話題の映画などの作品にまつわる、俳優・女優、映画監督、アーティストらへのインタビューと、彼らからの「質問」に「回答」できるOKWAVEの特別企画です。

OKStars Vol.483 映画監督・石井隆&俳優・東出昌大

OKStars Vol.483は心揺さぶるバイオレンス・エンタテインメント大作『GONIN サーガ』(2015年9月26日公開)の石井隆監督と主演・東出昌大さんへのインタビューをお送りします!

Q 1995年公開の『GONIN』から19年経ての続編公開について、ご感想をお聞かせください。

A石井隆『GONIN』と『GONIN2』を撮った当時、10年先まで続けようという話をいただいていて、シナリオはいろいろ書いていました。それが突然無くなってしまって、その後もなかなか映画化の話は成立しませんでした。15年後、KADOKAWAのプロデューサーから「次、石井さんはやはりバイオレンスアクションだよ」と言われて、嬉しくて、とっくに諦めていた「GONIN」の続編の企画の中からこの『GONIN サーガ』を提出したんです。

Q 東出さんの起用に関して期待されたことは?

A石井隆&東出昌大『GONIN サーガ』石井隆彼の父親は鶴見辰吾さん、母親はこの人でいこうと決めていた井上晴美さんで、クレイジーな夫婦からはクレイジーな子どもが生まれるのではなく、絶対にピュアな子が生まれるだろうと(笑)。ところがやはり血は争えない。最後はクレイジーというか、凶暴な面が出てしまう。キレた時の芝居はやりやすいけど、ピュアな部分はお芝居で出すのはなかなか難しい。生来の“イノセント”が身についている東出くんは最適でした。

Q 監督からはそういった話は聞いていましたか?

A東出昌大監督はあまり明かしてくれないんです(笑)。現場で「この芝居でよかったですか」と監督に聞いたら、「思い描いたのはこういうことだった、かも」と言われて(笑)。それで今ので合っているのかまた悩んでしまって、でもやるしかないなと、そういう気持ちで演じていました。

Q キャラクターを把握するきっかけはありましたか?

A東出昌大やり切るしかないと思いました。監督がOKを出せば、もちろんOKですが、やっていて掴んだ感覚はなかったです。でも、夢中だし必死だったし、濁流に飲み込まれないようにという気持ちでやっていました。

石井隆例えば、あの狭いスクリーン裏で、スクリーン越しに直ぐ目の前に敵がいるので、「行くぞ!」と彼が言うと、柄本佑くん演ずる森澤が、「未だです」と言う。その時の東出くんの反応ひとつとっても、こういうシチュエーションだからこういう芝居をする、と決めつけなかった。上手い下手もないんで、そこで生きてる東出くんがその背の高さと長い脚と手で、相手の役者の芝居に“ならではの反応”を目一杯して引っ張ってくれれば、それが僕には面白い芝居、いい芝居なんですね。

Q 『GONIN』の1作目では竹中直人さんがキャスティングでアドバイスをされていたそうですが、今回のキャスティングはいかがだったでしょうか。

A石井隆&東出昌大『GONIN サーガ』石井隆前作の時は竹中さんがモッくん(本木雅弘)とか何人かに声をかけてくれました。今回は福島リラさんを紹介してくれて。安藤政信くんと会いたくて、でも彼は当時、Wikipediaでは南極に住んでいると書かれていて途方に暮れたけど、竹中さんの映画に出てたのを思い出して聞いたら、「政信はこの近く。いいやつですよ」って携帯教えてくれて(笑)。

Q 『GONIN』の世界観をどう引き継いでいこうと思いましたか。

A東出昌大現場に入ってみないと分からない部分もありました。『GONIN』はアクション以外にも、美術や照明などもすごくて、雨などの印象的なシーンが多かったです。フィルムで撮られているので今とは映り方も違うだろうし、今回は19年経った今の作品になるんだろうなと思って、そこまで寄せていかなくてもいいかなと思いました。新たなところからスタートしているという思いでやっていました。

Q 銃撃シーンについての演出についてお聞かせください。

A石井隆優しい母思いの彼がブチッ!と切れて、遂に拳銃を握るシーンがあるんですが、東出くんは火薬を使った発砲が初体験ということで、順撮りで気持ちが切れるお芝居が先にあった方がベターでしたが、発砲が先になってしまって。雨の屋上で花壇の花を撃つんですが、火薬が入ってて本物に近いんですね、発砲の瞬間、やはり目をつむっていました。でも初めてだからリアルだよなと思って(笑)オッケーでした。

