話題の映画などの作品にまつわる、俳優・女優、映画監督、アーティストらへのインタビューと、彼らからの「質問」に「回答」できるOKWAVEの特別企画です。

Vol.439 アニメ監督 梅津泰臣

OKStars Vol.439は映画『カイト/KITE』(2015年4月11日公開)の原作アニメ『A KITE』を手がけたアニメ監督・梅津泰臣さんへのインタビューをお送りします!

Qオリジナルアニメ『A KITE』を監督された当初、このような海外での実写映画化のような展開は予想されていましたか。

photo01-1A梅津泰臣『A KITE』はR-18の作品だったので夢にも思っていなかったです。しかもオファーは数社から来たのでびっくりしました。製作をしたディスタント・ホライズン社のリチャード・ジェフリーというプロデューサーが日本での買い付けを担当していて、当時、映画雑誌などでも取り上げられていて知っていたので、実際に会ってみたところからのスタートでした。ディスタント・ホライズン社長のアナント・シンプロデューサーとは昨年に南アフリカ・フリーダムディ・レセプションで来日された時に会いました。

Qオファーから13年とのことでしたが、その間はどんな気持ちでしたか。

A梅津泰臣長かったので、頓挫するのかなと思ったこともあります。それでもリチャードやアメリカにいるブライアン・コックスらプロデューサーが辛抱強く推進してくれたので、それを信じてひたすら待ちました。脚本も二転三転して、監督も何人か候補が上がったり消えたりしました。当初はロブ・コーエンが中心になってプロデュースと監督を兼ねて準備していましたが、最終的に彼が下りてから、話が一気に進み始めました。監督をすることになったデヴィッド・R・エリスはアニメ版への理解が深くて、それまでの脚本はアニメからかなり離れていましたがそれをアニメに寄せるように要請してくれました。ところが実際に撮影に入る1週間前に亡くなってしまったので、本当にショックでした。そのニュースを聞いた時は企画自体が無くなってしまうのかなとも思いました。ブライアンが監督を変えて撮影に入ると言ってくれたので本当に彼らには感謝しています。

Q内容に関してはタッチできたのでしょうか。

A梅津泰臣基本的には、任せてくれ、とのことでした。ただ、上がってきた脚本は必ず目を通させてもらって意見も述べました。キャスティングも当初は任せてほしいという意向でしたが、意見を求められた時にはこちらからも打診をしました。
『カイト/KITE』が完成した時にはどのようにご覧になりましたか。
まずは嬉しかったですね。実は完成したものを観たのは結構遅かったのです。リチャードがなかなか観せてくれなくて年末にようやく観せてもらったくらいだったので(笑)。

Qインディア・アイズリー、サミュエル・L・ジャクソン、カラン・マッコーリフのサワ、アカイ、オブリはいかがでしたか。

photo02-1A梅津泰臣良いチョイスだと思いました。主役のインディアのサワはかわいらしいので気に入っています。サミュエル・L・ジャクソンのアカイはアニメとはまた違った表現で良かったですし、オブリも似合っていました。
僕も出演したかったです(笑)。すぐ死んでしまう役でいいなら、治安はかなり悪いけど撮影地の南アフリカに来たら?と言われました。当初は日本で撮影する、という話もありました。

Q『カイト/KITE』実写版の世界観などはいかがでしたか。

photo03-1A梅津泰臣とても気に入っています。アニメ版とはまた違う南アフリカのヨハネスブルグのロケーションがとてもいい効果を生んでいると思います。撮影の様子を後で聞いたら、撮影条件は劣悪で、みんな一度は身体を壊したと言っていました。そういうところもあって混沌としたイメージもありますけど、とても映像的にきれいな作品にもなっていると思います。そこはラルフ・ジマン監督の手腕だと思います。

Q>アクションの派手さよりも、緊張感やサスペンスタッチの、抑えた作りでしたね。

A梅津泰臣その点は映画化の初期打ち合わせでアニメと同じようにはいかないと言われていました。ですので、アニメ版のテーマや核の部分、キャラクターの雰囲気が踏襲されていればいいと思っていました。アニメ版はサワとアカイの歪で濃密な関係がポイントですが、実写版は設定変更されているので、サワの少女的エロティシズムがアカイに影響していませんが、アカイはより人間的と言うか苦悩している様が良くて実写版ならではのところですね。それと、サワの日常をもっと見てみたかったですね。ずっと張り詰めた展開なので難しかったかもしれませんが、インディアの笑顔も見てみたかった(笑)。

Qオリジナルアニメの『A KITE』という作品は監督にとってどのような位置づけでしょうか。

A梅津泰臣年月が経っているので今では客観的に捉えています。昔の作品なので、当時の思いも忘却の彼方から呼び戻す感覚です。実写版を観せてもらった時は当時の自分の感覚を思い出しながら観ていました。

