SABU監督
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OKWave > OKStars> vol.64 SABU監督

ワーキング・プア、派遣切りなどの社会的問題とリンクし、80年の時を超えて2008年に巻き起こった「蟹工船」ブーム。小林多喜二著の原作が、2008年だけで60万部を突破し、関連書、コミック等がヒットするなか、2009年7月に公開された映画『蟹工船』は、国際的評価の高いSABU監督のもと、いままでにない視点とスタイリッシュな映像が話題に。そして2010年、DVD発売と、第60回ベルリン国際映画祭フォーラム部門への出品が決定!
「OKStars 10QUESTIONS」第64回目はSABU監督が登場!『蟹工船』について語っていただきました。

『蟹工船』DVDリリースということで、あらためて作品で伝えたかったことを教えてください。

伝えたかったのは、人のせいにしてはまずい、自分で考えて決めて行動する、ということが大事かなって。何をしたいとかどうなりたいとか、そのために今何をするのかを考える、そういう姿勢ですね。

> 原作と監督の考えがリンクしていたのでしょうか?

原作はプロレタリア文学であるとか思想的なところで多少偏った読まれ方をされる方もいると思いますが、原作者が書いていたのはそれぞれがちゃんと考えよ、と。原作で言えば団結せよ、ということになるのでしょうけど、それぞれがちゃんと考えて最終的にはみんなが同じ方向に向かう、ということでは共通していると思います。

撮影現場の様子を振り返って、印象的な出来事などあればお願いいたします。

ワンカット撮るごとに拍手が起こったのが印象的でしたね。スタッフが走り回って、煙を出したり、缶が流れるところでは右に左に途切れないようにするとか、みんなが一斉にやっていたので緊張感があったんです。誰かが失敗するとやり直しになりますのでね。蟹を茹で上げるところは、鉄板をガスバーナーで焼いて、そうやって煙を出したので、とにかくワンカットうまくいくと皆が拍手してたたえ合う、それが印象的でした。

2008年末頃は「派遣村」などの社会背景もありましたが、『蟹工船』DVD発売を控えた今と、当時を振り返って、世間についてどう感じますか。

民主党が選挙に勝ったり大きな流れはあると思いますけれども、基本的には何も変わっていないような気がしますね…。このままズルズルといってしまうんですかね?こういう中で『蟹工船』の劇場公開があって、DVDの発売と、自分で考える、という作品の骨子が伝わるとよいですね。

作品世界は原作の世界観を活かしつつも、映像はSF的にも感じました。演出面ではどのようなお考えだったのでしょうか。

時代設定をあえてしないようにしていたので、未来ではないけれど、レトロなところも出したのがあの形ですね。労働イコール歯車ということが頭の中にあって、それを象徴的なものとして真ん中に置きたかったので、そこから巨大な歯車があるああいう感じになっていったんです。船という設定自体が、どこかが錆びていたり、鉄板があちこちに走っていたりとか、レトロだけどSFっぽい雰囲気で、なかなか日本映画にはそういうのはないし自分もそういうのを作る機会もなかったので、『蟹工船』という作品で取り組めたのはよかったですね。

ベルリン映画祭への『蟹工船』出品が決定されました。おめでとうございます。ご感想をお願いします。

今までのはオリジナルがほとんどなので、計算した笑いや海外のお客さんを意識して作ってきた部分もあるのですけど、今回は『蟹工船』なので、ビジュアル的には面白いので問題ないと思っていましたが、まずは選ばれてほっとしています。映画祭のディレクターの方のこともよく知っているんですけど、きちんと作品を見て選ばれる方なので、そうやって認められてきちんと選ばれてよかったです。

海外での評価も高いSABU監督ですが、日本と欧米での映画の観られ方の違いなどありましたらお聞かせください。

欧米の人が好きな要素がありますね。古いお寺が出てきたりとか、蟹工場自体も彼らが面白いと思う要素があると思います。 『蟹工船』は日本では教科書にも載るくらいなので、先入観もたくさんありますが、海外の場合にはそういうのはないので、テーマのところをきちっと見てもらえますね。コメディ的な要素とかは日本の方は違和感を感じられる方もいるかもしれませんが、海外だと先入観がないので、そのまま受け入れられると思います。

ところで、SABU監督の映画との出会いをお聞かせください。

小学校の時に『ドラゴンへの道』を観に行ったのが最初かな。本当は桜田淳子の映画の方が先だったみたいですけど内容は覚えていないです(笑)。

>自分で撮ろうと思ったのは?