東出昌大ガンアクションの練習はしていました。でも目はつむるだろうなと内心探り探りで芝居しましたが、やっぱりつむっていました(苦笑)。

石井隆慣れてくると、つむれと言ってもなかなかつむらなくなるから、貴重な映像なんで、フリーズして編集してあります(笑)。

Q 勇人というキャラクターの魅力についてはいかがでしょうか。

A東出昌大勇人は優しいけど親父の片鱗がちょっと見えるところがあります。五誠会の店でダンボールを蹴るシーンとか、お芝居をしていることを忘れてしまう時もありました。最後に「死ねぇこらぁ!」と言いながら撃ちに行くところは、そういうセリフがあったわけではなくて、前に出て行ってしまったのは親父の血だと思いますので、そこが僕から見た勇人の魅力的な部分です。
それと大輔は麻美のことを身を挺してかばったりもしますが、勇人は一度スイッチが入った後は、麻美のことも頭から飛んでいるし、自分の復讐のことでいっぱいになっています。親父が若頭だった頃のぶっ飛んでいるところがあると思います。

Q “GONIN”の中に女性のキャラクターが入りましたが、これまでの石井監督の作品の中に出てこなかった性質のキャラクターだと思いますが?

A石井隆男五人の旧作では、僕のファムファタール・名美は禁止だったんで、これが最後かもと思って、ドンと真ん中に据えました。アンナさん、見事に皆を地獄に引きずり込むファムファタールになっていました。

Q 5人の遺児たちの関係性をどう描こうと思いましたか。

A石井隆&東出昌大『GONIN サーガ』石井隆仇として強大なヤクザ組織五誠会がいて、その三代目が実業家の顔を持つ好青年にも見える安藤くん。彼が松本若菜さんとワルツを踊るシーンはなかなか素敵です。今回は彼と彼の父親、二代目、テリー伊藤さんですが、これがまた嵌ってていいんです。この二人を仇と狙うのが同じ組織に属する桐谷(健太)くんと昔、父親が同じ組織の組員だった東出くんの二人の遺児。そして、二代目、三代目に深く絡まった麻美という正体不明の元アイドル歌手、アンナさん、きわどい衣装とキレッキレの芝居で男どもを復讐に駆り立てます。もう一人、前作では画面には写っていないのですが、たけしさんが演じたヒットマンから射殺されたパトカーの警察官の遺児で現職の警察官、佑くんという設定ですから、狙われる仇が最高にヒールでなければ成立しない。そのヒールが安藤くんなんですが、四人プラス一人を敵に回して、切れまくりますからね、安藤くん。

Q 東出さんは共演されていかがでしたか?

A東出昌大皆さん先輩ですけど、現場で和気藹々ということもなかったですし、慣れ合うこともなく、ちゃんと仕事として向き合っていました。なので人間関係の苦もありませんでしたし、アクションでは信頼し合っていました。誠司とのシーンで安藤さんに思い切り蹴られたり、桐谷さん演じるジュニア(大輔)に胸ぐらを掴まれるシーンでは、跡が残ってしまったりもしましたけど、グッと掴まれればこちらも「何を!」という芝居になります。そういうのは事前に話し合ったりしなくても信頼関係ができていたから、本当に体当たりのところは体当たりで、みんなひとつの作品のために黙々とやっていた現場だと思います。

石井隆ゲームセンターの中を逃走する東出くんのアクション、前屈みで大股で逃げるんですけど、凄いよね、階段で撃とうとする時も前屈みでしょう。ああ、これだって、これが東出くんのアクションだって。撮る方も気合が入りますよ。山本カメラ、必死に追いすぎて、転んじゃったし(笑)。誰かが弾けるとスタッフも乱反射するものでしょう?

東出昌大そうですね(笑)。

石井隆テリー伊藤さんの演じる誠司の父親が撃たれる前に、安藤くんがすごい勢いで倒れるんです。それでテリーさんもすごい勢いで倒れるので、見ていて格好いいなと。このふたりを殺しに来たはずの東出くんと桐谷くんも本気で驚いた顔で見ているので、そういうところが面白い現場でした。カットをかけず、どんどん行くんでね。

東出昌大最後のシーンはカメラ2台でしたか?

