話題の映画などの作品にまつわる、俳優・女優、映画監督、アーティストらへのインタビューと、彼らからの「質問」に「回答」できるOKWAVEの特別企画です。

Vol.553-2 『レヴェナント 蘇えりし者』主演レオナルド・ディカプリオ来日会見

OKWAVE Stars Vol.553-2は『レヴェナント 蘇えりし者』主演レオナルド・ディカプリオさんの来日会見の模様をお送りします。

>『レヴェナント 蘇えりし者』音楽担当・坂本龍一さんへのインタビュー

Q アカデミー賞主演男優賞おめでとうございます。どの部分が評価されたと思いますか。

Aレオナルド・ディカプリオアリガトウゴザイマス。多分15回目くらいだと思いますが、日本に戻って来られて本当に嬉しいです。今回の作品は僕にとって本当に大切なものでした。オスカーを今回受賞できた理由を分析するのは難しいですが、やはりこの映画は僕にとって特別なものですし、この映画に参加した全ての人にとって特別な作品です。これだけの世界観に入り込める作品は他にはないです。スタッフも僕も1年半、この世界にどっぷりと浸かりました。アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督はどうやってあんな世界を作り上げられたのか、僕にも説明できないけれど、永遠に映画史に残るような芸術作品だと思います。アカデミー賞の栄誉に輝いたことで、大変名誉なことだと感じています。こんな作品には二度と関われないかもしれない、そのくらい僕にとって重要なことです。

Q ちなみに、オスカー像は今どこにありますか。

Aレオナルド・ディカプリオ自宅のリビングです。友だちが見せてほしいと好奇心いっぱいでやってきますが、僕のリビングにあるのが本当に嬉しいです。

Q 受賞によって何か身の回りに変化はありましたか。

Aレオナルド・ディカプリオまだ受賞したばかりで自分の生活や、俳優としてどう変わっていくかは未知の世界です。僕としては全く変わらないことを望んでいます。受賞はありがたいことですが、賞をいただくために仕事をしているわけではなく、もともと持っていた夢や理想を追求して最高の映画を作り上げていくことが今でも僕の一番の願いです。10代から俳優を始めて、偉大な先達がいましたが、そういう英雄たちの後に自分も続きたい気持ちでいます。

Q 休養宣言を撤回してまでこの作品のオファーを受けたそうですが、この『レヴェナント 蘇えりし者』の魅力をお聞かせください。

Aレオナルド・ディカプリオ(『レヴェナント 蘇えりし者』)レオナルド・ディカプリオ脚本を読んで惹かれましたが、やはり天才的なアレハンドロ監督と組めることです。僕はずっと監督のファンで、とくに『バベル』を観た時は何て画期的なんだと思いました。彼とは映画を作っているというよりも壮大な旅に出ている感覚でした。彼の演出、撮影方法はあまりにも特別で独創的です。過酷だとも聞いていました。今回は撮影場所も遠い極寒の地で、アクションシーンも非常に複雑だということは予め分かっていました。監督は自然光で全てを撮りたいということで、僕たちは毎日8時間くらいリハーサルをして、撮影監督のチーボ(※エマニュエル・ルベツキ)が1時間半だけ撮影できる時間に、僕らはまるで演劇の舞台の臨んでいるかのような気持ちで、本当に短い時間の中で複雑な内容を撮らなければなりませんでした。ですがそれが良い影響を及ぼしたことは明らかです。過酷な状況だったからこそこういう作品ができたのだと思います。監督がやり遂げたことはもっと評価されるのだと思います。

Q 父親としてのヒュー・グラスを演じるにあたって気をつけたことは何でしょう。

Aレオナルド・ディカプリオ(『レヴェナント 蘇えりし者』)レオナルド・ディカプリオ非常に興味深い設定だったと思います。あの時代に、息子が原住民とのハーフであるということが複雑さにつながっています。この作品はまだ西洋がアメリカ大陸を制覇していない時代です。原住民が住む地はまだまだ未開で、いうならばアマゾンのような場所です。ヨーロッパから渡ってきた人たちが東海岸からどんどん西に向かい、動物の革をヨーロッパに輸出するような商売を始めて、原住民の生活を脅かしていきます。その中で僕の演じたヒュー・グラスは人種差別などを意識しながら、自分の息子を何とか守ろうとします。息子を生き延びさせるためには存在を消さないといけないとさえ思っています。父として息子にいろいろ教えていきますが、その後、愛する者をすべて奪われたグラスは、過去にいた家族の霊的な存在によって自分が生き延びる術を学ぶんです。

