OKWAVE Starsは、ここでしか読めない、俳優・女優、映画監督、アーティストへのインタビューと、彼らからの「質問」に「回答」できるOKWAVEの特別企画です。

OKStars Vol.448 俳優 北村有起哉

OKStars Vol.448はこまつ座公演『戯作者銘々伝』に主演の北村有起哉さんへのインタビューをお送りします。

Q 本作『戯作者銘々伝』についてですが、素材となった井上ひさしさんの作品について感じたことをお聞かせください。

A北村有起哉『戯作者銘々伝』については今回初めて接することになりましたが、井上ひさしさんの作品は今回を入れると6回目になるので、ご縁があるなと感じています。膨大な戯曲とさらにそれを超える随筆や小説もあって、全部を読み尽くしていたわけではないので、楽しみだと感じました。

Q 今回の東憲司さんの台本を読まれてどう感じましたか。

A北村有起哉台本を読む前に、井上ひさしさんの小説を読みました。相当いろんなことをお調べになって、それを予想外な角度で描写しているので、読み物としても面白かったし、戯曲を書く合間にこんな小説も書かれていたんだと驚きました。それで今回の東さんの台本についてですが、執筆は簡単な作業ではないだろうなとは思っていました。読んでみると面白さが凝縮されていましたし、これを自分はどう舞台化していくのだろうと、プレッシャーも感じましたし、ドキドキするような感覚もありました。僕ひとりで舞台をやるわけではないし、最終的には東さんにジャッジしてもらいますが、初日をどんな風に迎えるのか予測できなかったです。

Q 演じられる山東京伝は実在の人物でもありますが、人物像をどのように受け止められましたか。

A北村有起哉作者によって同じ人物でも極端に言えば悪人にも善人にもなりますよね。ですので、今回描かれた京伝の人物像に寄り添おうと思いました。僕は京伝は飄々とした性格なのかなと感じました。後は、蔦屋重三郎さんなどの他のキャラクターや、7人のキャストのアンサンブルとしてのバランスなどもあります。僕は普段はあまり参考文献などで掘り下げることはしないのですが、そういう文献に例えば京伝は物静かな男だったと書かれていて、他の役者がそういう風に演じていたとしても、頑なにそれを守ろうとは思わないし、いい意味で無責任に、突き抜けた芝居をすればいいと思っています。

Q 実際に演じるポイントとしているところは何でしょう。

A北村有起哉まず作家として筆が全てだったという一面を出すことが京伝を表現者するには大事だと思います。それと同時に、意外と商いの才能もあって、要領もいいんだなと。そこが面白いと思います。アーティストというと、極端な例ではゴッホのようなイメージがありますが、京伝は罰せられたあとも、とりあえず何とかして生きていかなければと商売をはじめる。実際、その方がリアルなんじゃないかと思います。お腹が空いたら何か食べたくなるように、1回捕まったらもう捕まりたくはない、と思うだろうし、しばらくは大人しくしておこうかなとか、そういう柔軟な、それでいて竹のようにしなやかで絶対にポキっと折れないような強さを感じますね。

Q 共演の方々との芝居について感じるところはいかがでしょうか。

A北村有起哉どこをとっても、誰を挙げても、それぞれの個性が放たれています。全員が舞台上に揃うとかなり賑やかなので、こんなに楽しくていいのかなと思えたり、ほっとできるところもあります。舞台では、ある程度は押しも強くなければいけないし、とはいえ引くことも大事だし、そういう駆け引きやチームワークが大事です。今回のチームワークに関しては申し分ないですね。遠慮し合っていると、蕁麻疹が出てくるようなムズムズした感じになりますが(笑)、みんなが意見を言い合っている方が空気も淀まないし、今回はそれができていますね。

Q 東さんの演出についても同様でしょうか。

A北村有起哉舞台は稽古の期間という試行錯誤する時間を持つことができる贅沢な場なので、役者同士が「僕はこう思っている」ということを言うべきだと思っています。それで役者同士の意見が合わない時に間に入って交通整理するのが演出家の仕事だと思うので、東さんの仰ることに最終的にはついていきますけど、最初から演出家の話に合わせるというのは違うだろうし、演出家も役者の意見を求めているだろうと思います。

Q 『戯作者銘々伝』の見どころをお聞かせください。

A北村有起哉冥界にいる戯作者たちの幽霊が出てくる場面では奇妙な世界観になると思います。川開きの花火大会のシーンがあって、いまはどう見せるか試行錯誤しています。本物の花火を劇場で上げるわけにはいきませんが、演劇の良いところは、花火が上がっている様子を僕らの芝居と演出でお客さんに想像させるところです。お客さんの頭の中でどんな花火が思い浮かぶのかというところも、この戯曲の魅力のひとつですね。

