OKWAVE Starsは、ここでしか読めない、俳優・女優、映画監督、アーティストへのインタビューと、彼らからの「質問」に「回答」できるOKWAVEの特別企画です。

Vol.823 映画監督 仲村颯悟

OKWAVE Stars Vol.823は最年少商業映画デビューを飾った経歴を持ち、大学卒業を記念した上映イベントを開催する仲村颯悟監督へのインタビューをお送りします。

Q 間もなく大学卒業とのことですが、沖縄出身の監督が関東の大学を選んだ理由は。

A仲村颯悟高校までは沖縄に住んでいましたが、「この島でやり残したことはないな」と高校在学中から県外の大学に進学しようと考えていました。せっかく県外に行くなら関東がいいなという気持ちと、昔から海が大好きで海からは離れられないという気持ちがあったので、関東で海といえば湘南だろうということでSFC(慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス)を選びました。
僕は中学生のときに『やぎの冒険』で長編商業映画監督デビューをしましたが、それを撮ってからしばらく映画から離れていました。また、映画だけを専門的に学ぶのも視野が狭くなってしまうので、総合大学がいいなと思いました。いろんなものを見ていきたいと思いましたし、SFCのような自由度の高いキャンバスで学びたいと思いました。

Q その在学中に映画製作に戻ってきて、長編2作目『人魚に会える日。』を撮りました。

A仲村颯悟そうなんです。いろいろなものを見ることができると、逆に選択肢が狭まるものだなと感じました(笑)。大学に入っていろいろなものを見てそれを伝えたい、という気持ちになったとき、自分が伝える手段として映画が一番の武器なんだということに改めて気づかされました。

Q そもそも映画を撮るようになったきっかけは何だったのでしょう。

A仲村颯悟もともと僕は映画を観るのが好きで撮り始めたわけではなかったんです。家にホームカメラがあって、それを持ち出して遊んでいたので、映画に興味があったというよりもカメラに興味があった、というのがきっかけです。近所の子たちと撮っているうちに、「演技をしてみよう」「物語をつくってみよう」となって遊びの延長が映画になっていきました。

Q 当時から自主上映会を開いていたそうですね。

A仲村颯悟いま考えると子どもながらすごいことをしていたなと思います。いまでも全く同じことをしていますから(笑)。最初は近所の友だちと映画を作って家に帰ってテレビにつないで観ていました。カメラを持ってあちこちに出かけていくうちに大人の方たちも興味をもつようになってきて、そんな方々を巻き込んで映画を作るようになっていました。そうなるとどこかでお披露目会を開きたくなるもので、公民館を借りて自分たちで上映会を開くようになりました。ポスターも自分たちで作ってスーパーマーケットに貼りだしたら、近所のおじいちゃん、おばあちゃんも観に来てくださって。小学生の時からそんなことを楽しんでいました。

Q 日本映画史上初中学生監督デビューとなる『やぎの冒険』はどのような経緯で生まれたのでしょう。

A仲村颯悟もともとは『やぎの散歩』という短編でした。2008年頃に沖縄県の予算で観光PRのための短編映画が撮れるというコンペティションがあって、『やぎの散歩』のシナリオを書いて応募しました。ですので、もともとはシナリオコンペで、プロの監督が撮るという趣旨でした。シナリオが選ばれるにあたって、せっかく大人と映画が作れるのなら自分が監督をしたいと面接の時にお伝えしたら面白がってもらえました。いざ、やってみるとやはり最初はすごく緊張しました。周りがみんな大人ですし、いままでやってきたことが映画監督の仕事なのかもわかっていませんでしたが、わからないまま、それまでどおりのやり方で『やぎの散歩』を作り上げました。そんなすごい機会を得たので、長編の『やぎの冒険』を撮ることになったときには、周りから何を言われようと自分のやりたいことをやろうと強く思いました。やはり、プロのカメラマンや照明の方にはこだわりもありますし怖い雰囲気もありました。意見をぶつけ合いましたが、最後は「監督がそう言うなら」と希望通りに動いてもらえたので、いい人たちに恵まれたのだと思います。

Q 『やぎの冒険』を公開してからしばらく映画から離れることになりました。

A仲村颯悟『やぎの冒険』の公開は中2から中3の時期でしたが、僕の中ではできる限りのことをやったという気持ちと、これまでは公民館だったのが全国公開になって一気にたくさんの方に観ていただく状況に変わって、あの頃の僕の心はそれに追いつけていなかったと思います。「良かったよ」という感想も厳しい意見もありましたが、それらに耐えきれなくなって、映画を作ることへの怖さも感じました。自分の知らない人から評価されるということにまだ慣れていなかったので、そのプレッシャーに耐えられなかったということもあるし、高校生の頃もいろんな映画の現場に行ってはいましたが、自分で何かを生み出そうという気持ちにはなりませんでした。

Q 約5年ぶりに『人魚に会える日。』を撮ることになります。

A仲村颯悟SFCに入って、これまで沖縄で自分が見てきたものと、神奈川県をはじめとする大学の同級生たちが見てきたものがこんなに違うのかと驚きました。それなら沖縄から関東に出てきた者として、沖縄のことを伝えたい、という気持ちが芽生えました。それで映画という手段に戻ってきました。
この『人魚に会える日。』はキャストは役者さんですがスタッフはみんな大学生の自主制作映画です。お金もなくて現場は大変でしたが、僕自身「伝えなければいけない」という気持ちが強かったですし、スタッフみんなも「この映画は世界に伝えるんだ」と同じ気持ちでいてくれました。“自信のない自信”とすごい熱量で突き進んでいて、作る前から全国の劇場で上映するんだと決めていました。

