OKWAVE Starsは、ここでしか読めない、俳優・女優、映画監督、アーティストへのインタビューと、彼らからの「質問」に「回答」できるOKWAVEの特別企画です。

Vol.729 映画監督 ギリーズ・マッキノン(映画『ウイスキーと2人の花嫁』)

OKWAVE Stars Vol.729は映画『ウイスキーと2人の花嫁』(2018年2月17日公開)ギリーズ・マッキノン監督へのインタビューをお送りします。

Q 史実を基にした小説と映画のリメイクである本作ですが、この企画のどんなところに魅力を感じましたか。

A映画『ウイスキーと2人の花嫁』ギリーズ・マッキノン1949年公開のオリジナル版は名作中の名作ですから、それをリメイクするのはスコットランドの監督としてそのチャンスを逃す手はありませんでした。それとこの企画に惹かれたもう一つの動機ですが、私が卒業制作として作った作品が映画祭で賞を頂いた際に、プレゼンターがオリジナル版を監督したアレクサンダー・マッケンドリックでした。そこにも縁を感じました。
元々は、座礁した船がいて、島の住民たちがウイスキーを引き揚げることだけが描かれていました。今回の脚本を書いたピーター・マクドゥガルは優れた脚本家で、島の住民がどんなコミュニティーを営んでいて、それぞれがどんな事情を抱えているのかを盛り込んでいて、より面白くなっていました。
それと、主人公の島の郵便局長ジョセフが泣く泣く娘2人を嫁がせなければならないという、コミカルに描いている中にあるせつなさや、そんな父を思う娘たち、といったヒューマンストーリーがあるので、それと座礁した船からウイスキーを引き揚げるという元々の話がうまくマッチしているなと思いました。

Q キャスト陣にはどんなことを求めましたか。

A映画『ウイスキーと2人の花嫁』ギリーズ・マッキノンまずは誰を配役するかにこだわりました。その後には役者と話し合ったり、リハーサルを行ってから撮影に入るわけですが、そこに至るまでに監督と役者の信頼関係を築くことが重要です。それがうまくいけば、目には見えませんがつながりのようなものができて発展していきます。撮影が始まってしまえばその瞬間に必要なことを演出していくだけでした。とはいえ、そのような、ある瞬間にパッとアイデアを出して役者に演じてもらうには、丹念な準備が必要です。それは信頼関係があってこそです。撮影自体はダイナミックで楽しいものでした。

Q 舞台となる島の風景も素敵ですが、ロケーションについてのこだわりをお聞かせください。

Aギリーズ・マッキノン見つけたロケ地は最高でした。建物や港に面した壁、広がる大海原はまるで私たちのために作られたセットのようでした。ここをそのまま使えればいろんな問題が一気に解決すると思いました。また、セットではない実際の場所で演じることで、役者たちも舞台となる村に実際にいるように実感できるので、芝居をする上ではすごく大事なところでした。そのリアルさを感じてもらえて初めてキャラクター間の共同体意識のようなものも実感できると思いますので、そういうリアルさを大事にしました。

Q 第2次大戦中を舞台にしていますが、現代風な価値観も感じられました。なかでも船にウイスキーを取りに行こうとしていたら「安息日だから働いたらダメ!」と言われてしまう厳格さは、現代の宗教に対する皮肉のようなところも感じました。

Aギリーズ・マッキノン現代の観客に観ていただく上で意識したのは、女性の活躍する場をもう少し設けることでした。オリジナル版では女性たちは郵便局の中からほとんど動かないので、今回は女性たちもウイスキーを取りに船に乗り込みますし、より行動的です。
宗教の描写に関しては、面白おかしく描いただけなので何か意図があるわけではありません。ただ、昔は実際に安息日には働いてはいけないと定められてそれが厳格に守られていました。とはいえ、やはり極端だったとは思います。私の親がスコットランドの島の出身で、20歳の時に私もその島に行ったことがあります。土曜の夜はダンスパーティーが開かれて、みんなウイスキーを飲んで大騒ぎをしていました。ところがその翌日の日曜は教会の牧師さんが一軒一軒ちゃんとみんな家にいるか見回りをしているんです。今ではそんな習慣はありませんが、当時は牧師さんの言うことは村のしきたりのように守られていたのです。

Q この映画では島民たちはウイスキーがないと生きていけないくらいの愛着を持っています。実際のところスコットランドではウイスキーはどのくらい生活に密着しているのでしょう。

A映画『ウイスキーと2人の花嫁』ギリーズ・マッキノンさすがにこの映画ではだいぶ誇張をしています。スコットランドとウイスキーを結びつけるのは、日本にとっての日本酒のようなものですね。もし日本のどこかの村で日本酒が無くなって大騒動になる映画があれば観てみたいですし(笑)、南フランスにワイン、ロシアにウォッカがあるようなものですね。みんなが飲んだくれているわけではないですよ(笑)。