石井隆常時2台、最後は3台。4Kカメラを使っています。フィルムでもデジタルでもカメラは雨水に弱いので何度か故障して、それで予備を1台常に。高額なんで、制作プロの代表としては(笑)。で、ラストシーンだから使おうと、カメラマンを呼んで、絵コンテを3台で担当して、カットを掛けずに行けるところまで行っちまう。

Q ダンスホールの銃撃戦などはカットを割らなかったとのことですが、その狙いについてお聞かせください。

A石井隆&東出昌大『GONIN サーガ』石井隆ああいうシーンでカット割りをすると役者のトーンがピークで止められたりしますからね、しんどいでしょうし。それと、相米(慎二)さんの教えでもあるんですが、僕、絵コンテを書くじゃないですか、長回しなのに絵コンテは割ってるんです。それを見て相米さんが「石井さん、それは役者には見せるなよ」と言われたんです。「それを見せると、今、手しか映っていないとか、自分は映っていないのが分かると、役者は気を抜くから」と。舞台のような緊張感ですよね。昔は「次は手を撮ります」なんてやっていると、役者はたばこを吸いながら、なんてこともあったそうです。どこを撮るか教えなければ全身で芝居をしなければならないし、それでいい芝居を引き出せるのでそのやり方にしています。

東出昌大僕は流れに任せた方がやりやすいし、嬉しいです。桐谷さんも「カメラにどこを狙われているのかよく分からない」と仰っていましたが、カメラの位置やどんなカットなのかを確認せずやっていました。その最後のダンスホールのシーンの前に撮影していたあたりから、みんな、どの角度から撮られているかを気にしなくなっていて。雨の演出もすごいし、それどころではないシーンの連続でしたし。雨がすごいとカットがかかる声も聞こえないこともあるので、みんな夢中で演じてました。「ここをこういう風に使いたい」と言われた方が安心する役者さんもいるかもしれませんが、こういう撮影の境地で各々見せられた動物的な顔というものがあると思います。

石井隆動物的な顔か、いい表現ですね。よく理解してくれてて嬉しいな。ダラダラ撮っているようで、3台、ミッションが違っててね、顔を撮る、全身を撮る、全体を撮る、とにかく役者、スタッフが頑張って作ってるその異界を3台で撮り逃さないようにって。

東出昌大逆に「今、顔撮っているんだから顔上げろよ!」と言われる現場もありますね(笑)

石井隆僕も根津さんに「根津さん、顔を上げて」と言いましたね。あの時は、1台が根津さんの顔のアップ、もう1台が逆から根津さん舐めの若者三人でした。

Q 根津甚八さんとの共演についてはいかがだったでしょうか。

A東出昌大監督と根津さんの人間関係は人生を賭して役者をしている、映画を撮っているという間柄ですから、根津さんが車いすで来られると、僕のような若い俳優からすると大丈夫だろうかと思うこともあります。「テストやりますか?」と聞いたら「いや」と答えられて、それで本番に入ったので、つい余計なことを考えてしまいそうになった時に、監督が「根津さん、顔を上げて!」と大声で指示を出されているんです。根津さんのことをよく理解している監督がそこでそういう風に叫んで撮影をしている姿に、芝居を通り越したところで感動しました。撮影後に、僕と桐谷さん、佑さんで車までお見送りをしましたけど、その後は3人とも何も言葉には出来ませんでした。

Q 監督は根津さんの出演についていかがだったでしょうか。

石井隆東出くんの今の話、いい話ですね。僕と根津さんの関係は、お互いの私生活を知っているようなものではなくて、現場で関わり続けてきた関係なんです。だから根津さんが今回「やる」と言ってくれたので、現場にいれば、いつの間にか「根津さん、目、撮ってるよ!」みたいなことを言っていて、自分の業の深さを感じました。

Q石井隆監督、東出昌大さんからOKWaveユーザーに質問!

石井隆もしもあなたが東出くんの隣りに座ったとしたら、何をしたいですか?(笑)

東出昌大これをされたら豹変してしまうことは何ですか?

