話題の映画や作品等にまつわる、俳優や映画監督、アーティストら“Stars”へのインタビューと、彼らからの「質問」に「回答」できるOKWAVEの特別企画です。

Vol.498 映画監督 ジョー・ライト

OKStars Vol.498は『PAN ~ネバーランド、夢のはじまり~』(2015年10月31日より公開中)のジョー・ライト監督へのインタビューをお送りします。
また、ジャパン・プレミアの模様と、吹替版プレミア舞台挨拶の模様も合わせてお送りします!

Q 「ピーターパンになる」という本作の題材を監督はどう受け止めて映画化しようと思いましたか?

Aジョー・ライトある日、当時25歳だったジェイソン・フュークスという若い脚本家から脚本が送られてきました。それを読んだら、みんなが知っているストーリーをベースにしながらも、非常に独創性がありました。それで、私の小さい息子のために、息子と母親の関係というものをこの映画で探ってみたいと思いました。

Q 「ピーターパン」という物語に思い入れなどありましたか?

A『PAN~ネバーランド、夢のはじまり~』ジョー・ライトイギリスでは日本と同じように「ピーターパン」は有名です。子どもの頃に本を読んでもらったり、馴染みはありました。今回はジェイソンの脚本に興味をかきたてられました。そして、原作を読んでみると、非常に奇妙な雰囲気を持っていて、いわゆるおとぎ話とは違い、ディズニー作品とはかけ離れた世界観でした(笑)。

Q 監督ご自身にとっても新しいチャレンジだったかと思いますが、いかがだったでしょうか。

Aジョー・ライト今回は非常に新しい挑戦でした。私にとって一番大事なのはストーリーで、自分がどれだけその物語とつながりが持てるかが、私的な観点を持てることにつながります。今回の内容はスケールが大きいし、ファンタジーという要素もある。空飛ぶ船に、戦いの場面も多く、CGも多い。これは私があまりやったことがないことで、その中でいろいろ実験をしてみたいと思いました。

Q では、ご自身と今回の脚本とはどこが一番リンクしていましたか?

A『PAN~ネバーランド、夢のはじまり~』ジョー・ライト不思議な事に脚本を読んだ時に12歳の自分に戻った気になりました。その12歳の自分は本作のピーターとぴったりと重なって、自分こそがピーターパンなんじゃないかと思えたくらいです。子どもの頃には、自分の可能性を発見するまで様々なチャレンジもあれば困難もあり、怖い経験もしてきたものです。それと、私は子どもの頃は難読症で文字を読むのが大変でした。そこがピーターパンと共通する部分です。それと、私の息子は当時悪夢に悩まされていました。だから私は「少年は勇気と想像力と信念を持てば、そういう恐怖を乗り越えることができるんだ」ということを証明したいと思いました。
なので、この映画はアクション・アドベンチャーであっても、個人的な要素を入れたいと思いました。それが私自身のチャレンジで、そこは達成できたと思っています。
よくビッグバジェットな映画には私的な要素がなく、こじんまりとした作品で描かれるもの、と言われがちですが、私はちゃんとその2つが同居できると思っています。

Q キャラクターの造形についてどう考えられたでしょうか。悪役の黒ひげにも二面性があったり、単純ではないですよね。

Aジョー・ライト私は自分の映画の中では単純に良い人、悪い人というものを登場させないようにしています。というのも、現実の世界はそんなに簡単なものではないからです。完全な善人、または悪人なんて会ったことはないですからね。子どもに対して、世界が白黒はっきりしているように描いてしまうのは危険だと思っています。私自身、今でも成長過程だと思っていますが、グレーな部分を楽しんだり、受け入れたりすることが大切だと思います。ですから、人生は二面性どころか、いろんな側面があるんだ、ということを描きたいと思いました。

Q 劇中でラモーンズとニルヴァーナの曲が使われていましたが、その意図は?

A『PAN~ネバーランド、夢のはじまり~』ジョー・ライトそこは私のアイディアです(笑)。ネバーランドというものは、12歳の自分が想像力を働かせて作り上げる世界だと思っています。そのためにいろんな音楽が必要でした。海賊たちのアクションを決めるブートキャンプを行った際に、いろんな音楽をかけて合わせようとしましたが、なかなかタフさを表現するようなものが出てきませんでした。そこでふと思いついてパンクミュージックをかけたら、急に海賊役の役者たちが活き活きとし出したので、これだと思いました。私はカオスさ(混沌)とアナーキーさ(無秩序)を生み出したいと思いましたので、黒ひげの登場シーンでニルヴァーナの曲にしたのもぴったりでした。無秩序さというものは子どもの世界の象徴ですからね。それと、ネバーランドというものは違う時空に存在しているので、どの時代からネバーランドに行ったかは関係なくなります。エリザベス朝の人も20世紀の人もいていいので、だからこそカオスでもある。その音楽の生まれた時代はネバーランドでは関係ないですし、むしろ何でも可能なんです。

