OKWAVE Starsは、ここでしか読めない、俳優・女優、映画監督、アーティストらへのインタビューと、彼らからの「質問」に「回答」できるOKWAVEの特別企画です。

Vol.902 女優 飯島珠奈(映画『東京不穏詩』について)

OKWAVE Stars Vol.902は映画『東京不穏詩』(2020年1月18日公開)主演の飯島珠奈さんへのインタビューをお送りします。

Q インド出身の監督、外国人と日本人のスタッフとキャストという座組みで作られた本作ですが、参加のきっかけについてお聞かせください。

A映画『東京不穏詩』飯島珠奈この映画を撮る前にアンシュル・チョウハン監督とは短編映画でご一緒しました。その短編映画にはこの映画にも出演している望月オーソンさんと川口高志さんも出演しています。その映画を経て長編の本作に至りました。監督は日本語も少し話せますが、私も望月さんも川口さんも英語が話せますので現場でのコミュニケーションは英語でした。日本で映画を撮りたい海外の方も多いので、そういう機会は増えていますね。この映画の台本も最初は英語でいただきました。撮影にあたってはプロデューサーの茂木美那さんが翻訳をしてくださったので、そちらを使っています。

Q 本作の台本の印象はいかがでしたか。

A飯島珠奈圧倒されました。主人公ジュンの生き方にすごく惹かれて、一気に読んでしまいましたし、演じたいという気持ちがすごく湧いてきました。何より、熱量がすごいですし、不器用ながらがむしゃらに生きようとしている姿に惹きつけられました。

Q ジュンの役作りはどのように進めましたか。

A飯島珠奈リハーサルそのものには多くの時間は割かれていませんでしたが、監督は時間を共有してくださるタイプなので、役柄のことや、映画の中には出てこないシチュエーションでのジュンの人となりについても話し合うことができました。そしてそれ以上に、映画には関係のないことやお互いについてよく話しました。ジュンの役作りの大きな部分はそこだと思います。
ジュンは何が起きてもそれをバネに立ち上がる反骨精神の持ち主です。それと彼女は自分を取り巻くすべてのことへの“怒り”があると感じました。その怒りをエネルギーに変えてしまう強さがジュンのベースにはあると感じて、それを演じる土台としました。

Q 上京したジュンは役者を目指しながら夜の世界にも居所をおいています。

A飯島珠奈東京でのシーンは、例えばホステスとして働いていることについては似た経験のある友人に話を聞いて参考にしました。また、夜の繁華街のようなところを歩いてみて、ジュンの持つ空気感のようなものを作っていきました。

Q 東京と帰郷後の長野ではだいぶ雰囲気も変わりますね。

A飯島珠奈長野に行ったことで東京で感じていた閉鎖感からは開放された気持ちはありました。ただ、長野では別の閉鎖感が入ってくるので、その違いは自分でも感じました。

Q 共演者とのお芝居についてお聞かせください。

A映画『東京不穏詩』飯島珠奈タカ役の望月さんは、役柄と違って本当にオープンであたたかい方です。撮影中はお互いにシーンの合間でも役柄の関係性をキープしていましたが、よく気遣ってくださいました。
長野に行ってからは撮影の合間はなるべく一人でいるようにしました。監督も役の心情的にそうしていてほしいという感じでした。ただ、そうなると段々ときつくなってくるんです。長野で再会するユウキ役の川口さんもにじみ出るくらいあたたかい方なのでたくさんサポートしていただきました。シーンの合間でも私はジュンをキープしていたので、迷惑もかけただろうし、たくさん見守っていただきました。

Q 監督の演出や撮影の進め方についてはいかがだったでしょう。

A飯島珠奈監督からは台本に沿ってそのシーンで何をしてほしいかという指示はありますが、自由に動いて演じて、というスタンスでした。カメラに合わせて私が動くのではなく、こちらの動きをカメラが追うという撮り方だったので、役者としてはやりやすいし、いろんな力を引き出してくださる現場でした。
私は撮影の合間もジュンの役柄を留めていたので、俯瞰的に考えるよりも相手と向き合うだけでした。私はシーンの前にお腹を温める癖があるので、ジュンをお腹にためるような感覚で役に入っていましたね。
その場で台本よりも引き伸ばして演じてほしいと言われて演じた場面もあります。ここは3歩歩いてセリフを、というような撮り方ではありませんでしたし、監督としても映像の中にあるものがリアルに響くかを大事にされていました。
現場全体は英語が飛び交ってはいましたが、私が英語を話せるからかもしれませんが日本人だけの現場との違和感もとくになく進められました。

Q ジュンは感情を爆発させることが多かったですが、そのようなお芝居はいかがでしたか。

A飯島珠奈役者さんによっては普段は和気藹々としていて始まるとパッと切り替えられる方もいますが、私はなかなかそうはできないので、感情的なシーンの前は一人で準備していました。そういう場合でもみんなが見守って放っておいてくれたので、自分のことに集中できました。役柄的には暴力的な感情でもあるので、私自身が発散したい思いは監督にぶつけていました。監督もシーンのために必要なことだと分かっていて、ちゃんと対峙して受け止めてくれました。そうやって作っていきました。

