OKWAVE Starsは、ここでしか読めない、俳優・女優、映画監督、アーティストへのインタビューと、彼らからの「質問」に「回答」できるOKWAVEの特別企画です。

OKStars Vol.452 演出家/映画監督 深作健太

OKStars Vol.452はフェルディナント・フォン・シーラッハの長編小説「禁忌」を原作とした上演台本を世界で初めて舞台化する『TABU タブー シーラッハ「禁忌」より』演出の深作健太さんへのインタビューをお送りします。

Q 『TABU タブー シーラッハ「禁忌」より』について、フェルディナント・フォン・シーラッハの原作「禁忌」の舞台化の経緯をお聞かせください。

A深作健太2年前から兵庫県立芸術文化センターのプロデュースで橋爪功さんと朗読劇を年1回やっています。その公演の際に橋爪さんのセレクトでシーラッハさんの短編を取り上げてきました。シーラッハさんが二作目の長編を書かれるということで、それを舞台化しようと、日本での出版前から企画は進行していました。そして、橋爪さんはもちろん、真田佑馬さん、大空祐飛さんらと舞台を作り上げていくことになりました。

Q シーラッハ作品に着目したプロジェクトがずっと続いていたのですね。

A深作健太ドイツのミステリ作品が日本に紹介されることも少ないですが、僕も読んでみてシーラッハさんの作品に惹かれるようになりました。原作翻訳の酒寄進一先生はドイツ語圏の作品をたくさん取り上げていますが、アガサ・クリスティのような英語圏の作品とは全然作りが違います。僕自身、ドイツが好きということもあります。互いに第2次世界大戦の敗戦国で、そこから国を立て直さなければならなかった歴史などドイツと日本には共通点も多くあります。そんなところからも、シーラッハさんの長編小説を上演したら面白いだろうなと思いました。

Q どのように舞台で表現していく考えでしょうか。

原作にはいろいろな色彩や記号が散りばめられていて、隠された意味や情報量がすごく多いんです。でも、仕掛けではなく、この作品のテーマの“罪とは何なのか”ということ、なぜ“タブー”というタイトルなのかという核心に挑戦できたらと考えています。シーラッハさんのお祖父さんがかつてナチス党員上層部だったということや、シーラッハさん自身は弁護士でもあるということからも、法曹界や司法の矛盾など、人間の内奥と向き合うことをずっとされてきた方だと思います。舞台でもシーラッハさんが構築した人間との向き合い方を演劇という形で大切に、人間の業や生きることは何なのか、ということを深く描いてゆけたらと思います。沢山の登場人物が出てきますが、実はみんな何らかのタブーを犯して、罪を背負った人たちです。善悪を決めつけるのではなく、ある意味、人は生きる上でみんななんらかの罪を犯しているわけですから、単なるミステリ作品としてだけではなく、真っ正面から問いかけを投げかけられたらと思います。

Q キャストの方々の印象はいかがでしょう。

A深作健太真田さんも大空さんも初めてご一緒しますが素敵な方たちです。真田さんが演じるゼバスティアンというアーティストが事件の被疑者として逮捕されるというのが発端になりますが、ミステリアスで難しく、いくらでも解釈を広げられる役です。いままさに真田さんがその人物像を掘り下げていく作業をしていますが、役に向かう姿勢がとても真摯だと思います。本当に難しく高い山だと思いますが、演出家として精一杯アシストをして“登頂”を成功させたいと思います。大空さんも今までにない役だと思います。すごく自然な微笑みに惹かれています。自分の恋人を信じて支えていく凛とした強い女性の役を、今までに見たことのない大空さんの演技で作っていただければと思います。橋爪さんのことは心底から信頼していますが、では自分にできることは何なのかと、大先輩を相手に自問自答しながらやっています。橋爪さんが鼎談の際に「この作品は楽しいんだよ」と答えられていて、僕自身気持ちがほぐされました。苦しいと思えば本当に困難なこともたくさんありますし、表現の仕事というものは演出家にとっても役者にとっても過酷だし、不安定です。でも、楽しんで進んでゆけばいいというシンプルな答えを橋爪さんは置いてくださったので、自分もしっかり楽しんで前に進まなければならないと思いました。

Q ふだん演出で心がけていることは?