Q 登場人物の一人、ワゲット大尉がこの騒動に輪をかけますが、演じるエディ・イザードさんはコメディアンとしても人気があるそうですね。彼の魅力についてお聞かせください。

A映画『ウイスキーと2人の花嫁』ギリーズ・マッキノン彼は元々軍人一家の出身で子どもの頃から鼓笛隊にもいたそうなので、脚本にはなかった太鼓を小道具に加えました。シリアスなこともコメディも何でもできるハイテンションで面白い方ですが、ユーモアのセンスはかなりシュールです。スタンダップ・コメディアンとしての持ちネタの中には「もしもダース・ベイダーがイギリスのカフェにやってきたらどうなるか?」というシュールなものもあります。

Q ギリーズ・マッキノン監督からOKWAVEユーザーにメッセージ!

Aギリーズ・マッキノン日本にこの映画を携えて来ることができて本当に嬉しいです。この映画を作る時にスタッフに「この映画はイギリス人だけではなく、我々の文化を知らない、例えば日本人の観客だったらどう受け止めるのかを想像しながら作ろう」と話していたので、こうして日本で公開できることが嬉しいです。ぜひ映画館にお越しください。

Qギリーズ・マッキノン監督からOKWAVEユーザーに質問!

ギリーズ・マッキノンもし誰かが映画製作資金を10億円出してくれることになって、24時間以内にストーリーをプレゼンしなければならないとしたら、どんなストーリーにしたいですか。

回答する


■Information

『ウイスキーと2人の花嫁』

映画『ウイスキーと2人の花嫁』2018年2月17日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町・新宿武蔵野館ほか全国公開!

戦況悪化の為、ついにトディー島へのウイスキーの配給が止まってしまい、島民たちは無気力に陥っていた。島の郵便局長ジョセフの長女ペギーと次女カトリーナはそれぞれの恋人との結婚を望んでいたが、周囲から「ウイスキー無しじゃ結婚式はムリ!」と猛反対され困った状況に…。そんな時、輸出用に大量のお酒を積んだニューヨーク行きの貨物船が島の近くで座礁。沈没寸前の船内には、なんと5万ケースものウイスキーが積まれていた!「これはきっと神様からの贈り物に違いない!」島民たちは禁制品のウイスキーを秘かに“救出”しようとするが…。

監督:ギリーズ・マッキノン(『グッバイ・モロッコ』)
出演:グレゴール・フィッシャー(『ラブ・アクチュアリー』)、ナオミ・バトリック(「ランズエンド -闇の孤島-」)、エリー・ケンドリック(『17歳の肖像』)、エディ・イザード(『ワルキューレ』)、ショーン・ビガースタッフ(『ハリー・ポッター』シリーズ)、ケヴィン・ガスリー(『サンシャイン/歌声が響く街』)、ジェームズ・コスモ(『T2 トレインスポッティング』)
原作:コンプトン・マッケンジー「Whisky Galore」 (1947)
配給:シンカ

公式HP: www.synca.jp/whisky

© WhiskyGaloreMovieLimited2016


■Profile

ギリーズ・マッキノン

映画監督 ギリーズ・マッキノン(映画『ウイスキーと2人の花嫁』)グラスゴー芸術大学で絵画を、英国国立映画テレビ学校で映画を学んだ。卒業制作として、自身が脚本を書いて監督した作品が1986年エディンバラ国際映画祭のファースト・スコティッシュ映画賞を獲得。賞のプレゼンターは、1949年のオリジナル『Whisky Galore!(原題)』を監督したアレクサンダー・マッケンドリックだった。
多数の受賞・ノミネート歴を誇る名監督として評価されており、60年代のグラスゴーのギャングを描いた『Small Faces(原題)』では1995年エディンバラ国際映画祭最優秀英国映画賞とロッテルダム国際映画祭タイガー・アワードを受賞し、弟のビリー・マッキノンと共同で執筆した脚本が英国アカデミー賞脚本賞にノミネートされた。
最近手がけたTV作品には、2014年エディンバラ国際映画祭マイケル・パウエル賞/最優秀英国映画賞と観客賞にノミネートされたエディ・イザード主演の『Castles in the Sky(原題)』や、ビリー・ロシュが脚本を手がけたアイルランドのTVドラマシリーズ『Clean Break(原題)』等がある。ジョージ・ルーカス製作のTVドラマ『インディ・ジョーンズ/若き日の大冒険』にも携わった。
映画とTVドラマの監督・脚本家として活躍するほか、マンガや絵画も描いている。