OKWAVE Starsは、ここでしか読めない、俳優・女優、映画監督、アーティストらへのインタビューと、彼らからの「質問」に「回答」できるOKWAVEの特別企画です。

Vol.832 俳優/プロデューサー 和知健明(『ライズ ダルライザー -NEW EDITION-』)

OKWAVE Stars Vol.832は自ら生み出したヒーローを映画化した『ライズ ダルライザー -NEW EDITION-』(2019年3月9日公開)の主演/プロデューサーの和知健明さんへのインタビューをお送りします。

Q ダルライザー映画化の経緯についてお聞かせください。

A『ライズ ダルライザー -NEW EDITION-』和知健明ダルライザーは福島県白河市のキャラクターとして作りました。白河商工会議所青年部で市のキャラクターを作ろうという話があって、そのときに出てきたのはゆるキャラばかりだったので、ヒーローキャラクターを考えました。それを提案したら面白いからやろう、ということになりました。
ヒーローのアイデアは、自分に子どもが生まれて、子どもが大きくなったときに、白河が今のままのシャッター街だったらいけないと思って、それを変えたいと思いました。当時公開された『バットマン・ビギンズ』という映画も、自分がヒーローになって町を変える、という設定だったので、そんなところからも影響を受けてヒーローを作って町を変えていこう、というのがダルライザーの原点です。
2008年にダルライザーが誕生して、ヒーローショーなどの活動をしていました。その当時から映像作品は作りたいとは思っていましたが具体的に映画化には思い至ってはいませんでした。それが2014年にある講演で、「2050年には日本の人口は1億人を割って消滅してしまう自治体が出てくる」という話を聞きました。白河市は合併をして大きくなりましたが、合併前には人口が減り続けていましたのでその話にはとても現実味を感じました。
その当時ウエディングプランナーの仕事をしていましたが、結婚式の片づけをしていて、ときには手付かずの料理を片づけることもあり、世の中への疑問を感じていました。そして、世の中を元気にしていきたいという思いも強くなって、ダルライザーの活動一本に集中することにしました。そこから映画を作ろう、という気持ちになっていきました。だから、この映画は成功させないと大変なんです(笑)。

Q 映画化の企画はどう進めたのでしょう。

A『ライズ ダルライザー -NEW EDITION-』和知健明脱サラをしてダルライザーの活動に専念することができるようになったので、ヒーローショーの内容を濃くするなど、工夫しながら1年間活動しました。けれども6年間やってきたときと反響としてはそんなには変わりませんでした。ヒーローショーで人々の意識を変えるには時間がかかるものだと思いました。一方で、ダルライザーの活動について講演を依頼されることが増えてきました。高校生や県の職員さんの前で話をする機会をいただいて、90分間話してみると、いい反応がたくさん返ってきました。「みんなの意識を変えるためには講演会をやった方がいいのでは」とも思いましたが、それでは活動の本質と違います。であれば、物語を楽しみながら講演の良さを掛け合わせよう、と考えた結果が映画でした。映画を観ていれば、僕の言いたいことが伝わって、元気が出て前に進めるようになる。ダルライザーのコンセプトである“転んでも起き上がる”ことが伝えられると気づきました。それで映画づくりを始めました。

Q 地元の白河市民を起用するなど、一般的な映画づくりと異なるアプローチをされました。

A和知健明素人の集団でプロの作品に迫るようなものを作ろうと思いました。佐藤克則監督も長編が初めてでしたし、市民に演技トレーニングをして出演していただくというチャレンジをしました。アクションも日本にそれまで無かったKEYSI(ケイシ)というスペイン発祥の護身術を取り入れました。アクション自体、その先生に指導していただいた市民の方が演じているので、プロのスタントマンは起用していません。「やればできる」ということを伝えるためにそのような作り方になりました。

