OKWAVE Starsは、ここでしか読めない、俳優・女優、映画監督、アーティストへのインタビューと、彼らからの「質問」に「回答」できるOKWAVEの特別企画です。

OKStars Vol.460 俳優/アーティスト 加藤和樹

OKStars Vol.460は白井晃さん演出の舞台『ペール・ギュント』に出演の加藤和樹さんへのインタビューをお送りします。

Q 『ペール・ギュント』という作品についてどんな印象を持たれたでしょうか。

A加藤和樹加藤和樹イプセンはもともと戯曲として書いたわけではなく、それがノルウェーで初めて上演されて、やがて世界的にも評価が高まって、日本でも蜷川幸雄さんが取り上げるようになったので、何か魅力があるんだろうなと思います。ペールという一人の男が世界を放浪して戻るべき場所に戻っていくという話ですが、読んだだけでは、結局ペールは何者だったんだろうという疑問が残りました。これを今回、白井晃さんが演出するということで、以前に『オセロ』という作品に出演した時にも感じましたが、きっと一筋縄ではいかないだろうなと思いました。

Q 白井さんから事前に言われたことはありますか。

A加藤和樹内面から役を作っていこう、ということを役者全員に伝えられています。上辺を取り繕うのではなく、セリフであっても自分の言葉として噛み砕いて、自分の内面に入れた言葉として発してほしい、と。台本に書かれていることを表現してしまいがちですが、表現するのではなく、あくまでもリアリティを持ってその場にいるということが求められています。舞台という空間と、そこに自分たち役者がいるのが当たり前、とお客さんに思わせないといけないのが難しい点です。

Q 今回、複数の役を演じられますが、個人的にはベルグリッフェンフェルトのパートがどうなるのか見ものです。

A加藤和樹端から見るとちょっとおかしな人ですし、彼の出てくるシーンは起きていること自体がおかしな世界なんですが、それが当たり前のように見えないといけないので難しい役です。当たり前のように演じて、ペール・ギュントを皇帝として迎えるという、そういう精神性の世界をどうするかです。ベルグリッフェンフェルトとしては普通にしているけれど、言っていることがおかしくないか、ということが徐々に見えてくればいいと思います。最初から狂人を演じるのではなくて、まず自分の中ではそれが当たり前という人物を作る、ということを稽古でやっています。

Q 稽古はどのように進められているのでしょう。

A加藤和樹本読みの前に、ひとまず台本をなぞって演じるプレ稽古をしました。振付の小野寺修二さんも入って、いろいろな動きや振りも試しています。その後、本稽古に入ってもう一度最初から、その時も立ち位置などもあまり決めずに自由にやってみて、気になるところを詰めたり、白井さんから提案があったり、そうやって、一巡、二巡、三巡とやっています。今回は舞台の仕掛けも多くて、役者が何かを動かして世界を変えたり、何かを表現するということが多いです。ただ、それで動きを決めてしまうと面白くなくなってしまうので、白井さんもあまり決めきらずに、アバウトにやってみてそこから発生してくるものを取り入れてみようと、いろいろ試しながらやっています。本番の舞台を使った舞台稽古でも変わっていくと思いますので、シーンの切り替えの動きなどは少しずつ見えてきていますが、初日まで完成形はまだ見えないですね。

Q 気をつけている部分はありますか。

A加藤和樹白井さんからも言われたように、演じようとしないところです。どうしても演じようとすると形になってしまうので、もちろんお芝居ではあるけれど、そこに当たり前の存在としていられるようにと心がけています。

Q 役柄を自分の中に入れるような感覚なのでしょうか。

A加藤和樹白井さんの演出の場合、役を自分自身に引っ張ってくる感覚ですね。役の方に自分を近づけてしまうと「なりきる」ような形になってしまうので、自分のものとして入れた上でその役を演じることが求められています。その手法を『オセロ』の時に初めてやって、とても難しかったですが、今回もその手法でやっています。

Q 複数の役柄を切り替えて演じることについてはいかがでしょうか。

A加藤和樹役を変えるというよりは、その場面ごとに、そこにいる人たちとどういうシチュエーションでいるのかをまず見て、そこでどういればいいかを考えています。

Q どのような完成形になりそうでしょうか。

A加藤和樹白井さんの中でふたつの世界が同じ空間に存在していて、僕らももうひとつの世界では「ただそこにいる存在」であることも多いです。そこから物語の世界にどう入っていくのか、僕らにもまだ見えていない部分が多いです。音楽もスガダイローさんが稽古を見られて作っていきますので、本番は生演奏でそれに合わせた動きというものも出てくるし、とにかく白井さんの世界はやってみないと分からない、一筋縄ではいかないことが多いです。

Q 他のキャストの方々とはどのように合わせているのでしょう。

A加藤和樹みんなで話し合いながらやっていることが多いです。やることが決まりきってはいないけれど、決め事も多いので、みんなが共通認識をもって、意思疎通することがとても大事な舞台だと思います。言葉にしないけれど感覚だけでお互いの関係性や距離感を表したり、目線だけで表現することも多いです。誰かが動いたら自分も動くようなワークショップをプレ稽古の時にやっていたので、それも活かされるような動きになってくると思います。