Q この作品の時代背景について思うところはありますか。

A北村有起哉この作品は寛政の改革の時代ですが、日本史の授業でも寛政の改革の松平定信さんと、田沼意次さんはよく比較されますよね。僕なんかは田沼さんの時代のほうが面白かったんだろうなと思いますし、今の時代はゾクッとするくらい言論の自由についてピリピリしている部分もあります。この作品はあくまでも寛政の改革の時代を扱っていますが、ドキッとするくらいすごく現代と重なるところがあります。いろいろな方々が警鐘を鳴らしていますが、今後、時代が遡って本当に寛政の改革の頃のようになってしまうこともあるかもしれないなと、こういう作品に携わると強く感じます。それとともに責任も感じます。この作品をただ演じるだけではなく、作品の時代背景や、なぜ今この作品を演じるのかを、ちゃんと抑えておかないといけないし、自覚もしないといけないと思います。僕らは政治活動家ではありませんので、作品を通していろんなメッセージが伝わればいいと思います。

Q 北村有起哉さんのちょっとした感謝の気持ちを感じたエピソードをお聞かせください。

A北村有起哉街を歩いていて、酒屋さんのトラックが道路に停まっていたんですね。それで酒屋さんが配達でトラックから離れている間に駐車禁止の係の方がチェックを始めたんです。配達中なのに駐禁とっちゃうの?と思ったので、ここからは妄想ですが、自分が「いま動かしますよ」と声をかけて、係の方が立ち去ったら、酒屋さんが戻ってくるまでさり気なく待っていることができたら格好良いだろうなと思いました。もし自分が車を停めた時にそうしてもらっていたとしたらすごく感謝ですよね。
実際にあった話では、コインパーキングで間違ってお隣りの方の料金を払ってしまった時に、たまたま戻って来られたその車の持ち主の方に事情を説明して、間違って払ってしまった料金を出してもらえた時はありがたかったです(笑)。

Q 北村有起哉さんからOKWaveユーザーにメッセージをお願いします。

A北村有起哉『戯作者銘々伝』では、江戸時代に笑いというものに命をかけて、筆を握って庶民のために言いにくいことを書いたり風刺をしていた戯作者たちがたくさん出てきます。その方々の、時にはしたたかな、時には強情な、あるいは軽妙洒脱な生き様は、彼らもまた物語の登場人物になれるんじゃないかと思えるくらいです。そんな戯作者の方々の生き様が描かれていますので、江戸時代もそんなに遠い昔ではないのかなと思っていただけたらと思います。「粋」とか「情」という言葉や、江戸の町民たちの人と人とのつながりが表現できればいいなと思います。

Q北村有起哉さんからOKWaveユーザーに質問!

北村有起哉口内炎がなかなか治らないのですが、ぜひ治し方を教えてください。

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■Information

こまつ座第109回公演・紀伊國屋書店提携
東憲司版『戯作者銘々伝』

黄表紙で絶大な人気を得た戯作者の山東京伝は、町人の力が大きくなることを恐れた松平定信の寛政の改革により処罰された。権力に屈し追い込まれた京伝は、烟草店を開く。そこで、若く純真な花火師の幸吉に出会い…。
江戸時代後期、黄表紙や洒落本が風俗を乱すと咎められ弾圧されながらも、「笑い」というものにすべてを賭けた戯作者たちの鬼気迫る生き方。
夜空にあがる一瞬の光に身を捧げる花火師と、書くことに魅せられ、コトバと心中した戯作者の数奇な運命とは。

井上ひさしの傑作小説「戯作者銘々伝」と「京伝店の烟草入れ」の2作品を素材に、第47回紀伊國屋演劇賞個人賞、第20回読売演劇大賞優秀演出家賞、第16回鶴屋南北戯曲賞を受賞した異才・劇団桟敷童子の東憲司が書き下ろした新作。
戯作者・山東京伝に北村有起哉を迎え、多彩多芸多様と三拍子揃ったキャストで、今一番新しい江戸が平成に甦る。

作・演出:東憲司(劇団桟敷童子)
音楽:宮川彬良
出演:北村有起哉 新妻聖子 玉置玲央 相島一之 阿南健治 山路和弘 西岡德馬

2015年5月24日(日)~6月14日(日)新宿南口・紀伊國屋サザンシアター

入場料:8,000円(全席指定・消費税込)
夜チケット:7,500円(全夜公演対象)
学生割引:5,500円(全席指定・消費税込)

こまつ座 03-3862-5941

公式サイト:http://www.komatsuza.co.jp/


■Profile

北村有起哉

北村有起哉1998年に舞台『春のめざめ』と映画『カンゾー先生』でデビュー。その後、舞台と映像の両面で活躍する。『ウィー・トーマス』『欲望という名の電車』といった翻訳劇から、『おはつ』『小林一茶』などの和もの、『LAST SHOW』『ザ・ダイバー』など人気作家の作品、劇団☆新感線『メタルマクベス』など、主役・脇役、ジャンル、キャラクター、劇場のキャパシティ、時代性などの境界線に一切とらわれない表現力でその振り幅の大きさを縦横無尽に体現している。さらに「トッカン 特別国税徴収官」「八重の桜」など、TVドラマでもその独特な存在感を表している。『CLEANSKINS/きれいな肌』で読売演劇大賞優秀男優賞ほかを受賞。井上作品は『小林一茶』『私はだれでしょう』『黙阿彌オペラ』等に出演のほか、2015年10月に紀伊國屋サザンシアターにて上演されるこまつ座『十一ぴきのネコ』は2度目の出演となる。

http://yukiyakitamura.blogspot.jp/

公開舞台稽古とこまつ座記者懇親会レポート!