Q 大変だったシーンはありましたか。

A飯島珠奈演技というよりも、私は体力がなくて走るのが苦手なので、終盤でジュンが走るシーンは大変でした。道路を走って、それから山道も走りますが、案外山道は平気で、平らな道の方が大変でした(笑)。走って息を切らして「珠奈、がんばって!」と監督に言われて「もちろん!」と答えてまた走って、最後は「もう無理!」とついわがままを言ってしまうくらい自分としては大変でした。
これはいい意味での大変さでしたが、悪い意味での大変さは感じなかったので、撮影全体としてもとてもいい経験となりました。長編での主演は初めてだったのでプレッシャーもありましたし、いろんな人が主演に期待することがそれぞれ違っていたので、最初のうちはそれを考えないようにするのは難しかったです。

Q 本作に携わって新しい気づきなどはありましたか。

A映画『東京不穏詩』飯島珠奈この作品に出演することになってからいろいろ変わりました。一つの作品に対しての意識、演じるということへの意識が格段に強くなりました。自分を役に投入した時の深さのようなものは以前とは全く変わったんです。
役者によっては自分がすべて考えて作ってくるという方もいらっしゃいますが、私にはまだサポートが必要だとも感じているので、今回のように一緒にコミュニケーションを取りながら進めていくやり方は好きだと感じました。
主演ということも大きかったですし、飯島珠奈として考え方が変わる経験はそうないとも思いますので、それに気づけたこの作品に携われたことは本当に幸運だったと思います。

Q 映画祭で好評を博されて手応えなどは感じましたか。

A飯島珠奈第13回大阪アジアン映画祭コンペティション部門での最優秀女優賞のほか国内外の映画祭で女優賞をいただきましたが、当初は想像もしていませんでした。監督からは期待できるような話もありましたが自分の演技を振り返ると反省点ばかりになってしまうので、賞を頂いてとても光栄でしたけれども、とにかくびっくりしました。

Q 飯島珠奈さんからOKWAVEユーザーにメッセージ!

A飯島珠奈この『東京不穏詩』は私にとってすさまじく思いが強い作品です。この映画ではいろいろと劇的なことが起きますが、どの国の誰にでも、性別に関係なく起こりうる事や思いでもあると思います。映画祭で観ていただいた際にはすごく響くものがあるのだろうと感じました。必ずしも登場人物たちは正しい道を歩んでいるわけではありませんが、それぞれがもがきながら人生を歩く姿を観ていただきたいです。
それと撮影監督のマックス・ゴロミドフさんはエストニア出身でとても詩的な映像を切り取っています。それもまたキャラクターの生き方を表現していますので、そこにも注目していただけたらと思います。

Q飯島珠奈さんからOKWAVEユーザーに質問!

飯島珠奈私はインド映画ではボリウッド系よりもアートハウス系の方が好みです。
皆さんのおすすめのインド映画を教えてください。

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■Information

『東京不穏詩』

映画『東京不穏詩』2020年1月18日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開

女優を目指し、東京のクラブで働く三十歳のジュン。ある日彼女が帰宅すると恋人のタカが仕向けた不審な男に貯めていたお金を奪われ、顔に深い傷をつけられる。夢も愛も一瞬で失ったジュンは五年前に飛び出した長野の実家へ帰ることに。受け止めたくない過去や事実によって、何かが一気に弾けた彼女は亡き祖母の財産で暮らす粗暴な父に「強姦されたと言いふらす」となりふりかまわず財産の半分を要求。心の平衡を失っていくジュンはやがて偶然再会した旧友ユウキとの邂逅に居所を見出すが…。
ジュン、タカ、父、ユウキ、軋み合う彼らの欲求はやがて“堪えきれない衝動”となり、誰も予想できない衝撃の事態を生む。罪、幸せ、性、倫理……。独自の視点で日本社会のニュースを読み解くインド人監督が逆照射する“われわれの現在”に、何を思う?

監督: アンシュル・チョウハン
出演:飯島珠奈 望月オーソン 川口高志 真柴幸平 山田太一 ナナ・ブランク 古越健人
配給:太秦

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■Profile

飯島珠奈

飯島珠奈(映画『東京不穏詩』)イギリスの大学にて舞台演劇と身体表現を学び、在学中は創作パートナーと舞台作品の制作をする。卒業後は東京を拠点に、国内のみにとどまらず、流暢な英語を生かして海外の映画にも出演している。主な出演作品は小路紘史監督『ケンとカズ』(16)や夏都愛未監督『浜辺のゲーム』(19)など。主演を務めた本作『東京不穏詩』では第13回大阪アジアン映画祭はじめ国内・海外の国際映画祭で女優賞を受賞している。

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