映画監督 長瀬由依(ドキュメンタリー映画『酔いどれ東京ダンスミュージック』について)

映画監督 長瀬由依(ドキュメンタリー映画『酔いどれ東京ダンスミュージック』)

OKWAVE Stars Vol.1028はバンド・真黒毛ぼっくすの大槻泰永さんに密着したドキュメンタリー映画『酔いどれ東京ダンスミュージック』(2021年9月17日公開)長瀬由依監督へのインタビューをお送りします。

Q 本作を作るきっかけについてお聞かせください。

Aドキュメンタリー映画『酔いどれ東京ダンスミュージック』長瀬由依大槻さん主催のライブに行ったのが最初のきっかけです。もともと大槻さんを知っていたのではなく、別のゲストの方に興味があったのと、アルバイト先の方がゲストで出演するのもあって、観に行きました。でもライブのことはお酒を飲みすぎてしまってあまり覚えていないんです。その1ヶ月後くらいに、自分の最寄り駅に降りたら、大槻さんに似ている人を見かけました。その日も私は酔っ払っていて、勢いで「大槻さんですか」と声をかけたら大槻さんご本人で、大槻さんも酔っ払っていました(笑)。そこで意気投合して一緒に飲んで連絡先を交換したんです。後日大槻さんから連絡をいただいて初めて酔っ払っていない状態でお会いしました。いろいろお話しましたが、酔っていないときの方が面白いんです。大槻さんは離婚された家族の話とか、私にとってはヘビーな話をされましたが、そんな悲しい出来事があったのに、どうしてこの人は楽しそうに歌が歌えるのだろうとさらに興味を持ちました。その頃、大学の卒業制作をどうしようかと考えていた時期だったので、この人を撮りたいと思って、お願いしたら、「僕なんかでいいの。でも撮ってくれるのは嬉しい」と、快く引き受けてくれました。それで私にとっては人物を撮る初めての撮影になりました。

Q 偶然ライブに足を運んだところから始まったのですね。

A長瀬由依そうなんです。私はライブにはあまり行かないどころか、音楽にもそれほど詳しくなくて。ロイ・アンダーソン監督の『さよなら、人類』という映画が好きでアルバイト先でその話をしていたら、大槻さんの知り合いの方が「それは“たま”の曲と同じ名前だよ」と教えてくれて、“たま”の別の曲は知っていたこともあって、“たま”のメンバーだった方もゲスト出演すると聞かされて興味を持ったんです。

Q 撮る時点ではどんな作品にしようかという構想はあったのでしょうか。

A長瀬由依何も考えずに撮りはじめてしまったので、卒業制作の中間発表の時点でも定まっていないくらいで、大槻さんもどんな映画になるのか心配されていました。最終的には編集する段階で、大槻さんの楽曲の「酔いどれ東京ダンスミュージック」を軸に大槻さんの人物像が浮かび上がればいいなと思い至りました。撮影を通じてライブに何回か足を運んで「酔いどれ東京ダンスミュージック」を聴くたびにいい曲だと思いましたし、他の曲以上に大槻さん自身のことを歌っていると感じたからです。

Q 撮影を通じて大槻さんの印象は変わりましたか。

Aドキュメンタリー映画『酔いどれ東京ダンスミュージック』長瀬由依思っていた以上に真面目で、意志が強いと感じました。映画の中で大槻さんのことを「腰は低いけれど、押しは強い」と仰っている方がいますが、まさにその通りだと思います。酔っ払ってステージに上ってケーブルに足を引っ掛けて転んでしまったり、男性にキスしたりするような一面もありながら、とても謙虚な方なので、ただの暴れん坊や酔っぱらいではない、大槻さんだから許されるのだろうなとも思いました。それと根が真面目なので、酔ったときでも理性を保ってひどい振る舞いはしないのだろうなと思います。でも、歌詞が飛んでしまって怒られたこともあるそうです。撮影で同行すると私も毎回飲まされていました(笑)。
大槻さんの周りには優しくておおらかな方が多いのかなとも感じました。ネガティブなところに目を向けることよりも「大槻さんは大槻さんのままでいい」と仰っている方が多かったです。