Q 周りの反応はいかがでしたか。

A『ライズ ダルライザー -NEW EDITION-』和知健明ダイスという悪役集団が出てきますが、映画で演じているのは皆、ダルライザー立ち上げ当初にダイス役のスーツアクターだった人たちです。ダイスのイメージを作り上げた彼らだったので真っ先に声をかけました。ダルライザー誕生のときから知っているファンからすれば本人が顔出し出演となるのでそれを実現したかったんです。声をかけたら「自分たちにはできないよ」と言われましたが、「プロの役者なら普通にできてしまう。それを皆さんがやることで感動が生まれるし、白河に会いに来ることができるので、町のためにもなる」と伝えて乗っていただきました。
KEYSIについてはフスト・ディエゲス先生にメールで「I want to learn Keysi.」と送りました(笑)。そうしたら長文で返事が返ってきて、スカイプで話すことになりました。先生は「福島のことを知っているし、心を痛めている」と言ってくれました。彼らのやる気を引き出して心を立て直したいと伝えたら、協力してくれることになりました。それで先生に来ていただいて習いました。当時、日本にはインストラクターがいなかったので、僕が習うことで日本初のKEYSIインストラクターになりました。指導するのは役者ではなく白河市民だと伝えたら本気かと驚かれました。クリストファー・ノーラン監督の『バットマン・ビギンズ』でアクション指導をしていた方なので、クリストファー・ノーランも最初は低予算の作品から始めて、今では大規模な作品に携わるようになったので、僕のやろうとしていることを理解してもらえました。

Q ちなみにKEYSIは難しいのでしょうか。

A『ライズ ダルライザー -NEW EDITION-』和知健明KEYSIの体の動かし方は、人間の限界に挑むようなものではなく、体の理屈に合わせているのでやろうと思えばできます。ただ、普段やったことのない動きなので、初めてやると戸惑うとは思います。ですが一度身につけば誰にでもできるようになります。
KEYSIという言葉は「やればできる」という意味なので、すごく運命を感じました。KEYSIのリストバンドには「ヌンカテリンダス」と書かれていて、英語で「ネバーギブアップ」の意味です。「あきらめるな」とダルライザーを通じて言っていたので、そんなところも運命を感じています。

Q 映画の準備期間はどのように進められましたか。

A和知健明監督と脚本を書いたり、協賛集め、衣装の準備やトレーニングに至るまで、すべてを並行して行っていました。ところが脚本作りが難航してしまって、撮影時期を一度延期することになってしまったんです。夏の撮影予定を12月に変更したのですが、そのおかげでKEYSIの動きは身につけることができて、その点は良かったと思います。
脚本作りで難航したのは、ダルライザーがコスチュームの力で強くなるのではない、ということをどう伝えるかです。ダルライザーの見た目はTVヒーローのようなスタイルなので、登場するだけで強そうに見えてしまいます。それで、ダルライザーのコスチュームを着て公園のゴミ拾いをするシーンを入れたり、監督も工夫してくれました。

Q 撮影の様子についてはいかがでしたか。

A和知健明市民の皆さんが中心になるシーンは何回もやり直しました。監督にはカメラテストで撮った映像を彼らに見せてあげてほしいと伝えました。プロの役者ならどのように撮られているかをだいたい把握できます。見せてあげることで、自分の動きや向きを確認してもらいましたが、それでもすぐにはうまくいかなかったのです。この映画には何人かプロの役者も出ていますが、最初は市民だけが出るシーンから始めようと、悪役のダイスのメンバーたちが居酒屋で飲んでいるシーンを撮りました。撮影の大半が終わって、全体をつないだものを観てみると、そのシーンだけ演技の質が低かったんです。プロの役者さんたちに引っ張ってもらったおかげで多少なりとも皆さんうまくなっていったんです。監督と相談してダイス役のメンバーに集まってもらってそのシーンは撮り直しました。予算云々よりも納得いくまでやり続けましたので監督からは「こんな贅沢な撮り方はしないよ。ハリウッド並だよ」と言われました。監督は普段大学で映像を教えているので、実は監督の時間を確保するのが大変でした。

Q 和知さんご自身の印象的な撮影エピソードは。

A和知健明冬の撮影だったのでとにかく寒かったです。雨降らしを使って撮っているシーンはとくに大変でした。ダルライザーがダイスと最初に接触する倉庫に行くシーンを1月に撮影しました。大寒波が来ていて、そのさなかに雨を降らしたので地面が凍ってしまいました。アクションができる路面状況ではないので、3月に続きを撮りました。3月の撮影では、雨を浴びても全然マシでした(笑)。でも夜になると冷えてきてやっぱり寒かったので、ウェットスーツを中に着てお湯を直接かけてもらいました。最初はもちろん熱いですが、温かくしないと身体が動かなかったので印象に残っています。