Q『カイト/KITE』を観たことで、逆に何か気づいたことなどあるでしょうか。

photo04A梅津泰臣感心したのは“カイト”というタイトルの持つ意味性を実写版ではより明確にしていたところです。アニメ版の時にはタイトルの意味をよく聞かれたので、その部分を掘り下げて表現していたのも良かったです。それとサワの銃の色がアニメでは赤でしたが実写版では黒に変更しているのは、リアリティを考えれば目立つからだとは思いますが、スタッフに理由を聞いてみたいです。小物ひとつで世界観が決まるところがありますからね。実写版の銃や人身売買組織の描き方など整合性がとれている部分は良かったです。

Q梅津泰臣さんのちょっとした「感謝」にまつわるエピソードをお聞かせください。

A梅津泰臣先日、個人イベントを開催しましたが、集まってくれたファンの皆さんに改めて感謝の気持ちを強く抱きました。僕たち作り手は一方通行ではいけないし、多くの人たちに支えられていることを常に忘れずにいたいです。アニメ制作はとかく孤独な作業だしスタッフ間とのやり取りだけで作品がスタートし終わってしまいます。だから直接、お客さんやファンの皆さんの声が届くことはめったにない環境のため、イベント等で触れ合うと何を面白がりどこに不満でどんな楽しみ方をしてるのかストレートに感じることができて嬉しくなってしまいます。僕が歩んできたアニメの歴史はファンの歴史でもあるのだと思います。

それと飼い猫のシポグに感謝しますね(笑)。頭のいい猫で、僕と気持ちがシンクロしているので癒やされてます。

梅津泰臣さんからOKWaveユーザーにメッセージをお願いします。

A梅津泰臣『カイト/KITE』は非常に刺激的で、アニメとはまた違った風味の面白い作品なので、ぜひ劇場でご覧になってください。アニメの『A KITE』でファンになっていただいた方も失望しない出来だと思います。

Q梅津泰臣さんからOKWaveユーザーに質問!

梅津泰臣皆さんはオリジナルのTVアニメ、劇場版アニメを観ますか?最近は原作モノが多いので、知らない作品を観る動機があるのか知りたいです。

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Information

『カイト/KITE』
2015年4月11日(土)全国ロードショー

info-1『カイト/KITE』日本で生まれたR-18指定のアニメ作品が、ハリウッドの映画人たちを虜にした!
そのアニメの名は「A KITE」。1998年に梅津泰臣が手掛けたこのアニメは、性と暴力の過激な描写に加え、独創的なアクションをスタイリッシュな映像で描き、日本国内に留まらずハリウッドをも席巻!あのクエンティン・タランティーノ、ロブ・コーエン(『トリプルX』『ワイルド・スピード』)、デヴィッド・R・エリス(『スネーク・フライト』『ファイナル・デッドサーキット 3D』)を熱狂させ、世界中の映画監督・クリエイターたちの心を鷲掴みにした。そしてこの伝説的カルトアニメが、遂に実写映画化!

金融危機により崩壊した近未来。そこでは少女たちが人身売買組織に性の奴隷として売りさばかれていた。その中のひとりで、幼くして組織に両親を殺されたサワは、父の親友であり相棒だった刑事アカイに、暗殺者として育てられる。彼女の目的は、両親の仇である人身売買組織への復讐。娼婦に成りすまし、一人、また一人と男たちを暗殺していくサワと、犯行現場の証拠隠滅を繰り返すアカイ。そして、サワの言動を影から監視する謎の少年オブリ。精神バランスを保つための薬“アンプ”の副作用で記憶が消えかかりながらも、サワは真の標的である組織のボス、エミールへと近づいていく。しかし、心も体も傷だらけになった彼女を待ち受けていたのは、予想を裏切る残酷な真実だった…。

出演:インディア・アイズリー、サミュエル・L・ジャクソン、カラン・マッコーリフ
監督:ラルフ・ジマン
原作:梅津泰臣「A KITE」
提供:カルチュア・パブリッシャーズ
配給:アスミック・エース

KITE.asmik-ace.co.jp

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Profile
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梅津泰臣

1960年12月19日生まれ。福島県出身。
アニメーターを志して上京し、千代田工科芸術専門学校を卒業後、土田プロダクションを経て、フリーランスでの活動を開始。「SF新世紀レンズマン」(84)の担当シーンが業界内で注目を浴び、「機動戦士Zガンダム」(85)のオープニングアニメーションや、初めてキャラクターデザインを担当した「メガゾーン23/PartⅡ秘密く・だ・さ・い」(86)により、アニメファンにも名を知られる人気アニメーターに。翌87年、オムニバスOVA「ロボットカーニバル」内の「プレゼンス」で監督デビューを果たす。その後、自ら企画を立ち上げるようになり、原作・脚本・監督も担当。98年には企画から関わったアダルトアニメ「A KITE」が国内だけでなく、ハリウッドでも多大な支持を得る。その後、「MEZZO FORTE」(00)、TVシリーズ「MEZZO -メゾ-」(04)、「KITE LIBERATOR」(08)を発表。その後もフジテレビの深夜アニメ・ノイタミナ枠でOAされた「ガリレイドンナ」(13)、TOKYO MX「ウィザード・バリスターズ 弁魔士セシル」(14)を続けて発表した。

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