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Vol.631 映画監督 荻上直子(映画『彼らが本気で編むときは、』インタビュー)

OKWAVE Stars Vol.631は映画『彼らが本気で編むときは、』(2017年2月25日公開)荻上直子監督へのインタビューをお送りします。

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Q 『彼らが本気で編むときは、』を撮ろうと思ったきっかけをお聞かせください。

A荻上直子新聞で読んだ記事の中で、トランスジェンダーの真境名ナツキさんのお母さんが、彼女が思春期の頃に「ニセ乳」を作ってあげた、と仰っていました。その「ニセ乳」というワードが私の中で響いて、これは映画になるんじゃないかと思いました。それで実際に真境名さんのお母さんにお話を聞きに行ったのが始まりです。

Q 本作ではどんなところを大事にしようと思いましたか。

A荻上直子セクシュアル・マイノリティの方が傷ついたり、嫌な思いをする作品にはしたくないと思いました。私自身が当事者ではないので、そこは注意して描かなければならないと思いました。それと、トランスジェンダーであることを悩んでいるような映画にはしたくなかったです。それよりも、主人公リンコとお母さんの関係であったり、トモとそのお母さんのヒロミ、さらにヒロミとそのお母さんの関係のように、みんな愛情の量は変わらないのに接し方などで大きく関係性が変わってしまうような、そんな親子関係を描きたいと思いました。

Q キャスティングについてはいかがだったでしょうか。

A荻上直子すぐには決まらなかったです。田中美佐子さんだけは脚本を書いている時からイメージしていました。真境名さんは自分の子どものことを全肯定して、本当に明るいお母さんだったので、田中さんには通じるものがあると思ってオファーしました。リンコ役は、真境名ナツキさんがきれいな子だったので、そういう方に演じてもらいたいと思いました。生田斗真さんには、内心受けてもらえないだろうなと思いながらオファーをしたので、受けていただいて「本当に出るの?」と自分でもびっくりしました(笑)。マキオ役は、リンコを守る立場として背も高くしっかりしている男性のイメージだったので、以前からTVなどで拝見して性格の良さが表情にも表れてる桐谷健太さんに思い至り、オファーをさせていただきました。
トモ役はオーディションで選びました。柿原りんかさんはやる気とセンスが抜群にありました。それまで、なかなかイメージ通りの子どもに出会えなくて、たくさんの子どもたちのオーディションを粘り強くやり、こうしてりんかさんに出会えました。

Q リンコのビジュアルはすんなり決まったのでしょうか。

A荻上直子いえ、むしろ難航しました。撮影開始の3ヶ月くらい前から準備を始めて、生田さんには編み物のレッスンから始めてもらいました。同時にスタイリストと一緒に、リンコの胸の大きさはどうしようか、というところから、ファッションや髪型、メイクなど、どうすれば自然な女の人に見えるだろうかと、本当に撮影開始ギリギリまで悩みました。撮影初日がたまたま雨で予定していた撮影ができなくなってしまったのですが、その日にもリンコのビジュアルを直していたので、結果的には、初日が雨でむしろ良かったと思っています。

Q 生田斗真さんと桐谷健太さんが並んだのを見て「これはいける!」という感覚はありましたか。

A荻上直子生田さんと桐谷さんはドラマで共演もされていて、元々仲が良かったということもあって、最初に二人が一緒にいると“男たちの友情”という雰囲気が出ていて、「これは愛じゃない!」と最初は不安でした(笑)。生田さんにはキャラクターを段々と飲み込んでもらって、役柄について今一度話し合ってからは、大丈夫だという実感がありました。
撮影に入ると、生田さんは「段々とトモちゃんのことがかわいくて仕方がなく思えてきた」と仰っていました。すごく雰囲気の良い3人だったので、撮影が終わってこの3人に会えなくなるのは寂しい、と私も思ってしまいました。

Q セクシュアル・マイノリティを描く上で、とくに偏見を持った方々をどう描きましたか。

A荻上直子日本と比べて欧米の方がセクシュアル・マイノリティに寛容だとしても、それでも宗教的な理由などで絶対に認めない人もいます。この映画の中では描きませんでしたが、小池栄子さんにはそういう理由で頑なな態度の人もいる、ということを伝えて演じていただきました。小池さんは本当に上手で、すぐに飲み込んでやっていただけました。

Q トモやカイは小学校の級友から差別的な目で見られます。

A荻上直子私の子どもは4歳ですが、その年齢でも保育園で誰かが仲間外れにされたり、いじめのようなことがあるという話を聞きます。トモはクラスの女子に無視されても、あまり気にしていません。自分を大切にしてくれる人がいたり、自分を保っていれば大丈夫だと思いますし、誰しもそういう大切な人がいてほしいと思います。

Q 本作を通じて、新しい気づきや再発見したことはありますか。

A荻上直子5年ぶりに映画の現場に入ったら、自分よりも年下のスタッフや役者さんが多くなっていました(笑)。今までは自分が憧れていた年上の女優さんに内心オドオドしながら演出をしていました。今でも緊張しますが、以前よりも言いやすくなっていることに気づきました。自分が年を取ったことで、いい意味で現場に居やすく、わがままも言いやすくなりました(笑)。それと、現場を離れていた5年間から、こうして戻ってみると、改めて映画を作りたくてたまらない自分自身を再認識しました。

Q 荻上直子監督からOKWAVEユーザーにメッセージをお願いします。

A荻上直子観ているうちに生田さんが演じるリンコがどんどんかわいく見える映画になったと思います。そういうところもぜひ楽しんで観ていただけたらと思います。

Q荻上直子監督からOKWAVEユーザーに質問!

荻上直子皆さんは映画を映画館で観ますか?それとも配信やDVDなどで観ますか?

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■Information

『彼らが本気で編むときは、』

2017年2月25日(土)、新宿ピカデリー、丸の内ピカデリーほか全国ロードショー!

小学生のトモは、母ヒロミと二人暮らし。ある日、ヒロミが男を追って姿を消す。ひとりきりになったトモは、いつものように叔父のマキオの家に向かう。以前と違い、マキオはリンコという美しい恋人と一緒に暮らしていた。リンコの美味しい手料理や母親が決して与えてくれなかった家庭のぬくもりとトモへの愛情。最初は戸惑うトモだったが、リンコの優しさに閉ざした心を少しずつ開いていくのだった。
本当の家族ではないけれど、3人で過ごす特別な日々は、自分らしさと本当の幸せを教えてくれた。嬉しいことも、悲しいことも、どうしようもないことも、それぞれの気持ちを編み物に託して、3人が本気で編んだ先にあるものは…。

生田斗真 桐谷健太 柿原りんか
ミムラ 小池栄子 門脇麦 柏原収史 込江海翔 りりィ 田中美佐子

脚本・監督:荻上直子
配給:スールキートス

公式ウェブサイト:http://kareamu.com

© 2017「彼らが本気で編むときは、」製作委員会


■Profile

荻上直子

デビュー作『バーバー吉野』(03)でベルリン国際映画祭児童映画部門特別賞を受賞。『かもめ食堂』(06)の大ヒットにより、日本映画の新しいジャンルを築く。『めがね』(07)は、海外の映画祭でも注目を集め、08年サンダンスフィルム映画祭、香港映画祭、サンフランシスコ映画祭などに出品され、ベルリン国際映画祭では、ザルツゲーバー賞を受賞した。『トイレット』(10)では、第61回芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。前作『レンタネコ』(12)は第62回ベルリン国際映画祭パノラマ部門に正式出品された。