Q どんなところが見どころになってきますか。

A加藤和樹ペールが青年時代から放浪して老人になって死んでいく、という物語自体は原作通りです。ペールがどういう人物で、誰と出会って、どう変化していくのか、結局ペールがどういう人物だったのか、ということは白井さんも原作を忠実に描いています。ただ、そのペール・ギュントという大筋が一本あって、その外側には白井さんの世界観がうごめいています。劇場空間としても面白いだろうし、舞台セットも見応えがあると思います。生バンドと役者たちがその空間をリアルに作っていきますので、観ていて面白いと思います。物語と白井ワールドの融合を楽しんでもらえるでしょうし、その世界の中にお客さんもあたかもいるような感覚になると思います。

Q 加藤和樹さんのちょっとした“感謝の気持ち”にまつわるエピソードをお聞かせください。

A加藤和樹舞台の楽屋見舞いや稽古中のケータリングの差し入れにはすごく助けられたり、感謝されたりします。とくに稽古は長丁場になりますので、差し入れのようなちょっとしたことに「ありがとう」と言われますし、それでやる気にもなります。僕もたとえば冷たい飲み物がほしい時に差し入れしてもらえるとありがたい気持ちになるし、活力にもなります。

Q 加藤和樹さんからOKWaveユーザーにメッセージをお願いします。

A加藤和樹この『ペール・ギュント』は劇場空間を駆使してこんな世界観になるのかと感じてもらえると思います。イプセンの原作を知っている方も蜷川さん演出のものを観られた方も、ここで行われるものはまったく観たことがない『ペール・ギュント』だと思います。舞台で生きそして死んでいくペールには、僕らもまた、自分が何者なのか、何のために生きているのかと、つながる部分があります。白井さんもそれを上演したいのだと思います。この舞台から生きるということの道筋をお客さんが感じてくれたら幸いです。ぜひ観に来てください。

Q加藤和樹さんからOKWaveユーザーに質問!

加藤和樹舞台やミュージカルを観に行く時は、何を理由に観に行くことが多いですか?

回答する


■Information

『ペール・ギュント』

『ペール・ギュント』2015年7月11日(土)~20日(月・祝)KAAT神奈川芸術劇場<ホール>

夢見がちな男ペール・ギュントは、純情な女ソールヴェイと恋に落ちるが、穢れのないソールヴェイにふさわしい自分自身を見つけることができるまで、彼女を待たせたまま放浪の旅に出る。砂漠から嵐の海まで世界各国を遍歴した後、老いて帰郷し、そこで死神の使者であるボタン職人と名乗る男と出会い、自分の人生の無意味さに気づかされてしまう。そして疲れ果てたペールはずっと待っていたソールヴェイのもとに辿り着く…。

作:ヘンリック・イプセン
構成・演出:白井晃
翻訳・上演台本:谷賢一
音楽・演奏:スガダイロー
振付:小野寺修二

【出演】
内博貴 藤井美菜 加藤和樹 前田美波里 他

【演奏】
スガダイロー(Composer, Piano) 東保光(Bass) 服部マサツグ(Drums)
Tyme. /Tatsuya Yamada(dub mix, music effect)

【チケット料金(税込)】
S席9,500円、A席7,000円、B席4,500円

http://www.pg2015.jp/

主催:KAAT神奈川芸術劇場


■Profile

加藤和樹

加藤和樹2005年ミュージカル「テニスの王子様」で脚光を浴び、2006年4月Mini Album「Rough Diamond」でCDデビュー。日本や韓国・台湾・中国でのCDリリースの他、自身のアルバムなどのTOURである「LIVE”GIG”TOUR」とラジオ公開放送のように投稿メールとリクエストを中心に構成されている「”KK-STATION”TOUR」や日本武道館や日比谷野外音楽堂、アジア圏でも単独ライブを開催するなど精力的に活動。
同時に俳優としても活動しており、ドラマ「仮面ライダーカブト」「ホタルノヒカリ」「インディゴの夜」「赤い糸の女」などに出演するほか、「家庭教師ヒットマンREBORN」桔梗役や時代劇アニメ「義風堂々」石田三成役、ゲーム「戦場の円舞曲」などで声優としても活躍。
近年はミュージカル「ロミオ&ジュリエット」ティボルト役や2014年世界初演ミュージカル「レディ・ベス」(東宝製作)で主人公・ベスの相手役・ロビンをオーディションで射止めるなど大型ミュージカルにも出演。2016年には東宝ミュージカル「1789~バスティーユの恋人たち」で東宝作品での初の主演を演じる。
現在では親子や家族(父娘・母娘・母息子・姉妹など)でLIVEや舞台・ミュージカルなどに参加する幅広いファンも多く、歌手・俳優として各界で注目を浴び始めている。

http://ameblo.jp/katokazuki-blog/