディがあるわけではないし、本当に天候ひとつで音が変わるデリケートな楽器なので、音が少ない中で楽曲のテーマをどう表現するかがすごく難しいし、そこが魅力だと思います。面を叩くドンという音とフチを叩くカッという音しかない組み合わせの中で、いかにリズムや打ち方、質感を変えて曲にしていくかというのがすごく面白い楽器だと思います。

おふたりは曲を作ったりはされるのですか?

草洋介: 私は作らないです。

漆久保晃佑: 私は笛や太鼓で少し作っています。日本の楽器やアジアの楽器を交えて、いろんなことを表現したいと思っています。鼓童の中には楽曲を作るのが得意なメンバーも入れば、洋介さんのように、その楽曲の作曲者の注文を忠実にさらに上をこなしていくのが得意な人もいますね。

今後ご自身が目指していくところについて教えてください。

草洋介: いつかは大太鼓を打てる打ち手になりたいと思っています。やはり大太鼓は技術だけではなく、みんなからの信頼も必要なので、そういうプレイヤーになりたいと思っています。もうひとつは、会話をするように仲間と太鼓が打てるようになりたいです。今はまだ太鼓と向き合う感覚ですが、息をする感覚や食事をするような自然な感覚で向き合えるようになるのが目標です。

漆久保晃佑: 私は温故知新と心情描写のふたつをテーマにしています。和太鼓は歴史のある楽器ですので、今回のように「永遠」という新しいものに取り組んでいても、その新しい取り組みも過去の歴史に上乗せされたものであれば尚いいなと思っています。鼓童が和太鼓を演奏してきた歴史を学ぶことで、その音を出した上で新作に取り組んでいこう、と考えています。もうひとつの心情描写は、僕が和太鼓を始めた時から、和太鼓にはどことなく懐かしい感覚があって、そういう心地よさに触れた感覚を表現していきたいと思っています。

今伝えたい、ちょっとした「感謝の気持ち」にまつわるエピソードをお聞かせください。

草洋介: 感謝の気持ちは普段から大事にしています。ある方からありがとうの反対はあたりまえだと教わりました。普段生活をしていると見過ごしがちな、太鼓が打てる環境や一緒に打てる仲間がいることへのありがたみは忘れがちですけれど、そこへの感謝の気持ちをいつも持とうと思っています。それとエピソードとしては、普段はお客様と話をする機会があると「ありがとうございます。頑張ってください」と言われることが多いですけど、東北の震災があった夏に現地で公演した時にはお客様から「ありがとうございます。頑張ります」と言われたのが印象的でした。そのように思ってもらえたことが自分にとって感動的な出来事で、太鼓を打つ意味、自分が生きる意味があったなとも思いました。

漆久保晃佑: 最近の話ですが、台風の時に観に来てくださったお客様のことがとくに忘れられないです。お客様ひとりひとりの気持ちを想像していたら、私達は本当に温かく見守られたグループなんだと思いました。

OKWaveユーザーにメッセージをお願いします。

草洋介: 「鼓童ワン・アース・ツアー2014 ~永遠」は自然の営みを題材に舞台が進行していきます。玉三郎さんの感性と、自分たちが拠点としている佐渡の自然から受けている感覚が舞台に反映されているので、鼓童にしかできない舞台だと思います。とくに都会に住まれて自然を感じる機会が少ない方はこの舞台を観ていただいて日本の自然の良さを感じていただけたらと思います。

漆久保晃佑: 私達にとっても初の試みの100%新曲というのを観て楽しんで、その気持ちがずっと続けばいいのにと思う永遠もあると思いますし、お客様それぞれの永遠を感じていただけたらと思います。

OKWaveユーザーに質問!

草洋介: 最近は本を電子書籍で読んだりECで買い物をしたり、ライヴ映像を動画サイトで観たりと便利な世の中になりましたが、皆さんが生活の中であえてアナログにしたいことはありますか?

漆久保晃佑: 和太鼓の魅力など演奏者側の話をさせていただきましたが、皆さんは鼓童の魅力はどんなところにあると思いますか。

Information

坂東玉三郎芸術監督第3回演出作品 「鼓童ワン・アース・ツアー ~永遠」

鼓童ワン・アース・ツアー ~永遠 2014年11月20日(木)【新潟】アミューズメント佐渡
2014年11月30日(日)【新潟】シティホールプラザ「アオーレ長岡」
~ハートビート・プロジェクト特別バージョン~
2014年12月2日(火)【神奈川】ミューザ川崎シンフォニーホール
2014年12月4日(木)【愛知】愛知県芸術劇場コンサートホール
2014年12月6日(土)~7日【大阪】NHK 大阪ホール
2014年12月10日(水)【岡山】岡山市民会館
2014年12月12日(金)【広島】上野学園ホール
2014年12月15日(月)~16日(火)【福岡】博多座
2014年12月19日(金)~23日(火・祝)【東京】文京シビックホール
2014年12月25日(木)【新潟】新潟県民会館

公演情報: http://www.kodo.or.jp/news/index_ja.html


Profile

鼓童

鼓童
太鼓を中心とした伝統的な音楽芸能に無限の可能性を見いだし、現代への再創造を試みる集団。1981年、ベルリン芸術祭でデビュー。以来、公演は5,500回以上を数え、特に中心的な「ワン・アース・ツアー」は、多様な文化や生き方が響き合う「ひとつの地球」をテーマに世界各地をめぐり、これまでに46ヶ国で3,700回を越える公演を行っている。こうした劇場公演のほか、小中高校生との交流を目的とした「交流学校公演」や、ワールドミュージック、クラシック、ジャズ、ロック、ダンスなど異なるジャンルの優れたアーティストとの共演、世界の主要な国際芸術祭、映画音楽への参加など、多彩な活動を行なっている。

草洋介
1983年5月13日生まれ、兵庫県出身。
学生時代は大学の太鼓サークルで活動。2007年研修所入所、2010年よりメンバーとして活動。舞台では主に太鼓、笛を担当。「打男 DADAN」メンバーとしても活躍し、また交流学校公演や海外でのアーティストとの共演など、様々な分野で経験を積み重ねる。太鼓を通し日々肉体を鍛え上げ、「三宅」「屋台囃子」などの力強い演目を得意とする。

漆久保晃佑
1992年9月3日生まれ、埼玉県出身。
高校時代より和太鼓をはじめ、鼓童メンバーを目指し2011年研修所へ入所。準メンバーながら2013年「アマテラス」のツクヨミ役に抜擢。2014年より正式メンバー。舞台では主に太鼓、笛を担当する。

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