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■Information

『GONIN サーガ』

石井隆&東出昌大『GONIN サーガ』2015年9月26日(土)TOHOシネマズ新宿他全国ロードショー

五人組による、広域指定暴力団五誠会系大越組襲撃事件から19年。五誠会は若き三代目の誠司が勢力を拡大。一方、襲撃事件で殺された大越組の若頭・久松の遺児・勇人は母・安恵を支え、建設作業員をしながらまっとうな人生を歩む。勇人の幼馴染で大越組長の遺児・大輔は壊滅した大越組再興の夢を抱きながら、今は誠司のボディーガードをしていた。
そんなある日、19年前の襲撃事件を追う富田と名乗るルポライターが安恵を訪ねてくる。やがて、遺された者たちの歯車は大きく軋み始め、五誠会に囲われながらも深い恨みを宿す元アイドル・麻美を巻き込んで、GONINの血と宿命に抗う新たな闘いが幕を開ける。

東出昌大 桐谷健太 土屋アンナ 柄本 佑 安藤政信
テリー伊藤 井上晴美 りりィ 福島リラ 松本若菜 菅田 俊 井坂俊哉 / 根津甚八
鶴見辰吾 / 佐藤浩市(友情出演) / 竹中直人

監督・脚本:石井 隆
配給:KADOKAWA/ポニーキャニオン

公式サイト:http://gonin-saga.jp

(c)2015『GONIN サーガ』製作委員会


■Profile

石井隆&東出昌大『GONIN サーガ』

石井隆

1946年7月11日生まれ、仙台市出身。
映画監督を目指して早稲田大学映画研究会に入るために早大商学部に入学、在学中に監督助手のバイトでダイニチの現場で映画を体験するも、諸事情で断念、結婚し、雑文書きなどのバイトをしていた在学中に劇画家デビュー。『天使のはらわた』(77)が大ヒットし、78年から日活ロマンポルノにてシリーズ映画化され、原作者・脚本家として映画の現場に舞い戻り、88年、『天使のはらわた 赤い眩暈』で監督デビュー。大竹しのぶ、永瀬正敏、室田日出男出演『死んでもいい』(92)では、第33回テッサロニキ国際映画祭最優秀監督賞受賞、第10回トリノ国際映画祭審査員特別賞など国内外映画賞多数受賞、『ヌードの夜』(93)ではサンダンス・フィルム・フェスティバル・イン・トーキョー’94グランプリなどを受賞、国内は勿論、海外での評価も非常に高い。主な映画監督作品に『夜がまた来る』(94)、『GONIN』(95)、『黒の天使 シリーズ』(98・99)、『フリーズ・ミー』(00)、『花と蛇』(04)、『人が人を愛することのどうしようもなさ』(07)、『ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う』(10)など。13年には『フィギュアなあなた』、『甘い鞭』2本を監督し、『GONINサーガ』が最新作となる。

ファンサイト「石井隆の世界」:http://fun.femmefatale.jp/

東出昌大

1988年2月1日生まれ。埼玉県出身。
高校時代にメンズノンノ専属モデルオーディションでグランプリを獲得しデビュー。モデルとして活躍した後、12年『桐島、部活やめるってよ』(吉田大八監督)の出演を機に俳優デビュー。同作での演技が絶賛され、第67回毎日映画コンクール・スポニチグランプリ新人賞、第36回日本アカデミー賞新人俳優賞など数多くの新人賞を受賞。その後、連続テレビ小説「ごちそうさん」(13/NHK)でヒロインの夫・悠太郎を演じ全国的な人気を博す。14年には『クローズ EXPLODE』(豊田利晃監督)、『アオハライド』(三木孝浩監督)と立て続けに主演作が公開。そのほか『奇生獣』(14/山崎貴監督)、「問題のあるレストラン」(15/CX)などでも存在感を発揮、大河ドラマ「花燃ゆ」(15/NHK)ではヒロインの夫で幕末の志士・久坂玄瑞を熱演。さらにカズオイシグロの短編集を舞台化した「夜想曲集」に主演、舞台デビューも果たすなど、活躍の場を広げており、今後の躍進が期待される若手俳優の一人である。

http://www.humanite.co.jp/actor.html?id=28

<ヘアメイク>
遠山 美和子(THYMON Inc.)

<スタイリスト>
檜垣健太郎(little friends)