Q トム・ハーディを直談判で誘ったとのことですが、共演していかがでしたか。

Aレオナルド・ディカプリオトム・ハーディとのことで楽しいエピソードを話したいのですが、彼とは過酷な状況ばかりを共にしたので笑える話はないんです。僕とトムの演じたフィッツジェラルドは同じコインの表と裏のような関係です。グラスとフィッツジェラルドの対比は非常に面白いと思います。全員が生き延びようとしていますが、とくにこの二人はその気持ちが強く出ています。フィッツジェラルドには人種差別もあれば、友人を後ろから刺すようなところもあります。でもどうしてそうなのか、彼の頭の中のことは理解もできます。トムとは『インセプション』の時から仲良くなりました。男らしさや強さを持っていて、共感できるところもある、あの年代の役柄を演じさせたら一番だと思います。それで監督に頼んで彼を起用してもらいました。また彼とは一緒に仕事をしたいと思っています。

Q 過酷な撮影を支えたモチベーションについてお聞かせください。

Aレオナルド・ディカプリオ(『レヴェナント 蘇えりし者』)レオナルド・ディカプリオ過酷な状況の中でも、特に一番のチャレンジだったのは寒さに対してです。アクションについては非常に複雑ですが準備期間も十分にありました。オープニングのアクションは監督が非常にこだわった部分で、かなりの時間をかけて進められました。それに比べて、寒さというものは本当に大変でした。ただ、アカデミー賞の受賞スピーチでも話しましたが、極寒の地で撮影していても、急に暖かくなってしまい、雪がなくなる状況にも陥り、雪を求めてアルゼンチンの南端まで行くことにもなりました。こういう作品は二度とやらないかもしれませんし、作る機会もないかもしれません。しかしチャレンジして誇りに思う作品でした。

Q 大自然の中での撮影を通じて、これまでも取り組んできた環境問題に対して、今どんなお気持ちでしょうか。

Aレオナルド・ディカプリオヒュー・グラスは寡黙な男です。そういう意味ではどの言語、どの国の方にも伝わりやすかったと思います。国際的に受け入れられているのはそういう理由もあると思います。一人の男のサバイバルストーリーであり、大自然の中での物語であります。監督は様々な技法を駆使していますが、様々な映画の影響も受けているとも思います。黒澤明監督の『椿三十郎』もそうですし、アンドレイ・タルコフスキー監督に見られるロングショットの影響も受けていると思います。僕は映画の題材についていろいろ監督と話しました。とくに環境問題や人間と自然の関係については随分と話しました。アメリカ大陸に資本主義というものが入り込み、白人対原住民の戦いになる、そういうものが映画の中に収められています。ヒュー・グラスの物語であると同時に、アメリカの大自然が侵されていく物語で、これは今も世界中で起きていることです。自然や土地、そこに生きている動物たちに対する敬意が欠如していると思います。僕はこの地球を守っていくために、地球の気候変動を問題にしていますが、そういったものが全てこの映画に入り込んでいると思います。

Q 撮影が終わった時の気持ちと、いま振り返って撮影の日々を思い返すとどんな気持ちでしょう。

Aレオナルド・ディカプリオ(『レヴェナント 蘇えりし者』)レオナルド・ディカプリオ今日がこの『レヴェナント 蘇えりし者』の最後の記者会見の場となります。6ヶ月間に渡って映画のプロモーションをやってきましたので、今日が本当の意味での最後の1日になります。そういう意味ではちょっとホッとしているところもあるんです。このプロモーション期間だけでも1本の映画が撮れそうです。この2年間は、準備期間に監督との話し合いを重ね、髭を生やすところから始まって、撮影、そしてプロモーションと、何か人生の中の重要な一章分を体験した気持ちです。ですので何度も言いますが本当に特別な作品です。人類にとって原始的なサバイバルというものを描いた作品ですが、人類というものが何なのか、我々は何をすべきなのかを考えさせられる、非常に意義深いものでした。監督もスタッフも皆、そう感じていると思います。実は今回の撮影と同時に僕は気候変動に関する映画を『ザ・コーブ』を製作したフィッシャー・スティーヴンスと一緒に作っていました。中国やインド、南極にも行き、これからインドネシアにも行きます。いま、地球はどんどん変わっていますが、我々は地球をどう生き延びさせるのかも考えなければなりません。この作品からもいろんなことを学びました。映画とドキュメンタリーで同じテーマを扱っています。人類が地球を操ったことで様々な損害が出ていることを、僕は国や宗教を超えてすべての人が問題意識として持ってほしいと思います。ドキュメンタリーの方はアメリカの大統領選挙の前までに公開したい気持ちでいます。