Q 『ハリー・ポッター』シリーズのワーナー・ブラザーズでの作品だったということで、作風に影響したことはありますか。

Aジョー・ライト私の両親は人形劇団をやっていました。とくに父は人形劇は芸術だという考えを持って取り組んでいました。ですので、日本の能や浄瑠璃に傾倒していた部分もあります。ただ、一般的にイギリスでは人形劇は子どものための娯楽というレッテルが貼られていました。それで父は詩的なものや、奥ゆかしい話、オスカー・ワイルドのようなちょっと社会のはみ出し者のような人の(笑)作品を取り上げていました。「人魚姫」なんてのは、ディズニーの『リトル・マーメイド』と違って、人魚姫は死んでしまいますよね。だから観に来た小さな女の子たちは泣きながら劇場を出てきてしまうんですが、父は真実を子どもたちに伝えるという主義で取り組んでいました。とはいえ、私はこの映画でそんな悲劇を描こうとはしていませんからご安心ください(笑)。

Qジョー・ライト監督からOKWaveユーザーに質問!

ジョー・ライト皆さんは「ピーター・パン」のキャラクターの中で誰が一番好きですか?

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Vol.498-2 ジャパン・プレミアレポート
Vol.498-3 吹替版プレミアレポート


■Information

『PAN ~ネバーランド、夢のはじまり~』

『PAN~ネバーランド、夢のはじまり~』2D/3D 字幕版/吹替版 大ヒット公開中

ロンドンの孤児院に暮らす少年ピーター。母からの手紙をみつけたとき、ネバーランドへの旅が幕を開ける!
カラフルで不思議な、夢と希望の世界へ!妖精や人魚、心躍るキャラクターたち。
実はピーターの仲間だった若き日のフック船長、戦うプリンセス タイガー・リリー。
そしてネバーランドを踏みにじる海賊・黒ひげとの戦い。
やがて明らかになるピーターの出生の秘密。彼は母に会うことはできるのか?
ネバーランドの平和は取り戻せるのか?

出演:ヒュー・ジャックマン、ギャレット・ヘドランド、ルーニー・マーラ、リーヴァイ・ミラー、アマンダ・サイフリッド、カーラ・デルヴィーニュ

監督:ジョー・ライト

日本語版 声の出演:(ジェームズ・フック役)成宮寛貴、(タイガー・リリー役)水川あさみ

配給:ワーナー・ブラザース映画

オフィシャルサイト:http://www.pan-movie.jp

(C)2015 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC


■Profile

ジョー・ライト

ジョー・ライト『PAN~ネバーランド、夢のはじまり~』1972年生まれ、イギリス、ロンドン出身。
操り人形師(パペッティア)一家に生まれ、セントラル・セント・マーチンズ・カレッジ・オブ・アートで美術/映画/ビデオを学んだ。大学卒業後、音楽ビデオや短編映画に携わり、05年、『プライドと偏見』で長編映画の監督デビューを果たす。高評価を受けたこの作品で、初めての長編映画で優れた成果をあげた英国人監督/脚本家/プロデューサーに贈られるBAFTA賞カール・フォアマン賞を受賞。また、ロンドン映画批評家協会賞“その年の英国人監督賞”、ボストン映画批評家協会賞最優秀新人監督賞も受賞。作品は、BAFTA賞5部門、米アカデミー賞4部門、ゴールデングローブ賞2部門にノミネートされた。
長編映画2作目となる『つぐない』(07)は、BAFTA賞14部門にノミネートされ、最優秀作品賞と最優秀美術賞を受賞。また、作品賞を含む米アカデミー賞7部門にもノミネートされ、最優秀作曲賞を受賞した。ゴールデングローブ賞では7部門にノミネートされ、ドラマ部門最優秀作品賞と最優秀作曲賞を獲得した。
その後も『路上のソリスト』(09)、“ケミカル・ブラザーズ”のエレクトロ・ミュージックとともに予想外の大ヒットとなった『ハンナ』(11)の監督を務めた。
12年、『アンナ・カレーニナ』を監督。作品はBAFTA賞6部門と米アカデミー賞4部門にノミネートされ、どちらも最優秀衣装デザイン賞を受賞した。
13年には舞台劇「Trelawny of the Wells」の演出を務め、演劇界にデビュー。これに続き、「A Season in the Congo」の演出も担当した。