Q 『人魚に会える日。』を撮ったときには、それまでと自分の中で映画と向き合う変化のようなものはありましたか。

A仲村颯悟子どもころから撮りたいものを撮るという気持ちでいましたが、『やぎの冒険』のときは何かを伝えるというよりも「ヤギがこのビーチを走ったらかわいいだろうな」というような映像的な思いつきからストーリーを考えたりしていました。『人魚に会える日。』では何かしらのメッセージがあって、映画を作ることそのものよりも、映画は何かを伝えるための手段というふうに変化したのが大きかったです。だから反響も広い心で受け止められるようになりました。

Q 今春大学を卒業されますが今後の展望などはいかがでしょうか。

A仲村颯悟就職という形で映画ではない世界に進みます。映画は大好きですし、これまでいろんなものを撮ってきましたが、一方で映画以外の手段でも何かを伝えることはできるという思いも出てきたので、まずは違う道で挑戦する気持ちでいます。沖縄のことに限らず今後も何かを伝えたいという気持ちはきっと出てくるだろうから、手段は違えど、いろんなものを生み出していければと思っています。

Q 卒業を前にイベント『やぎと人魚とりゅうご』を開催されます。

Aやぎと人魚とりゅうご仲村颯悟大学卒業ということになって、これまでやってきたことを伝えることができないかと考えて、『やぎの冒険』と『人魚に会える日。』の中に自分の伝えたいことが全部あると思ってイベントを開催することにしました。最後に何かを作るのではなく、改めてこの2つの作品を伝えたいなと思っています。

Q 沖縄から上京してきて、一番感謝を伝えたい相手はいますか。

A仲村颯悟周りの人たちです。とくに『人魚に会える日。』を撮ったときの周りのスタッフは熱量だけで全国に届けていったので、それがあったからいまの自分がいると思っていますので、一番感謝を伝えたいです。

Q いま沖縄のためにやっていることなどはありますか。

A仲村颯悟こうして関東に出てきても、『人魚に会える日。』や他の短編も全部沖縄で撮っているんです。高校生の時に「沖縄でやり残したことはない」と思って上京してきましたが、関東に来て沖縄のことを知って、それでいま沖縄で何かを撮っているという視点が大切なのだと思います。沖縄の友人の多くが県内の大学に進学したり就職したりします。その友だちが持っていない視点を沖縄に返してあげたいし、関東の友人たちにも沖縄出身の人間が何を伝えたいのか知ってもらいたいです。両方の気持ちがわかりますし、どちらも好きなので、沖縄と他の地域をつなぐ架け橋のような役割をこれからもしていきたいと思っています。

Q 仲村颯悟監督からOKWAVEユーザーにメッセージ!

A仲村颯悟観てくれる人がいるから映画は成り立つものだと感じていますので、このイベント『やぎと人魚とりゅうご』は皆さんに感謝を伝えるために開かせていただくものだと思っています。観てくださる方に直接ありがとうを伝えたいという気持ちでいます。どちらも沖縄の映画なので、東京にいながら沖縄を感じられる1日になればいいなと思います。『人魚に会える日。』は沖縄の基地問題という少し難しい話題ですが、『やぎの冒険』は沖縄の食文化の話なので、この2つの映画で沖縄がどんなところなのかということや沖縄の日常が伝わると思います。ぜひ観てもらえたらうれしいです。

Q仲村颯悟監督からOKWAVEユーザーに質問!

仲村颯悟皆さんの子どもの頃に考えていた空想の話をぜひお聞かせください。

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■Information

やぎと人魚とりゅうご
〜沖縄の中学生カントク、こんなに大きくなりました〜

やぎと人魚とりゅうご東京イベント:2月24日(日)ユーロライブ(東京都渋谷区円山町1-5 KINOHAUS 2)
開場11:00/開演11:30(15:45頃終了予定)
沖縄イベント:3月9日(土)桜坂劇場 ホールB(沖縄県那覇市牧志3-6-10)
1回目開場10:00/開演10:30(14:45頃終了予定)
2回目開場16:30/開演17:00(21:15頃終了予定)

内容:仲村颯悟監督過去作品の上映 (『やぎの冒険』、『人魚に会える日。』)
各作品上映後のトークイベント

前売り券:2,500円、チケットぴあにて販売 http://w.pia.jp/t/yagi-ningyo/
※沖縄イベントのみ、劇場でも購入可
当日券:2,800円、各劇場にて販売

☆東京イベントのゲストとして、沖縄出身であり日本を代表する俳優・満島ひかりさん、『人魚に会える日。』の主題歌「henoko blue」を作曲したUKULELE GYPSY(キヨサク from MONGOL800)さんの登壇が決定!

イベント公式HP:https://www.ningyoniaeruhi.com/event


■Profile

仲村颯悟

映画監督 仲村颯悟1996年沖縄県生まれ。
小学生の頃から映像制作を行う。これまで制作した作品は30本以上に及び、長編デビュー作は13歳の時に監督した『やぎの冒険』(2010年)。2012年、「世界まる見え!テレビ特捜部」(NTV)において実施された映像コンテストにて、ビートたけしより「たけし賞」を受賞、たけしの絶賛を浴びた。大学入学後の2016年、架空の村「辺野座」を舞台にした『人魚に会える日。』を監督。辺野古沖埋め立て問題に、賛成、反対では片付けられない県民の思いを感じながら、仲村監督が「今だからこそ、伝えなければならない」と沖縄出身の大学生たちと制作した。

https://twitter.com/ryuugo_okinawa