Vol.93 映画監督

平山秀幸

『OKStars』Vol.93には映画監督・平山秀幸さんが登場!昭和38年の福岡の炭坑町を舞台とした映画『信さん・炭坑町のセレナーデ』のことをおうかがいしました。

『信さん・炭坑町のセレナーデ』映画化に至った経緯は?

2006年の夏くらいに、辻内智貴さんの原作(『信さん』)を渡されまして。舞台は自分の子ども時代でもある昭和30年代の炭坑の話でした。あまりにも身近すぎたので、やっていいのかな?というプレッシャーを感じました。
ただ、自分の子どもの時代と過ごした土地、という条件がいっぺんにそろう企画はそうはないと思ったので、いろいろ言われるのを覚悟でやろうと(笑)。

監督ご自身も福岡出身ということで、ご自分の経験は作品に影響を及ぼしましたか?

基本的には原作があって、シナリオライターもいて、ストーリーのある中でキャラクターを考えているので、あんまり無茶苦茶はできないですよね。あの時代がいい、悪いということではなく、あの時代を忠実に再現したいな、ということでした。ただ、今の時代からあの時代を振り返ったりするのは嫌だったので、作り手として、懐かしいということだけを目的にしないようにと思いました。

舞台となる炭住など、ロケ地でのエピソードについてお聞かせください。

脚本が上がって、最初にロケハンで田川に行った時に、松原炭住という炭住を見付けたんですね。そこは取り壊す寸前だったんですけど、最近まで人が住んでいて、生活の匂いが濃密に残っていたんです。あの場所に立った時に、登場人物が食事をしたり寝起きしたりするイメージが生まれました。他の場所は、もともと福岡は炭坑の町が多く、大牟田や志免など、昔の炭坑の跡地をロケ地に選びました。実際に炭住に住んでいた方が撮影の見学に来られたんですがプレッシャーでしたね(笑)。

キャストについて。小雪さんなどキャストの方々に求めたことと、エキストラの方々も多かったそうですがそのあたりのエピソードをお願いします。

小雪さんの役は東京から帰ってきて、少し土地になじまない存在なのですが、ありのままにいてほしい、特殊でいて欲しくない、という伝え方でしたね。子どもたちも芝居が上手いか下手かという事に関係なく、ありのままの君たちを撮るよ、と。それを昭和30年代風に見せるのは僕らスタッフ側の仕事なわけで。

>エキストラの方々も多いということですが、どうだったんでしょうか。

地元の方にお願いしましたが、皆さんすごく熱心なんですよね。「ここで事故が起きましたから泣いてください」というような、つくられた形ではなく、起こっていることを身近に感じてもらうようにお願いしました。結果的に、そういうのがうまい、というかすごい存在の方たちばかりでしたね。

作品を通じて伝えたいことと、そのために気をつけたことは?

昭和38年頃の炭坑の空気感をどう感じてもらえるかということですね。

作品の時代背景を経験してる・記憶に残っている世代の方々も多いと思います。この時代と今とを比べて監督の思うところをお聞かせください。

当時の子どもはみんな泥だらけだったんですけど、いまは子どもの趣味もゲームだったりそれ以外にもどんどん細分化してますけど、僕はそれが悪いとは思ってはいないんですよ。いろいろ変わっていくというのは必然だろうという気がしますね。

『信さん・炭坑町のセレナーデ』見どころは?

ある時代のある地方都市の空気を味わってもらえればと思います。

今年は監督作品の公開が続いていますが、さて今後の展望などお聞かせください。

この『信さん・炭坑町のセレナーデ』の撮影は一昨年(2008年)で、『必死剣鳥刺し』は昨年撮影で、いま来年公開の『太平洋の奇跡 -フォックスと呼ばれた男-』を仕上げ中なのですが、その先はどうなることやら…仕事が来るのか来ないのか(笑)、映画監督は展望が持てないポジションでしょうね。予定していた作品がすぐ無くなったりすることもあるので、期待しすぎず、あまり夢を見ないようにしています(笑)。

平山秀幸監督の“モットー”をお聞かせください。

ぼちぼちやっていこう、とよく言っています。あまりキリキリやってもしょうがないというか。みんなマイペースで、ぼちぼちやればいいんじゃないかなって。映画をみんなで作る、ということとは相反するような気もしますが、だからこそあえてそう言っていますね。

最後にこのインタビューを読んでいるOKWaveユーザーにメッセージをお願いいたします。

ぼちぼち観てください(笑)。映画って作り手だけのものではなく、観ていただいて初めて成立するものだと思います。一所懸命、目を皿にして観るというのもいいですが、ゆったりとぼちぼちと観ていただければありがたいなと。

監督ご自身が気になっていることを「質問」してください。

あなたにとって「映画」とは何ですか?
僕は…分からないから映画の仕事を続けている気がします。

Information

『信さん・炭坑町のセレナーデ』
2010年11月27日(土)、新宿ミラノ、銀座シネパトスほか、全国ロードショー!

昭和38年、美智代は、故郷の福岡の炭坑町に小学生の息子・守とともに帰ってきた。ある日、守は悪ガキに囲まれるが、そのとき救ってくれたのが、町では知らぬものはいない札付き少年・信さんだった。信さんは、親を早くに亡くし、親戚に引き取られていたが、厄介者の扱いを受けていた。そんな信さんにとって、息子を救ってくれたことを期に、やさしく接してくれる美智代は特別の存在になる。

主人公・美智代を演じるのは、現代劇で初めて母親役を演じた小雪、息子役には、『半分の月がのぼる空』の池松壮亮。池松とは『ラストサムライ』以来、2度目の親子役となる。美智代に恋する信さんは『リアル鬼ごっこ』の石田卓也が魅力的に演じる。さらに、光石研、中尾ミエ、岸部一徳、大竹しのぶと素晴らしい演技派が顔を揃えた。

配給:ゴールドラッシュ・ピクチャーズ
(C)「信さん・炭坑町のセレナーデ」製作委員会

公式サイト

Profile

平山秀幸

1950年9月18日、福岡県北九州市生まれ。
『お葬式』を始め数々の助監督を務めたのち、『マリアの胃袋』(1990)で監督デビュー。『ザ・中学教師』(1992)で映画監督協会新人賞受賞。1995年からの『学校の怪談』シリーズなどヒットを生み、『愛を乞うひと』(1998/原田美枝子主演)で、モントリオール世界映画祭 国際批評家連盟賞をはじめ、数々の賞を受賞。以後、『ターン』(2001)、『OUT』(2002)、『魔界転生』(2002)、『レディ・ジョーカー』(2004)、『しゃべれどもしゃべれども』(2007)、『やじきた道中 てれすこ』(2007)など幅広いジャンルの話題作を発表。
この約半年の間に、7月公開、モントリオール世界映画祭のコンペにも出品された『必死剣鳥刺し』(7月10日公開)、本作『信さん・炭坑町のセレナーデ』(11月27日公開)、『太平洋の奇跡 -フォックスと呼ばれた男-』(2011年2月公開)と公開が続く、いま大注目の監督。

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