Q 完成したときはどのように感じましたか。また、大槻さんはどのように感じていたのでしょう。

A長瀬由依正直なところ、観る人に伝わるのだろうかという不安の方が大きかったです。大槻さんからは「その時々の記録が必ずしも残っているわけではないから、こうして映画になったことが嬉しい」と仰っていただけました。

Q 監督自身はこの映画制作を通じた新しい発見などはありましたか。

Aドキュメンタリー映画『酔いどれ東京ダンスミュージック』長瀬由依この映画は大槻さんのドキュメンタリーですけれど、私自身とも向き合った作品です。私自身がナレーションを担当しましたがもともとは入れる予定がなかったのを、大槻さんが「やってみたら」とプッシュしてくれたのも大きいです。ナレーションでは大槻さんのことを紹介するだけのつもりだったのが、自分自身と重ね合わせる形になりました。大槻さんが音楽でご自分の気持ちを消化するように、私も映画を作ることで私自身の気持ちを消化したくなってしまったんです。

Q 映画祭での反響をどの様に受け止めましたか。

A長瀬由依映画祭に出す前に大槻さんが上映する機会を何度か作ってくれていました。そのときは大槻さんや真黒毛ぼっくすのことを知っている方が観てくださっていたので、映画祭で初めて大槻さんとの関わりがあまりない方々に観ていただきました。上映中にすすり泣いている方がいて、大槻さんに重なる部分があったのかなと嬉しくなりました。

Q 今後の抱負などお聞かせください。

A長瀬由依この映画は一人で作ったので、卒業後に一緒に撮る仲間がいたらいいなと映画美学校に通いました。あいにく、コロナ禍で作品が撮れなくなってしまいましたが、そのときに企画していた作品を撮りたいと思っています。

Q 長瀬由依監督からOKWAVEユーザーにメッセージ!

A長瀬由依今なおコロナ禍が続いていて、ひとりで家に居る方や、飲食関係で営業できずにいて不安な気持ちで過ごされている方も多いと思います。それでも悪いことばかりが続くわけではないと、この映画を観て、明日も頑張れそうだと思っていただけたら嬉しいです。大人の方はこの映画を観た後にぜひお酒を楽しんでいただけたらとも思います。

Q長瀬由依監督からOKWAVEユーザーに質問!

長瀬由依ビールに合う自分流のとっておきのおつまみを教えてください。
ちなみにわたしは、いろんなお魚や野菜をなめろう風にするのが好きです。

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■Information

『酔いどれ東京ダンスミュージック』

ドキュメンタリー映画『酔いどれ東京ダンスミュージック』2021年9月17日(金)よりアップリンク吉祥寺ほか全国順次公開

東京ドキュメンタリー映画祭 正式出品作品
バンド・真黒毛ぼっくすの大槻泰永は上京してから32年、会社員として働きながら音楽活動を続けてきた。かつてはテレビ番組”イカ天”こと「三宅裕司のいかすバンド天国」にも出場し、同世代や憧れのミュージシャンとも共演してきた大槻は今、仕事中と睡眠中以外はだいたい傍にお酒がある、そんな生活を送っている。
ライブの最中に飲んだり、はたまた二日酔いだったり、時にはライブの前に飲みすぎて怒られたりと、その様に周囲の人々は最初は驚き振り回されながらも気がつけば渦の中に巻き込まれていく。

出演: 大槻泰永 真黒毛ぼっくす
石川浩司(パスカルズ/ホルモン鉄道/ex.たま)
大木温之(ピーズ) 曽我部恵一(サニーデイ・サービス)
知久寿焼(知久寿焼ちんどん楽団/パスカルズ/ex.たま)
中川五郎 ロケット・マツ(パスカルズ)

撮影・編集・監督: 長瀬由依
配給宣伝: アルミード

公式サイト: yoidore-movie.com
公式ツイッター: @movie_yoidore
公式Facebook: @movie.yoidore

(c)Yui Nagase


■Profile

長瀬由依

映画監督 長瀬由依(ドキュメンタリー映画『酔いどれ東京ダンスミュージック』)1993年生まれ、神奈川県出身。
東京藝術大学先端芸術表現科卒業。
大学の卒業制作として真黒毛ぼっくす・大槻泰永を撮影した『酔いどれ東京ダンスミュージック』が2019年の東京ドキュメンタリー映画祭で入選。

https://twitter.com/nyu_ima


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