話題の映画や作品等にまつわる、俳優や映画監督、アーティストら“Stars”へのインタビューと、彼らからの「質問」に「回答」できるOKWAVEの特別企画です。

Vol.516 映画監督 イヴァン・イキッチ(『バーバリアンズ セルビアの若きまなざし』)

OKWAVE Stars Vol.516は『バーバリアンズ セルビアの若きまなざし』(2016年1月16日公開)イヴァン・イキッチ監督へのインタビューをお送りします。

Q 『バーバリアンズ セルビアの若きまなざし』を企画したきっかけをお聞かせください。

A『バーバリアンズ セルビアの若きまなざし』イヴァン・イキッチ僕は映画の中で描かれているようなコミュニティで育ったんだ。
僕も10代の頃から映画の中の少年たちと同じようなことを疑問に思っていた。孤独な環境の中でどんな風に生き延びていくべきか、とかね。同じような思いを何年も持っていたから、そういう内容の脚本を書きたいと思っていたんだ。
また、セルビアの下部リーグのサッカーチーム環境やサポーターの様子もよく知っていたから、それも描きたかったんだ。父親が当時サッカーチームの社長をやっていて、僕自身も父と出掛けたりもしていたからどんな雰囲気かよく知っていたからね。だから最初に脚本を書き始めた時からそのことを盛り込んでいったよ。
キャスティングが決まってリハーサルをしながら、最終的な脚本を書き終えた。どんな映画に仕上げるかを決めるまではすごく長い旅だった。個人的なきっかけや外的なきっかけなど、いろんな要素があるから、きっかけは一つだけじゃないんだ。

Q 役者ではなく素人、とくに主役級に不良少年たちを起用したねらいは?また、彼らに対し、どういった撮影方法をとりましたか?

Aイヴァン・イキッチ若者ならではの行き場のない感情を描きたかったから、役者ではなく同じ怒りを抱えた素人を起用した方がよりリアルだと思ったんだ。この映画の方向性を考え始めたときから、ベースとしてそう考えていたよ。僕はもともとドキュメンタリー出身だから、ドキュメンタリーとフィクションを掛け合わせたかったし、それは今回のような作品にはぴったりだったんだ。彼らは独自のエネルギーと真実を運んでくれるからね。お陰で最終的にとてもリアリティのあるタッチに仕上がったよ。
まず僕たちは5ヶ月間のリハーサルを通して関係作りから始めた。例えば彼らの内に秘めた感情やプライベートな問題を、演技を通して引き出そうとしたりね。彼らはその内容に感動していた。彼らはピュアでオープンだ。撮影期間中もそうだったし、それは演技からも感じられると思う。
撮影が始まると、皆プロ意識を持って演じていたよ。僕たちが与えた契約に対してしっかり責任を果たしていた。仕事がある毎日に満足していたんだと思う。そして現場では安心して自信を持って演じていたし、演じることでさらに自信が深まっていたんだ。

Q 主人公ルカには、孤立や苛立ちなどセルビアそのものを体現しているような印象を受けましたが、彼のキャラクターに監督が込めた意図は?

A『バーバリアンズ セルビアの若きまなざし』イヴァン・イキッチ脚本段階では、もっとだらしなくて粗雑なキャラクターをイメージしていた。でも事務所で何百人の候補者の写真を貼ってキャストを選定していたとき、ジェリコの写真を一目見て「彼だ!」って、スタッフの意見が一致したんだ。
その写真に映る彼から本物の感傷さや憂鬱さを感じたんだ。ジェリコは不良グループの中でも特殊な子だった。ほかの子たちには無い、特別な感情を持っている。彼なら若者の不安定な感情を表現出来ると思った。それはこの映画にとってすごく価値があると思ったから彼を選んだんだ。彼の目やふるまいや外見、全てが合わさって、僕たちの映画にこれ以上ふさわしい子は居ないという確信があったね。なので、ルカというキャラクターをもっとジェリコ自身の姿に近づけようとしたんだ。100%彼自身の生活やストーリーって訳ではないけれど、ルカは彼の実生活の姿と、僕が元々考えていたシナリオとのミックスなんだ。

