話題の映画などの作品にまつわる、俳優・女優、映画監督、アーティストらへのインタビューと、彼らからの「質問」に「回答」できるOKWAVEの特別企画です。

OKStars Vol.487 映画監督 佐藤信介

OKStars Vol.487は映画『図書館戦争 THE LAST MISSION』(2015年10月10日公開)の佐藤信介監督へのインタビューを送りします。

Q 本作ではどんなところを狙っていたのでしょう。

A『図書館戦争 THE LAST MISSION』佐藤信介前作では、自由を守る戦いの中、小さな恋の物語が紡がれていく、アクションとキュンとするラブストーリーを併せ持つ世界を作りました。それを踏まえ、今回は、もっと動的に大きな物語が進むように見せたいと思いました。原作は、ひとりひとりのキャラクターの小さなエピソードの積み重ねが非常に魅力的で、どれも映画にしたい衝動にかられます。数あるエピソードの中から、そのいくつかを、1本のメインのストーリーにより合わせていこうとしました。そして、メインのストーリーとしては、郁が大きな戦闘に巻き込まれていくという前回になかったものを、中心に据えてみたかった。つまり、原作の、茨城県展の物語を中心に据えたかった。そういう大きな動きの中で、それぞれキャラクターの織りなすエピソードが描かれるといいなと思って、脚本の野木亜紀子さんらとも話してストーリーを作っていきました。

Q 堂上が後ろを走っている郁を気にしながら銃を撃つところなど、細かなところが非常に楽しめる作品だと思います。

A佐藤信介この作品は、架空の時代ながらも、戦時下という、現在にはない状況において、人は何を考え、どんな生活をし、どんな青春を送り、どんな恋をするかを描いています。たとえ戦時下であっても、人は恋をし、若者は青春を送る。アイツは嫌いだとか、あの人は好きだとか、そういうことはやっぱりある。その感じがこの作品で見せたいところの一つでした。前作を撮る際に、一体どう映画化するのかよく聞かれましたが、映像化するために越えなければならないハードルも多々ありますが、僕の中では戦時下の青春群像みたいな感覚があって、それを描いてみたいなと思っていました。あくまでも架空の内戦状態の日本で図書館を守る、という非常にユニークな設定のフィクションです。それをいかに映像でも、説得力を持って見せるかというところが、僕らの取り組みどころでした。また、戦いの中での、ちいさな日常のやりとりや、なかなか言い出せない恋の駆け引き、そうした小さな表情の動き……そういうことも描きたかった。いやむしろ、そういうところこそがこの映画の見所だと思います。郁と堂上がこの環境下で、どう進展し、通じあっていくのか。それを見せたかったですね。

Q 今回のストーリーを大きく動かしている手塚慧役の松坂桃李さんにはどんな話をしましたか?

A『図書館戦争 THE LAST MISSION』佐藤信介これも前作にはなかった点ですが、今回は、敵方の中心人物を描きました。それによって二項対立の、より「戦いの映画」になったと思います。手塚慧は魅力的な人物でなければいけないし、ゾッとする冷たさも必要です。もしかしたらもっと冷たい硬派な人でも良かったかもしれませんが、冷酷なことを言っていても、どことなく色気が醸し出せる人物がいいなと思いました。言葉に出さなくても何となく甘い雰囲気が漂っている人がいいと思ってキャストを考えると、松坂さんしかいないなと思い至りました。設定年齢よりは松坂さんは若いですが、松坂さんの演技と、そのオーラ感で乗り越えられると思いました。以前『万能鑑定士Q −モナ・リザの瞳−』で全然違う役を演じてもらいましたがとにかく本当に達者な役者だと感じ、これは似合うなと思ってお話ししました。するとすぐにキャラクターを理解してくれて、それからは姿形や手の仕草などを細かく話しました。一度決まると松坂さんはブレないので、最初に思いを伝えて臨みましたが、最初から狙ったものが出てきました。手塚慧が初めて登場するシーンはかなり周到に考えました。セミナー会場の光の加減から細かな動きまで、撮影の河津太郎さんも理解してくれて、二人三脚で撮影に取り組みました。手塚慧と郁のレストランのシーンも、手塚慧がイメージする世界観をどう表すかをずいぶんと考えて、ワインを使う、というところまで辿り着いて、さらにそこからどう会話するかを組み立てていきました。実は手塚慧が出ているシーンは多くはないですけど、手塚慧らしい空気を作ることができたと思います。