Q ディカプリオさん自身が本当にサバイバルをしなければならないとして、何か3つ持っていけるとしたら何を持って行きますか。

Aレオナルド・ディカプリオ電話と太陽光で充電できる装置ですね。それと防水のライターかな。その3つで家に帰りたいです。こういうサバイバルな作品に出て、本当に大変だということが身に沁みて分かりました。人類は環境に順応するものと言われますが、僕自身は耐えられないと思います。

Q 日本に来て、行きたいところなどありますか。

Aレオナルド・ディカプリオ来日プロモーション以外でも何度か日本には来ています。大好きなのは京都に行くこと。寺院や大仏も見ましたし、古い歴史と文化のあるところに行くのが大好きです。それと日本には桜の季節に来たことがなかったので、今回は非常に楽しみですね。

 

>『レヴェナント 蘇えりし者』音楽担当・坂本龍一さんへのインタビュー


■Information

『レヴェナント 蘇えりし者』

『レヴェナント 蘇えりし者』2016年4月22日(金)TOHOシネマズ 日劇他 全国ロードショー

舞台は19世紀のアメリカの、広大な未開拓の荒野。狩猟中に熊に喉を裂かれ瀕死の重傷を負ったハンターのヒュー・グラスは、狩猟チームメンバーの一人、ジョン・フィッツジェラルドに見捨てられ置き去りにされてしまう。さらに反抗したグラスの息子までもフィッツジェラルドは容赦なく殺してしまった。
グラスは“生きる”という純然たる意志だけを武器に、大自然の脅威の中、厳しい冬の寒さに耐え、交戦中の部族の熾烈な襲撃を交わし、フィッツジェラルドに復讐を果たすため、約300キロの容赦ない旅を生き延びなければならない。彼は、生き延びることが出来るのか…。

監督:アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ(『バベル』、『バードマン あるいは (無知がもたらす予期せぬ奇跡)』)
出演:レオナルド・ディカプリオ、トム・ハーディ、ドーナル・グリーソン、ウィル・ポールター
配給:20世紀フォックス映画

公式サイト:http://www.foxmovies-jp.com/revenant/

(C) 2015 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.


■Profile

レオナルド・ディカプリオ

レオナルド・ディカプリオ(『レヴェナント 蘇えりし者』)1974年11月11日生まれ、米国ロサンゼルス出身。
20年以上にわたり俳優、プロデューサーとして活躍。ハリウッドに揺るぎない地位を確立しているトップスターのひとり。ロバート・デ・ニーロ共演の『ボーイズ・ライフ』(93)で注目を集め、知的障害を持つ少年を演じた『ギルバート・グレイプ』(93)でアカデミー賞の助演男優賞にノミネート。アカデミー賞11冠に輝いた『タイタニック』(97)で大ブレイクを果たし、ハワード・ヒューズを演じた『アビエイター』(04)でアカデミー賞の主演男優賞にノミネート。さらに『ブラッド・ダイヤモンド』(06)と『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(13)でも同賞にノミネートされた。製作に名をつらねた『ウルフ・オブ・ウォールストリート』ではアカデミー賞の作品部門でも候補になっている。その他の主な出演作は、『クイック&デッド』(95)、『バスケットボール・ダイアリーズ』(95)、『太陽と月に背いて』(95)、『ロミオ&ジュリエット』(96)、『仮面の男』(98)、『ザ・ビーチ』(99)、『ギャング・オブ・ニューヨーク』(01)、『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』(02)、『ディパーテッド』(06)、『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで』(08)、『インセプション』(10)、『J・エドガー』(11)、『ジャンゴ繋がれざる者』(12)、『華麗なるギャツビー』(12)など。製作を手がけた作品に、『エスター』(09)、『赤ずきん』(11)、『ファーナス/訣別の朝』(13)、『ランナーランナー』(13)などがある。環境保護活動に熱心なことでも知られ、レオナルド・ディカプリオ基金を設立。2014年9月には長年の功績を認められて国連平和大使に任命された。