Q 映画の中での音楽の使い方が印象的でしたが、その意図と、セルビアの若者を取り巻く音楽事情をお聞かせください。

A『バーバリアンズ セルビアの若きまなざし』イヴァン・イキッチクラブミュージックを中心に使用している。これは彼らの日常を描く上で、ルカがクラブに行くシーンや、フラッシュたちが外で踊りさわいだりするシーンで、そういう閉鎖された空間で若者たちが聴いていたような曲を選んだんだ。

Q ベオグラードでのコソボ独立反対運動(2008年)は監督にとってどんな記憶でしょうか。このシーンを描く上での感慨のようなものはありましたか。

Aイヴァン・イキッチあの夜はセルビアの歴史上、とてもドラマチックな出来事だった。今でも、僕を含めセルビア人の心には鮮明に残っているよ。だから撮影の時は感慨深かった。撮影自体も大変だったけれど、ジェリコたちに当時実際に自分が感じた気持ちを伝えながら撮影したから、僕自身の感情の昂ぶりをコントロールするのも大変だったんだ。

Q 今回の撮影・製作を通じて監督が発見したことや再確認できたことは?

Aイヴァン・イキッチすべてが新しい経験だったから、今回の撮影は発見だらけだった。撮影前はうまくいく確信はなかったけれど、こうやって作ることができて本当に良かったと思っているよ。

Q 今後の監督の展望をお聞かせください。

Aイヴァン・イキッチいま次回作の脚本を書いているんだ。今回のように素人の役者を使ったラブストーリーを撮るつもりで、今年撮影に入れるように準備中なんだ。

Q OKWAVEユーザーに向けてメッセージをお願いします。

Aイヴァン・イキッチこの映画を観ていただいて、皆さんがどんな感想を持つのか興味深いです。勇気づけられるような何かが得られれば嬉しいです。

Qイヴァン・イキッチ監督からOKWAVEユーザーに質問!

イヴァン・イキッチ前あなたが抱くセルビアのイメージは何ですか?

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■Information

『バーバリアンズ セルビアの若きまなざし』

『バーバリアンズ セルビアの若きまなざし』2016年1月16日(土)シアター・イメージフォーラム他全国順次ロードショー

かつての工業地域に住む青年ルカは、仮釈放中でやることもなく毎日街をうろついてばかり。仕事も目標もなく鬱屈した日々の中で唯一発散できるのは、地元のサッカーチームを仲間と応援しては騒ぐこと。ある日、自宅を訪問した社会福祉士によって、ルカは家族の秘密を知る。コソボ紛争で失踪したと思われていた父が生きているというのだ。しかし、母はその事実をひた隠しにしていた。しばらくして首都ベオグラードでコソボ独立反対のデモに参加したルカは、帰り道に父と再会することになり…。

監督・脚本:イヴァン・イキッチ(長編初監督作品)
キャスト:ジェリコ・マルコヴィッチ、ネナド・ペトロヴィッチ、ヤスナ・ジュリチッチ
配給:アニモプロデュース
公式サイト:http://barbarians.jp/


■Profile

イヴァン・イキッチ

イヴァン・イキッチ(『バーバリアンズ セルビアの若きまなざし』)1982年セルビア首都ベオグラード生まれ。
ベオグラード演劇芸術大学で映画テレビ監督学部を主席で修了。2008年ベルリン国際映画祭が新進の映画人を対象に主催する一週間のワークショップ、“ベルリン・タレント・キャンパス”に参加した。
2010年に監督したロードムービードキュメンタリー“Tarot Serbia”は多くの映画祭に出品され賞賛を受けた。本作が初長編映画である。20以上の国際映画祭に正式出品され、受賞も多数。