A深作健太作品によって異なりますね。僕は作・演出というスタンスではなく、演出だけをやってきていますので、いろんな作品と出会うことで、それぞれの持っている宇宙の違いを感じるようにしています。海外の知らない作家の作品であったり、シェークスピアやチェーホフのようなもうこの世にはいない過去の先輩達の作品に触れられる喜び、あるいは日本の現代の作家たちとの仕事、その時々で違います。演出とは作品を通じていろんな世界、宇宙に旅をして、そこに生きる人間たちと出会い、掘り下げてゆく作業です。それは、自分と向き合う作業でもありますが、特に僕は自分で絵を描いたり執筆するような仕事と違って、いつもいろんな他人、俳優やスタッフと向き合って一緒に作品を作ってゆく稽古場での仕事が大好きなんです。稽古場も撮影現場も、とにかく現場が楽しくて仕方ありません。

Q 深作健太さんからOKWaveユーザーにメッセージをお願いします。

A深作健太僕自身、休みの日にも映画館や劇場についつい出かけてしまいます。自宅でも配信などで映画も舞台も観られる時代ですが、劇場に出かけて、いろいろな人たちと一緒に、同じ空間で同じ時間を体験することは素晴らしいことだと思います。そこで喜怒哀楽も学ぶこともあると思います。小津安二郎さんの映画であっても、ニューヨークで観ると現地の人たちはよく笑っていたりしますが、それが自分だけだったり、自分のコミュニティだけで観ていると、ものの見方がひとつに偏ってしまいます。表現に対して笑ったり泣いたりするのは実に豊かなことなんだと伝えてゆきたいです。出演している役者さんに興味があるとか、入口は何でもいいと思いますので、劇場に足を運んで限られた空間芸術、時間芸術を一緒に共有する体験をしていただけたらと思います。僕自身、日常から逃げ出したい時に劇場に行くと、悩んでいることから救われることが沢山ありますから。

Q深作健太さんからOKWaveユーザーに質問!

深作健太では『TABU』にちなんで、あなたにとっての“罪”って何ですか?

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■Information
TABU

『TABU タブー シーラッハ「禁忌」より』

ドイツ名家の御曹司で人並み外れた色彩に関する共感覚を持ち、写真家として大成功をおさめたゼバスティアンは、ある日、若い女性を誘拐したとして緊急逮捕される。捜査官に強要され、殺害を自供してしまったゼバスティアンを弁護する為、 敏腕弁護士ビーグラーが法廷に立つ。はたして、彼は有罪か無罪か。

原作:フェルディナント・フォン・シーラッハ
原作翻訳:酒寄進一
上演台本:木内宏昌
演出:深作健太
出演:真田佑馬 大空祐飛 宮本裕子 佐藤誓 池下重大 大沼百合子/橋爪功

2015年6月5日(金)~14日(日)東京・新国立劇場 小劇場
料金:7,800円(全席指定・税込)
O-60チケット:6,500円(チケットぴあにて前売り販売のみの取扱い・観劇時60歳以上対象・当日指定席券引換・要身分証明書)
U-25チケット:5,000円(チケットぴあにて前売り販売のみの取扱い・観劇時25歳以下対象・当日指定席券引換・要身分証明書)

http://www.parco-play.com/

<地方公演>
6月18日(木)名古屋・刈谷市総合文化センター 大ホール
6月24日(水)石川・石川県こまつ芸術劇場うらら 大ホール
6月26日(金)~28日(日)兵庫・兵庫県立芸術文化センター阪急 中ホール
6月30日(火)福岡・福岡市民会館
7月4日(土)札幌・道新ホール
7月6日(月)仙台・電力ホール

企画/兵庫県立芸術文化センター
共同制作/(株)パルコ 兵庫県立芸術文化センター
協力/東京創元社


■Profile

深作健太

深作健太1972年9月15日生まれ、東京都出身
演出家・映画監督。
大学を卒業後、助監督としてさまざまな作品の現場に参加する。2000年に実父・深作欣二監督による『バトル・ロワイアル』に脚本・プロデュースで参加。その続編『バトル・ロワイアル II~鎮魂歌(レクイエム)~』(03年)でクランクイン直後に逝去した深作欣二監督の後を継承して映画監督デビュー。以降、俳優からの厚い信頼に定評があり、幅広いフィールドで活躍している。
近年は、精力的に舞台の演出も手がけ、「罠」(10年)、「カレーライフ」(11年)、「里見八犬伝」「カワイクなくちゃいけないリユウ」(12年)、「渇いた太陽」、朗読劇「橋爪功 ちょっぴりコワイ話」 (13年)、「スワン」「里見八犬伝」「Be Here Now」、朗読劇「橋爪功 ちょっぴりゾッとする話」(14年)、「シアワセでなくちゃいけないリユウ」&「カワイクなくちゃいけないリユウ」(15年)などを演出している。

http://diprex.jp/kentafukasaku/