Q 図書特殊部隊(ライブラリー・タスクフォース)の訓練シーンで岡田准一さんが指導しているシーンや、アクション全般についての取り組みについてお聞かせください。

A佐藤信介軍事訓練と呼んでいたトレーニングを事前にやってもらいました。前回はスタンダードなトレーニングが多かったですが、今回は僕の狙いで、キャストの皆さんに、戦いがどう進むのかを最初にビデオコンテで見てもらい、細かな動きを説明した上で、各パートのメニューを決めていきました。なので、最初から訓練自体が実際のシーンに役立つようにピンポイントで進められました。岡田さんは自分も取り組んだ上で、すぐに指導者の立場になっていました(笑)。みんなの動きを見て「違う、こうだ」と。大河ドラマが終わって堂上に戻るにあたって、堂上教官のモードに入ろうとしているんだなと感じました。最初は皆と訓練をしている一役者だったのが、途中から皆を仕切る側に(笑)。
普段だとアクションするところを実際に本人が演じるのは顔が見えるところだけで、訓練もご本人がやる部分だけ行うものですが、岡田さんの場合は全部自分でアクションをやるので、すべてのアクションの動きを覚え、訓練し、時には目立たない小さな組み手についても、岡田さんもアイデアを出しながら、微修正を重ねて作っていきました。

Q 後半の銃撃戦は隊列など、大人数での芝居になりましたが、フォーメーションなどはいかがだったでしょうか。

A『図書館戦争 THE LAST MISSION』佐藤信介こういうシーンは、実は、銃撃戦そのものよりも、誰がどういう動きをするのかが大事です。今回のタスクフォースは撤退戦を行います。規律正しい撤退のフォーメーションが、段々と追い詰められ、バラバラになって、とうとうフォーメーション自体、崩れてしまう、という流れを作り、それを細かく演出していきました。フォーメーションが崩れていくところに、ドラマがあるというか。さらに、その時に郁が何を見たのかとか、そういうところにも、ドラマを見出していきたかったんです。今回は図書館の中の戦闘なので、双方の作戦をまず考えて、それが合っているのか元・自衛隊の方に聞いて検証して臨みました。地の利を活かして戦闘シーンやドラマを作らないとダメで、空間が持っている雰囲気なども活かして、シーンを作っています。たくさんいる隊員も、誰かどこで倒れ、誰が誰を担いで、どこへ運んで、居なくなったのかとか、人物の出し入れも、すべて段取りを決めてから撮影しています。ビデオコンテも作り、すべての流れを決め、役者にもシーンの説明をし、訓練もしてもらって、弾着一個一個の場所も決め、それからの撮影なので、現場はとても冷静になれます。順番ではなく後先バラバラに撮ることもしばしばですが、設計はできているので、訳が分からなくなることはないんです。手が込んでいますが、そういう中でドラマや感情を盛り込んでいるので、ただ撃っているだけではなく、痛みやハラハラ感が生まれてくるんだと思います。

Q 郁と堂上の二人の関係はどうさせようと考えていましたか。

A佐藤信介すでに郁と堂上のキャラクターが僕の中にも定着しているので、より自由度が増した感じがしました。ストーリー的には明るくウキウキする方向には向かっていないのですが、その中に郁らしさや、二人のもじもじする感じとかが出せると、他のアクション映画や戦闘モノとは違うテイストが出せるかなと思いました。その配分が面白いところで、現場でも楽しんでやっていました。
撮影時、寒さは大変でしたが岡田さんも榮倉さん始めタスクフォースのみんなと楽しくやっていました。

Q ドラマ「図書館戦争 BOOK OF MEMORIES」も放送されますが、どんなふうに作られたのでしょうか。

A佐藤信介実は同時に撮影をしていました。ドラマと映画、1日の中で交互に撮ったりと、入れ子状態でやっていました。『GANTZ』で違ったテイストでのパート1とパート2を同時に撮る経験をしているので、今回も、ドラマと映画、同時に撮影は出来るだろうなと思って挑みました。ドラマの方は「図書館戦争」のもう一つの側面である隊員たちの日常の、明るく柔らかな雰囲気を描きたいと思って作りました。ドラマと映画は、同じコインの裏表みたいなものなので、両方観ていただくとより面白いと思います。僕の中では3つの『図書館戦争』ができている感じです。前作、ドラマ、そして今回の『図書館戦争 THE LAST MISSION』。前作の単なるスケールアップみたいな単純なものではなく、相互に違った意図を持ち、いいバランスでお互い引き合うような、そんな三作品になっている気がします。

Q おすすめポイントをお聞かせください。

A『図書館戦争 THE LAST MISSION』佐藤信介大きな戦いと、じれったいほどキュートで、キュンとする恋の物語と、両方の物語を併せ持った、前作『図書館戦争』。あれから1年半後。彼らの身に振りかかる大きな戦いと、その中で懸命に自由を守ろうとする姿をぜひ観てもらいたいなと思います。TVドラマでは映画とはまた違った暖かい世界があって、新しいキャラクターも登場し、世界が広がっています。映画を観たり、TVドラマを観たり、メディアを超えて楽しんでもらいたいと思います。TVドラマも映画も同じスタッフ、同じ機材で撮っています。この三本はどれも共通した世界と空気で貫かれています。

Q佐藤信介監督からOKWaveユーザーに質問!