Q “NEW EDITION”が公開となりますが、最初のバージョンが完成して公開したときはいかがでしたか。

A和知健明やはり感動しました。夢を実現できた喜びはありました。ただ、お客さんの反応の方が気になりました。7月の終わりから白河市内の銀行のホールを借りて上映しましたが、最初の週末が過ぎて平日になると毎回のお客さんは数名になってしまいました。それが10日くらい経つとお客さんが増え始めたんです。口コミで50人、100人と集まってきてくれて。お客さんが感動してくれている後ろ姿を見て、はじめて良かったなと思いました。大学の演劇科にいるときに、将来は監督・脚本・主演をやりたいと言っていました。その夢が実現した感動がありました。

Q 公開を前に、ここまでの一番大きな学びや気づきは何だったでしょう。

A『ライズ ダルライザー -NEW EDITION-』和知健明いろんな方の力を借りて映画を作ろうと決めて取り組みました。それまでのヒーローショーでは全部自分で抱えていました。脚本も演技指導も自分でやって、さらに出演もしていました。それが少しずつ任せられるメンバーも増えてきて、映画にチャレンジするときには、みんなでやろうという気持ちになっていました。映画のダルライザーの衣装も別の方が手がけています。ストーリーも監督との分担です。そうやって走り出しましたが、それでも最初の映画ではそこまでの広がりは得られませんでした。今回、“NEW EDITION”の公開にあたっては、配給や宣伝の方の力もお借りしてここまで来れました。何事もいろんな人の力と支えがあってだと改めて感じました。もちろん旗振り役は必要ですし、自分に勢いがあることも大事です。それと同じくくらいに、みんなが力を合わせるのが大事だと思います。

Q 和知健明さんからOKWAVEユーザーにメッセージ!

A和知健明この映画は普通の人がヒーローになるという話です。コスチュームを着て悪と戦うのがヒーローだということを描いているわけではないので、この映画を観て、自分が目指す業界やジャンルでのヒーローを目指していただけたらなと思います。もしもいま自信をなくしてしまっているとしたら、普通の人がここまでやれるんだということを感じていただいて、新しいヒーローになってくれることを願っています。

Q和知健明さんからOKWAVEユーザーに質問!

和知健明皆さんの身近でヒーローだと言える人物とその理由、エピソードをお聞かせください。

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■Information

『ライズ ダルライザー -NEW EDITION-』

『ライズ ダルライザー -NEW EDITION-』2019年3月9日(土)公開

東京で俳優を志しながらも夢破れ、妻の妊娠をきっかけに故郷の白河市に帰ってきたアキヒロ。
生まれてくる子供のためにも安定した人生を歩もうと就職するものの、俳優業を諦めきれない彼は、ある日町おこしのキャラクターコンテスト開催を知って“ダルライザー”というキャラを考案、ご当地ヒーローとして活動を開始する。しかしその頃、秘密組織〈ダイス〉によって、ある恐るべき計画が進められていた…。

和知健明 三浦佑介 桃奈 山口太郎 佐藤みゆき 山﨑さやか

原作/プロデューサー:和知健明
監督・脚本:佐藤克則
アクション振付:フスト・ディエゲス
配給:ダルライザープランニング/アムモ98

http://www.dharuriser.com/movie

©2018 Dharuriser Planning


■Profile

和知健明

和知健明(『ライズ ダルライザー -NEW EDITION-』)1980年生まれ。
現・桐朋学園芸術短期大学演劇科卒。卒業公演で本作の監督・佐藤克則に声をかけられ、自主制作映画やコント等の活動をしていた。結婚を機に帰郷し、ウエディングプランナーをしていた頃、08年に白河商工会議所青年部でダルライザーを考案。その後、地域活性化を目指して15年に事業展開を始める。なるべく身近に感じてもらえるように自身の体験を織り込んだところ、そのリアルな物語が好評を博し、全国にファンが点在する。また演劇文化を根付かせるため、しらかわ演劇塾の運営に携わる。15年に映画化を決意、それに伴い、日本人初のKEYSIインストラクターの資格を取得。本作が初の映画プロデュース作品。