大学生くらいですね。自分で脚本を書いたのがきっかけで、たまたまなので、なりたかったわけではないんですよね。元々はバンドをやるために上京してきて、俳優になり、いまは映画監督をやっているという…(笑)。

今後の展望などお願いいたします。

いろんなものに挑戦したいと思います。皆さんに常に新しいと思われるように。

SABU監督のモットーをお聞かせください。
自分が楽しめるかどうか、ですね。 ところでモットーって元は何語なんですかね…?

※編注:モットー(motto)の語源はイタリア語で「日常の行動指針を表した言葉」という意味です!

最後に当インタビューを読んでいるOKWaveユーザにメッセージをお願いいたします。

『蟹工船』は、堅苦しくないし、見ごたえがあって、泣けたり笑えたり感動できる映画なのでぜひ、見といた方がいいですよ(笑)。

SABU監督からOKWaveへの質問
『蟹工船』

Information

2010年2月11日から21日に開催される、第60回ベルリン国際映画祭フォーラム部門に出品が決定!

『蟹工船』2010年1月21日発売!

4,935 円(税込)
●映像特典(予定)
◆特報 ◆予告 ◆TVスポット ◆メイキング ◆インタビュー ◆初日舞台挨拶 ◆ポスターギャラリー
●初回生産限定豪華カバーケース
 ※在庫がなくなり次第、通常仕様での販売となります。
●ピクチャーレーベル
発売元:東映ビデオ
販売元:東映


格差社会、派遣切り、ワーキングプア、ネットカフェ難民…現代社会が抱える様々な問題・現象と、約80年前の労働者たちの惨状と戦いを描くプロレタリア文学の最高峰『蟹工船』がリンクし、時代を超えて再び脚光を浴びた“再燃”ベストセラーを、映画化! 80年前に小林多喜二が発した思いを、多くの国際映画賞を受賞している監督・SABUが、スタイリッシュで疾走感のある映像で描く!

原作:小林多喜二
脚本・監督:SABU
主題歌:NICO Touches the Walls「風人」(Ki/oon Records)
出演:松田龍平、西島秀俊、高良健吾、新井浩文、柄本時生、木下隆行(TKO)、木本武宏(TKO)、谷村美月、奥貫薫、内田春菊、大杉漣、森本レオ
製作:『蟹工船』製作委員会(IMJエンタテインメント、メディアファクトリー、東映ビデオ、マッシヴ クリエイションズ、ローソンチケット、IMAGICA、スモーク)

(C)2009『蟹工船』製作委員会

SABU

1986年、俳優として 「そろばんずく」 でスクリーンデビュー。
1996年、「弾丸ランナー」で監督・脚本デビューを果し、第18回ヨコハマ映画祭新人監督賞を受賞、ベルリン映画祭をはじめ、海外の映画祭で一躍注目を浴びる。その後「ポストマン ・ ブルース」、「アンラッキー・ モンキー」と立て続けに話題作を発表。2001年、「MONDAY」は第50回ベルリン国際映画祭国際批評家連盟賞を受賞。同年、「弾丸ランナー」が全米で公開。シカゴ映画祭で“SABU監督特集”が開催される。
2002年に「幸福の鐘」が第53回ベルリン国際映画祭NETPAC賞(最優秀アジア映画賞)を受賞。2003年、「DRIVE」がカナダ・ファンタジア映画祭にて審査員部門・最優秀アジア映画作品賞を受賞。2005年には初の原作に挑戦した話題作、重松清著の「疾走」を手掛け、国内外各地で高い評価を受ける。

国生さゆり