佐藤信介『図書館戦争』、「図書館戦争 BOOK OF MEMORIES」、『図書館戦争 THE LAST MISSION』と3作品ありますが、その中でどのキャラクターが好きですか?

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■Information

『図書館戦争 THE LAST MISSION』

『図書館戦争 THE LAST MISSION』2015年10月10日(土)全国ロードショー

「昭和」から「正化」へと歴史を進めた近未来の日本。
いまや国家による思想検閲や、メディア規制が横行する社会となっていた。
そんな中、検閲に対抗し「本を読む自由」を守っている“図書隊”に所属する笠原郁は、検閲で取り上げられそうになった大事な本を取り返してくれた図書隊員を追って入隊、特殊部隊(タスクフォース)所属となった。鬼教官である堂上篤の罵倒とシゴキに耐え、上官の小牧幹久、同期の手塚光や柴崎麻子らと厳しい訓練と図書館業務の日々を過ごしていた。
そんなある日、堂上ら図書隊にある指令が下る。それはこの世に1冊しか現存しない“自由の象徴”「図書館法規要覧」の一般展示が行われる“芸術の祭典”会場の警備。一見簡単な任務に思えたが、実は、図書隊を解散させる事で歪んだ社会を正しくしようと考えている、手塚の兄・慧(さとし)がタスクフォース壊滅を目論み仕組んだ罠だった。
手塚慧の狙い通り、検閲実行部隊「良化隊」による急襲を受け、成す術もなく1人、また1人と凶弾に倒れていくタスクフォース達。
堂上たちは無事に本を、仲間たちを守り切れるのか?!
いま命運をかけ、図書隊が史上最大の戦い“LAST MISSION”に挑む!!

キャスト:岡田准一、榮倉奈々、田中圭、福士蒼汰、西田尚美、橋本じゅん、
松坂桃李、土屋太鳳、栗山千明(特別出演)、石坂浩二、

監督:佐藤信介/原作:有川浩「図書館戦争」シリーズ(角川文庫刊)
配給:東宝
公式サイト:http://toshokan-sensou-movie.com/

©2015“Library Wars –LM-”Movie Project

「図書館戦争 BOOK OF MEMORIES」

2015年10月5日(月)TBS系にて放送

仁科基地司令が誘拐され、熾烈を極めた小田原の攻防戦から半年ほどが過ぎ、平穏な日々を取り戻しつつある武蔵野第一図書館。しかし、笠原郁は、憧れの王子様が鬼教官・堂上篤ではないのかと落ち着かない日々を送っている。
ある日、郁は図書館で聴覚障害のある女子高生・中澤毬江と知り合う。毬江は堂上班の先輩・小牧幹久の幼馴染で、小牧にお薦めの本を教えてもらって読んでいるという。毬江の中に小牧へのほのかな恋心を感じ取った郁。
その頃、図書館の窓口業務をする業務部所属の柴崎麻子は、朝比奈修二と名乗る学芸員の男性と頻繁に会うようになっていた。柴崎のことが気になっている手塚光は複雑な心境だ。
そんな時、小牧が検閲実行部隊であるメディア良化隊に突然身柄を拘束される。小牧が毬江に薦めた本が障害者に配慮しておらず不適切だったというのだ。理不尽な理由で小牧は連れ去られ、堂上や郁ら図書隊員たちは怒りを覚える。さらにそこに、図書隊に入ることを反対していた郁の両親が現れて、戦闘職種であることを黙っていたことがバレた郁自身も大ピンチに。
このまま小牧と毬江はバラバラに?次々と図書隊に降りかかる混乱に、堂上たち図書隊メンバーが下した決断とは!?
そして、郁もピンチを乗り切れるのか?


■Profile

佐藤信介

佐藤信介1970年生まれ、広島県出身。
武蔵野美術大学在学中に、脚本、監督を務めた16ミリ短編映画『寮内厳粛』が「ぴあフィルムフェスティバル94」でグランプリを受賞。01年の『LOVE SONG』で監督メジャー・デビュー。その後、『修羅雪姫』(01)、『COSMIC RESCUE -The moonlight generations-』(03)、『砂時計』(08)、『ホッタラケの島~遥と魔法の鏡~』(09)、2部作として映画化された『GANTZ』(11)、『GANTZ PERFECT ANSWER』(11)、『図書館戦争』(13)、『万能鑑定士Q -モナ・リザの瞳-』(14)などを監督。脚本家としても『ひまわり』(00)、『春の雪』(05)、『県庁の星』(06)など数多くの作品に携わっている。また、12年にはフジテレビ連続ドラマ「ラッキーセブン」のシリーズ構成・演出を担当した。2016年には『アイアムアヒーロー』映画版『デスノート』が控える。

https://twitter.com/shin_angle